作品目録(旧・凍原版) |
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- 楳図かずおの、マンガ作品、イラスト作品などを、年毎に分け、ほぼ年代順に並べた。
- 作品名のほか、[初出]、[所収]、[備考]の項目を設けた。
- ×の印のある作品・所収本は、実見してないものです。既存の目録や間接的な情報によります。
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年代 奈良の実家時代 [1955年] [1960年] 上京、貸本マンガ時代 [1963年] [1964年] 大手版元多作時代 [1965年] [1966年] [1967年] [1968年/イアラ] 小学館一本時代 [1969年 /おろち] [1972年 /漂流] [1976年 /まこと] [1982年 /真悟] [1986年 /神の左手] [1990年 /14歳] 現在は休筆中 [1996年〜]
1955(昭和30 / 18〜19歳)[top]
所見は、『楳図かずお初期作品集』の覆刻複製本。無刊記。表紙は出版社の人が描いたとのこと(『まんだらけ』16号)。見返し画は楳図のサインがある。
楳図が所属していた「改漫クラブ」の同人・水谷武子(当時、東光堂『月姫物語』など新進の女流マンガ家として売出中だった)との合作。各自どこを書いたかは銘記されており、水谷は中盤を書く。基本的に変名で「山路一雄」(やまじかずお)名儀とされる作品だが、背表紙等には「ウメヅカズヲ」などとも書いてある。
「グリム原作」とも銘記して有り、表紙や扉には副題に「ヘンゼルとグレーテル」とある。「なんとおもいではなつかしいものじゃ……」と語るお爺さんのセリフで始り、結末にも同じ言葉をつぶやいている。この爺さんがヘンゼルだというわけでもなさそうだし、効果としてもあまり無いように思うのだが、逆にその分、こういう「語り」の構造を持っているということ自体が、すでに「楳図かずお」だと言えますよ。
改漫クラブは、西岡務(神戸)が会長、同人には、水谷武子(京都)、宮崎晴吾(青森)、渡部頼一(新潟)、藤本弘(富山、藤子F)、川北晃、西久保弘光、等がいた。手塚治虫後援会を自称して、昭和26年(1951)結成。会長の西岡とは、既に楳図が中二の時(なら1950年)から文通していたようである。また西岡は手塚と知り合いだったようで、楳図(奈良)の入会は、手塚の推薦もあった。それ以前、楳図は手塚に『森の兄妹』風のタッチを見てもらうべくファンレターを書いていたが、手塚は返事をくれなかった。が、宝塚の手塚宅を訪れた際の藤本弘の証言によれば、手塚は楳図の画力を「天才が現れた」と言っていたらしい。また、『森の兄妹』の出版に際しても、西岡の手に託した原稿を、手塚の紹介でトモブック社刊行に至る(『虹』10号の楳図の略歴、『楳図かずお初期作品集』の西岡談話、および『まんだらけ』16号の楳図インタビュー)。
共著者の水谷武子は、丸山昭『トキワ荘実録』(1999年・小学館文庫)巻末の「人名小事典」に記事があるので引用します。(なお、この丸山昭は、講談社『少女クラブ』等の編集長。藤子『まんが道』のイカつくこわい編集長「角田氏」のモデルですね。)
水谷武子(みずたに たけこ)
京都府京都市生まれ。46年「毎日小学生新聞」掲載の手塚治虫の作品に衝撃をうける。54年丸山東光堂から単行本『月姫物語』でデビュー。59年『ウララちゃん』(「少女」)を連載、59年上京し、寺田ヒロオの案内でトキワ荘も訪ねる。『のんびりのん子ものがたり』(「ひとみ」)などを描く。現在は官庁専門誌などに執筆。
『まんだらけ』16号には、宮崎晴吾氏の手元に残ったという肉筆回覧誌が楳図の作品を中心にカラーで紹介されているが、まったく素晴らしい作品。手塚的絵柄を完全に脱出し、色彩に、描線に、自律した装飾性・様式美を獲得している。セリフがやたら多いのも、現在に至る性格か。なお、この肉筆回覧誌は、改漫クラブとはまた別のグループなんだそうです、やたら掛持ちしてるのね、みなさん。
中野書店刊『楳図かずお初期作品集』は、同書店による復刻シリーズの第六弾。帯付き箱入り。覆刻複製本四冊(「森の兄妹」、「別世界」、「底のない町」、「幽霊を呼ぶ少女」)と解説附録冊子「別冊楳図かずお初期作品集」から成る。定価9800円。「昭和57年7月15日発売」(刊記)。複製本四冊は、冒頭カラー頁をモノクロにしてある他は原本そのまま。別冊は、扉に楳図の自筆サイン。限定500部のうちの通番号付き。内容は、インタビュー(楳図かずお、水谷たけ子、西岡務、佐川俊彦、ささやななえ、青池保子、いがらしゆみこ、竹宮恵子、山岸涼子)、のすたるじあぎゃらりー(改漫クラブ時代の作品集)、楳図かずお作品リスト、など。愛読者ハガキ付き。この他に、予約購買者にはポスターが付いた。
本『別世界』および『森の兄妹』の発売時期について。刊記では、それぞれに6月、9月と銘記されているが、実際は「修学旅行の際に、熱海の駅で売っていた」というエピソードに知られるように、刊記とかなり離れた時期の発売のようである。修学旅行は、高校三年生の終りだったらしく、楳図はもちろん18才、たぶん2月とか3月だったのだろう。ただし、熱海の駅の売店に売っていたというのが、『森の兄妹』だけなのか、『別世界』もなのかは、未確認(楳図先生御本人も「不明」というお答えでした)。特に、『別世界』は、刊記と実際の発売日とが、いかにも離れすぎています。
所見は、『楳図かずお初期作品集』の覆刻複製本。刊記に「傑作面白漫画(52)別世界/昭和三十年九月一日印刷/昭和三十年九月五日発行/著者 ウメズ・カヅオ/発行者 佐藤昂蔵/編集者 大畑藤男/山内吉之丞/印刷所 株式会社光雄社印刷所/発行所 株式会社トモブック社/東京都中央区銀座東三ノ七/電話東京(54){六六五一/七九九二」(最終128頁下段、四周単辺枠付)、「楳図」丸印の検印有り(ほんとに本人が捺印したのかな)。
『少年サンデー』1971年23号の特集記事「私のデビュー作/現代人気まんが家」(全部で15人)で手塚・藤子・石森・さいとうに続き楳図、本作が紹介されている。「原始時代、恐龍y有尾人とたたかいながら、主人公のリバー少年が、人類を守るために大活躍をするというストーリー。絵本のさしえ調の画風からは、現在のアゲインなど、想像もできない。/奈良県の五条市で、高校生活を送りながら、なんとなく、さし絵やまんがをかきだした。2ヵ月に1冊づつのペースで単行本をかいていた。……(後略)」などとある。デビュー当時の年収は20万円。
1956(昭和31 / 19〜20歳)[top]
「まんが物語」と副題がつき、絵物語のマンガ版というべきか。すなわち、活字で物語が附き、各回2点ほどのカットが、ペン画風でなくマンガ風で描かれている。絵柄は『別世界』よりは非装飾的で、『母よぶこえ』『幽霊を呼ぶ少女』などに近いか。
内容は、南北朝の吉野を舞台にし、自然と人間の関係を描いたもの。後年の『母よぶこえ』はもとより『ガモラ』『14歳』までその射程にあるといってもいい。わたしも未読時は軽く見ていたが、なかなかの傑作です。しかも、170回の大連載。南朝、ヒミコなど、奈良のジモピー意識が明確に打ち出されている。
大和タイムスは、現在の「奈良新聞」。戦後直後の創刊のようである。楳図の連載当時は全4面程度の規模。本作は4面の左上が定位置だった。
本作に触れた記事のうち、『虹』10号の記事というのを、全文引用しておきます。
昭和十一年九月三日コーボー大師で有名な高野山で生まれました。(ねずみ年です)。けれど坊さんとは全然関係はありません。
七ツの時、五条へきました。それまでは名張市のむこうのそに(半魚注・曾爾)という所で暮らしました。
小学校四年の時、マンガの本を友達に見せてもらい、すぐさま自分で、かいてみました。(その友達はもうオヨメさんをもらってあかちゃんもおります)かいたマンガの題名は、「魔法のツボ」どこへいってしまったのか、今はありません。
中学校二年の時、神戸の西岡というこれもマンガの好きな三年になる少年(今はモチロン青年)と文通しました。
高校を卆業してから、マンガをはじめました。
最初は地方新聞に「吉野のあらし」という歴史をおりこんだマンガ物語をかきました。
それから単行本をかきはじめました。はじめはスリラーものばかり、「底のない町」「姿なき招待」等やがて少女ものも、やりはじめました。
今までかいた作品で、すきなのは「底のない町」「第四の棺桶」です。最近のでは「俺の右手」があります。
少女ものも、おもに幻想的なものばかりをかいてきました。少女ものでは、「しらぎく」「雪おんな」「お百度少女」などがすきです。
「まぼろし少女」も思い出の作品の一つとなることでしょう。まぼろし少女は以前かいた「幽霊を呼ぶ少女」の姉妹編のようなものです。
かなしい物語では「ロンよ泣かないで」をかいてみました。
「お百度少女」を、おりがあればかき直してみたいと思います。
金龍出版社で、谷悠紀子、桑田知子、竹村健一、横内ひろみ先生の順に、お目にかかりました。
一月の二十日(半魚注・1960年)に北海道の木内千鶴子先生や真田昭男、花村えい子、田中美智子の各少女作家が来られたそうですがあえなくてとても残念!
それから浦きよみ先生は、近くの町に住んでおられます。
それから、こんな記事もあります。サンデー創刊1000号。創刊時について「その時私は」のコーナー。でも、サンデーは1959年3月創刊でしょ?
ギョエーッ、そんな昔のこと……!?うーん、奈良県の大和タイムスという地方新聞に連載してて、近所のお兄さん、お姉さんにベタ塗りなど手伝ってもらいながらワイワイかいていました。サンデーの創刊!? 知らなんだなあ〜。 (『少年サンデー』1977年39号)
岬一郎氏のご教示によります。奥付けに印刷されている版元名は、セントラル出版となっているが、その上にダイヤ書房の奥付けが貼付されているのだそうです(御所蔵本)。ちなみに表紙は久呂田まさみ画だそうです。
ダイヤ書房については、『恐怖への招待』にちょっとだけ出てくる。
「奈良の両親の家でずっとかいていて、それでかき上がると、大阪の出版社に持っていって渡してくる。月一、二回大阪に出かけた。編集者は、やはり大阪のひとなんだが、三十代のすごくしっかりしていそうに見えた人だったけどね。僕が当時通っていた三島書房とかダイヤ出版というのも、四、五人もいないような出版社だった」(P145/文庫P182)。この「ダイヤ出版」(ママ)がダイヤ書房のことだろう。
『恐怖への招待』などからも明らかで、『鬼面屋敷』は『底のない町』よりも前に描いた作品。
『お宝コミックランキング』(別冊宝島494・2000)に書影あり。
所見は、『楳図かずお初期作品集』の覆刻複製本。刊記に「底のない町(C)/作画 楳図和雄/発行者 長岡博/印刷者 第一印刷出版<株式/会社>/発行所 三島書房/大阪市南区順慶町一丁目四五/東京都千代田区神田錦町二の四」(最終128頁下段)。ほう、神田にも支店が有ったか。
「発行者」の長岡博(比呂志)は、三島書房の社員・社長を経て同社倒産。金園社に拾われ編集者となり、『虹』の編集などをする。その後、写植屋になるという。『虹』36号の刊記に「長岡写植社」というのが見えるが、それだろう。
1957(昭和32 / 20〜21歳)[top]
三島書房本について。3軒茶屋2階のマンガ屋『古書マンガカタログ』vol.2 (P4)に書影、扉、目次の写真および書誌データがある。山本卓司との合作で、前半を山本、後半を楳図が描く。全128頁(前16頁カラー)。
目次に楳図の前書きがある。以下、翻字する。原文は振仮名付き、句点ところどころ無し。ゴチは原文。
この物語は
一部と二部とに分けてそれを別々の作者が、受持ってかく事になりました。そのために、定まった主人公はいませんが一部では、狂二少年が二部では、おなじみの少年探偵岬一郎が主人公になっております。しかし全体を通じての主人公と云いますと、それはギャング団のオヤブン堂島になります。だが、この物語の内容から考えた時、あくまで蝋人形を頭の一角から消さないでおいてほしいと思います………………楳図(第一部)山本卓司
恐ろしい過去
続恐ろしい過去
魔手
崩壊(第二部)楳図かずお
ユウレイ屋敷
裏町のオテンバ娘
火だるま
相次ぐ火だるま事件
蝋人形の恐怖
『まんだらけ』16号34頁に書影が有る。 A5ハードカバー、96頁。他にさいとうたかを、村橋わたる、佃竜二。
別冊太陽『子供の昭和史 少年マンガの世界2』P52には、『鍵』4号の目次と、「ほくろの怪」の扉のカラー写真あり。また、さいとう・たかをの「十字路の対決」の扉もあるが、有難いことにその欄外に「57・9・12」という制作年記が見える。僕が思うに、貸本マンガは脱稿から出来までに、はやければ2週間くらいだと思う(まあ長くても1ヶ月でしょう)。『鍵』4号、すなわち1957年10月出来である。岬さん情報では、「『鍵』創刊は57年4月だったと思う 」とのことだそうです。なら、隔月刊行と考えると、つじつまも合います。
『幽霊を呼ぶ少女』の43頁に鍵の広告があり、「スリラーシリーズ鍵/こわい漫画を読みたい方ならばわかばの鍵をどうぞ!……/A5判150円」とあり、岬一郎のカットを附す。『鍵』の何号の広告のつもりかは分からない。が、わざわざ「わかばの鍵」と言うから、この『鍵』はわかば書房刊となった4号のことを言うのではないか。そこから思うに、『幽霊を呼ぶ少女』と、『鍵』4号「ほくろの怪」とは、ほぼ同じ時期の発表と考えられそう。
1958(昭和33 / 21〜22歳)[top]
所見は、『楳図かずお初期作品集』の覆刻複製本。刊記に「幽霊を呼ぶ少女/作画 楳図かずお/発行者 三島源治郎/発行所 大阪市南区順慶町一の四五/三島書房」(最終128頁下段)。ここには東京支店の記載は無い。 また、長岡博でなく三島源治郎(さも、三島書房社長風な名前)。推測だが、長岡博は三島書房編集を経て、金竜出版社を設立した、ついでに楳図も引っこ抜いた、と見る。
所見本は一冊のみで、『少女ブック』6月号の「トモ子まんが文庫(12)」という附録に収められたもの。年代に関する記述は一切無く、3頁〜81頁が楳図。物語は、途中から始まり途中で終っている。架蔵で別に「トモ子まんが文庫(11)」(所載は「お百度少女」)が1958年5月号なので、この「母よぶこえ」はその翌月と考える。
なお、岬一郎さんのご教示では、本作は、3月号から12月号まで、本誌やら別冊やらで連載されたそうです。
所見本でのストーリー。主役は、バレエを習う絵島歌子という少女。「白鳥の湖」の主役をめぐって、宮園あつ子というライバルにいじわるをされる。父がアメリカに出張するが、歌子の不安通り、父の飛行機は海へ墜落してしまう。歌子と母は、家財を失い、心中しようとする、というところまで。ガモラ村のおババみたいな老婆、『底のない街』にも出た軍馬、チイ子さん(苗字は浪花)なども出てくる。絵柄は、ごく初期の少女漫画風。トビラに「かなしいバレエ漫画」とある。併載で「ほがらか一家」(赤塚不二夫)、「サユリとしろちゃん」(しまゆきお)がある。
この別冊附録には、楳図も含め次の作品がある。
紅つばき なるみあきら 3頁〜36頁 マミちゃん 原作・奥住耿介
絵・赤塚不二夫37頁〜84頁 星空はるか 原作・中島モミ子
絵・かつらいずみ85頁〜132頁 お百度少女 楳図かずお 133頁〜164頁
「吉野のあらし」の項で後年の『虹』10号にある記事を紹介したうち、次のような楳図の発言が有った。
少女ものも、おもに幻想的なものばかりをかいてきました。少女ものでは、「しらぎく」「雪おんな」「お百度少女」などがすきです。
(……中略……)「お百度少女」を、おりがあればかき直してみたいと思います。
とあったが、本作が後に、『赤んぼ少女』になるのである。
1959(昭和34 / 22〜23歳)[top]
「映像〈かげ〉」の原型(愛蔵版こわい本Vol.3の安井解説)。
狂人部落
目次
世にも奇怪な部落をお目にかけよう……(作者)
ナゾの平家村………………6
お万の方と二人の女………12
おどろいたきよめ式………19
きちがい少女………………26
見たこともない赤いユリ…29
きらわれ者…………………31
吾作という猿男……………39
からすが三羽?……………46
病める母……………………47
ものがたり…………………48
呪われた運命………………51
にげ出したからす…………66
一本道の会合………………67
奇妙な13本のくい…………74
白 刃……………………76
ねむり猫……………………82
しん込者……………………84
終 末……………………88
なお、『まんだらけ』16号30頁に書影があり、年次を 1958年11月とする。
別冊太陽『子供の昭和史 少年マンガの世界2』P48に扉と、同所収書目次のカラー写真あり。目次によれば、P3〜34が「死相」。扉には、「楳図かずおミステリー(1)」とあり、アオリ(欄外)に「「女中が死ぬ……下男が死ぬ……」その死神のような老人はつぶやいていた…。 」とある。
セントラル出版は、もともと東海書籍という名古屋の取次ぎ店だったが、当時の貸本の劇画ブームに倣って昭和32年(1957)に興した貸本漫画出版社。社長立石栄吉。この年、大阪の貸本劇画最大手で『影』を出していた日の丸文庫(社長山田秀三)が3月に倒産(7月にはすぐ光映社として復活する。後に伸光書房と称する)、そこのヌシ的存在で『影』のまとめ役的な立場に居た久呂田まさみ(黒田正三)は、とばっちりで借金を背負いこみ、困って東海書籍を焚きつけて、同じく日の丸系で『影』の本来の企画者だった辰巳ヨシヒロや、松本正彦、佐藤まさあきらを引連れて『街』を創刊させる。『影』のほうは、平田弘史、水島新司らが育ってくれて復活。『影』VS『街』に代表されるライバル誌となる。佐藤らはどっちにも書いていた。このすぐ後、東京の兎月書房の『摩天楼』が出て三巴の貸本劇画合戦になる。辰巳ヨシヒロの劇画宣言が出るのがこれ(佐藤まさあき『劇画の星をめざして』1996 文藝春秋 P88,116参照)。
『お宝コミックランキング』(別冊宝島494・2000)、『まんだらけZENBU』No.5(P58)に正続の書影あり。
『なかよし』附録は、3軒茶屋『古書マンガカタログ』Vol.2(88頁)にも載っています。
所見は、まだ5号くらい。
主人公の弓子は白菊の花咲く原っぱで、ふしぎな赤い靴を拾う。それをはくと、とても上手にバレエが踊れるようになる……というような話。
所見の5号には「悦ちゃんの夜話」という楳図の小説もある。(4、5号の2回連続)。
1960(昭和35 / 23〜24歳)[top]
「二十三歳の時はかきまくっています。で、二十四歳から不眠症になってしまった。だから、不眠症になる前の最後のあがきという感じで、いっぱいかいているんじゃないだろうか」(『恐怖への招待』P153)。
二十三歳というと、昭和34年(一九五九)9月から、翌35年。
3Pの作品で、おまけ的なもの。
第10集は「記念増大号 楳図かずお特集」。楳図に関する記事、チイ子さん、「少女まんざい」、「まぼろし少女」の最終回(第10回)、次項の「丘の上の少女」などを併載。
諸目録や『VMPC』vol.1 などで、『虹』10号を1959年刊とするが、たぶん誤りだろう。この三頁作品の後日譚の最後に「1960・2・6」の年記が付いている。『虹』10集が1960年だとすれば、前掲の「二十三歳の時はかきまくっています。」にも符合すると思う。というわけで、『虹』作品の発表年次を以下、かなり並べ変えました(2000-06-16)。
10P。海辺の町の村祭りの日、地震による大津波が祭り場を襲おうとする。小児マヒで祭りに行けない丘の上に住む少女が逸早く津波を見つけ、その犠牲的な機転で村人を救う。
楳図が幼少時に見舞われた南海地震(1946年12月21日M8.0)。田辺市などでは津波の被害も大きかったので、この時期の記憶などが、本作に影響しているだろう。
「滝」と「ハナ狐」は、楳図特集だった『虹』10号に載せる予定であったが、間に合わなかったらしい(『虹』10号の記事より)。
傑作、かなり恐い。
秋田漫画文庫3巻には、楳図本人による解題がありました。
「---おみっちゃんが今夜もやってくる---/これもやはり『虹』に連載したものです。小泉八雲の「破約」から発展させてみました。”あなたの青い火が消える"と全く同じケースで(『虹』から、他人がトレスして『なかよし』附録とし、『怪』所収用に手を加えた)、『なかよし』の附録になりました。それに改めて手を加え、ここにお目通りすることになったのです」
岬一郎さんから、「現在、新書版等で、貸本版オリジナルで読める作品は、ほとんどないです。」と教えてもらいましたが、『虹』等の貸本時代の作品が、大手出版社の附録等にトレース版で収録され、その後に他人のトレースじゃ気に入らないから新たに手を加えて新書判の単行本にした、というパターンがどうやら見えてきますね。
『なかよし』附録とデーコミを較べれば、ストーリー的にも随分増補してあります。特に、比奈子がおみつに変化し逃げてゆくというエンディングはデーコミで付け加えたもの。その他、絵柄については悲惨なほど切貼りがされてるから容易に想像がつくでしょう。また、ネームもかなり違う。
花村えい子に「鈴をふる少女」という作品が有る(金龍出版社『すみれ』6号・1960年7月15日発売)。これ、多分(?)「おみっちゃんが今夜もやってくる」のパクリ。逆ってことはないだろう。
前出『虹』版の「おみっちゃんが今夜もやってくる」と、この「丑の刻参り」をあわせたものが、現在のデーコミ版「おみっちゃんが今夜もやってくる」だそうです。
連載が空いているが、次のような事情が有った(『虹』26集の読者投稿)。
私は楳図先生の「偶然という名のツミキ」の続きをよみたいのですがどうしてでないのですか?東京都葛飾区上平井町 山本みつこ楳図先生がご病気のためおくれてしまいました。しかし虹24ごうから掲載してありますからひきつづいてよろしくね…係
『虹』25号には楳図かずお作・画の「少女まんざい」2頁がある。画は単なるカットで、作はA子とB子のまんざいのセリフ。内容的には実にたわいない。が、覚めたと思ったのにやっぱり夢だった、というオチが、楳図的、かな〜。チイ子さんもそうだが、かなり初期のころからの楳図の「笑い」好きが分る。
偶数起こし、43頁作品、うち作品扉1頁を含む冒頭13頁が4色。巻頭掲載。刊年は、同誌目次に「JUNE. 1960」と銘記される。川崎のぼるなどが描いた他のカット類にも「1960.5」等の年記が多く見られるので、6月中の刊行と見る。目次には「PUBLISHED MONTHLY in JAPAN WAKABA SHOBO」ともあり、月刊誌。編集は、松坂邦義。彼は元々マンガ家志望だったが、編集に転向し、1955年研文社、1957年三島書房、1959年わかば書房を経て、1961年上京、同東邦漫画出版社、1962年三洋社、1938年日本文芸社、1969年川崎プロ。『ウメズム』vol.1 、『貸本マンガ史研究』vol.3 などにインタビュー記事が有る。
同誌目次には、楳図筆の主人公のカットと次の説明文がある。
ふしぎなイボのある男がいた
彼のイボは枯れが危険に面した
時はムズムズとその危険をし
らせる。彼はその信号にした
がって行動していた。
だが…ある時!
"イボのある男"より
楳図かずお・作
『まんだらけZENBU』No.4 (95頁)に雑誌表紙の書影と作品一頁分のカラー写真が載る。
「映像」ではなく「影像」なのだそうです。繭さんご教示(2001-07-10)。
楳図作品だけ切り抜かれた初出号を持ってます。併載の雨沢道夫『青い空白い雲』には作品末に「1960・1・22」の年記が、芦川ちさと「妹」には「1960-2-21(〜23)」の年記があります。が、執筆してすぐ載せたものか疑わしい気もする。139頁の「女流新人漫画家募集」の川崎のぼる画のカットには「IN OSAKA WAKABA SYOBO N-KAWASAKI 1960・5」という年記があり、1960年5〜6月の刊行かと思う。
次のナレーションから始まる。
愛すること…
それは人間に対して
だけではない……
これは一つのものを
愛した老婆の
物語である
孤独な老婆が愛したものは海辺の古い松の木。主人公の少女はみづえ。 絵柄は、「人形少女」や「今夜もおみっちゃんがやってくる」などと同じ。
併載の田中美弥子「月と光の肖像」の扉に「S35.5.25」と作品年記がある。故に『花』18号は1960年6月頃発行と思われる。
所収誌は、清水ひとよによる扉目次に「1960 HiTOYO」のサイン、併載の田中美弥子「風の子さん」の冒頭に「1960.8.7」の年記がある。なお、作品名は目次には「月見草と少女」とあるが、作品扉には「月見草の少女」とある。目次はたんなる誤植と見る。
1961(昭和36 / 24〜25歳)[top]
2C24Pではなく、『虹』20号の記念特集号ということで、オールカラーのようです。
同版、ただし文庫版は巻頭4Pカラー。ヘビ女の原型、記念碑的作品。
初出の所見は31号のみ。
本項「青い火」シリーズは、幾重にもリメイク、リライト、トレース、加筆がされていてすこし複雑です。
まず、秋田文庫『怪』3巻に次のような楳図本人の解題が有るのだが、楳図先生の思い違いではないか。
「---青い火の怪---/まだ、奈良県の五条市で貸本むけの単行本を描いていた頃、大阪の小さな出版社から出ていた『虹』という本に、"あなたの青い火が消える"という題名で連載しました。その後、雑誌『なかよし』の附録に入れるため、他の人がトレスして発表した後、「怪」に収録するため、再度手を加え、題名も"青い火の怪"としました。」
とあるが、すこし違っていて、『虹』は単なるプロトタイプで、その後、新規に描かれたひばり書房の『幻の火が消える』をトレースしたのが『なかよし』版です。そもそも、「四年目の怪」の初出も『虹』としているなど、この解題はほかにも勘違いがある。で、結論としては『虹』の「青い火……」と、『怪』の「青い火……」とは、ストーリーも絵柄も全く別物です。
で、次のような感じではないかと推測しています。
| 番号 | 系 | タイトル | 発表年 | 所収 | 長短 | 関係 |
| 1 | 虹版 | あなたの青い火が消える | 1960 | 『虹』30,31号 | 短編 | プロトタイプ |
| 2 | ひばり系ひばり版 | 幻の火が消える | 1963 | ひばり単行本 | 長編 | 1 の増補(新規執筆) |
| 3 | フレンド版 | あなたの青い火が消える | 1965 | 『フレンド』 | 短編 | 1 のリメイク(新規執筆) |
| 4 | ひばり系なかよし版 | まぼろしの青い火が消える | 1967 | なかよし附録 | 長編 | 2 のトレース版 |
| 5 | ひばり系デーコミ版 | 青い火の怪 | 1972 | デーコミ『怪』 | 長編 | 4 に加筆する |
色分したが、基本的に3種類あると言える。即ち、虹版、ひばり書房版、フレンド版である。このうち、ひばり書房版系にトレース版(なかよし版)、トレース&補筆版(デーコミ版)がある。
デーコミ版『キツネ目の少女』ほどには楳図の手でないことは分かりにくいが、デーコミ版の絵もヘタである。別項で委しく紹介します。
フレンド版は、完全に少女フレンド風の少女マンガ絵柄。これも別項にしてあります。
『ゆりかご』所載の本作や、「歌手物語」などは、「少女職業案内」というシリーズとして作ってあるらしい。本作はバスガイドの話。所見の東京トップ社版にもタイトル部分に「少女職業案内」の副題が付いている。
『ねむり少女』(東邦図書出版本と東京トップ社本とともに)にも所収されている。
朝日ソノラマ『こわい本』(サンコミ・ハロ少館)では初出を「昭和37年『東邦出版』」と記していますが、この『ねむり少女』の事をいうのでしょう。
『VMPC』vol.1をみると、『ゆりかご』2集には「光の中の少女」という作品もあるというようにもみえる。が、「歌手物語・光の中の少女」というタイトルなのかも知れない。ともかく、バスガイドにつづく、『ゆりかご』の少女職業案内シリーズ。
1962(昭和37 / 25〜26歳)[top]
諸目録では1960年作品とするが、根拠未詳。『虹』も33集くらいだと、もう1962年に入ってるんじゃないかとおもうので、こちらに移動した。
諸目録では1960年の作品とするが、35集なら62年8月頃かと思う。
35集には楳図の「楳図かずお写真日記」という3頁の記事があるらしい(『VMPC』vol.1)。
この号から弟のモン太を加えて24頁の独立した作品になった、という(サンコミ『ウルトラマン』第2巻・安井ひさし解説。『ウメカニズム』P24,P215)。が、「モン太」は、その前からいますよね。僕が知ってる限りでも『虹』25号は「モンちゃん」が出てきます。因みに、モン太は『まことちゃん』にも出てくる、結構息の長いキャラクターです。
「チイ子さん」の最初は、『幽霊を呼ぶ少女』のようです(別立てで見えるし、チイ子さんは本編の登場人物でもある)。その後、『赤い蝶の少女』だとか、いろいろなところでサブ・キャラクターとして見える。
読者の似顔絵で、「62.8.8」の年記のあるものがある。諸目録では61年作品とするが、62年作品と思われる。以下、『虹』所収の「狐つき少女」なども1962年と考える。
姉妹はサツキとカンナ、いずれも誕生月からのネーミング。家族は祖母と父で、母親はカンナを生んで他界。カンナはすでに、いたずら少女風に描かれている。顔はピョンコちゃん風。
初出の号数情報は『VMPC』vol.1による。全体で150頁程度にしかならない。所見は、39、40号のみ。
40号の巻末に「特別読物 あなたのアップリケ特集」という3頁の記事がある。「作・ピーター」とあり、また「KAZUO UMEZU」のサインもある。図案はいまで言うサンリオ風で、じつにかわいらしい。
なお、42,43,45集は、楳図は扉やカットやチイ子さんのみ執筆。
『虹』46号の矢代まさこ作品に「1962/12/24」の年記があるらしい(『まんだらけZENBU』No.6(182P)。うーむ。仕上げてすぐに載ったのかねえ?所見の40号の矢代作品「その夜の挽歌」には「'62.11.15」の制作年記がある。たぶん、1963年に入ってからの刊行と考えられる。
ともあれ、『虹』はまだあんまり見てないが、既存目録もあんまりあてになりません。
『なかよし』附録は、3軒茶屋2階のマンガ屋『古書マンガカタログ』Vol.2(P88)、『まんだらけ』16号31頁にも書影あり。『虹』に連載したものを『なかよし』の附録に付ける、というパターンは、結構あるようです(秋田漫画文庫『怪』3巻の楳図解題、参照)。この際、貸本時代の原画は既に無く(読者プレゼントなどで)、刊本からトレースしているようです。
そこで、現在のデーコミを鑑みれば、初出『虹』以降、なかよし・トレースとデーコミ補筆と2段階の描き直しがある。
1段階のなかよし・トレースは、デーコミの絵柄を見れば分かるとおり、実にたどたどしい、というか物凄く下手な絵もある(例えば、177頁の右下など)。デーコミの前半あたりなどは「青い火の怪」や「ねむり少女」風な劇画調というか花村えい子風というか、そういう絵柄に似てなくもないが、 初出『虹』(所見は39号のみ)と較べると微妙に描く線が違うのが分ります。
加えて、このなかよし・トレースの段階は、単純にトレースしているのでなく、なかよし補筆もあると思う。例えば、150頁前後の絵柄は『虹』のころの手でも、デーコミ補筆のころのものでもない。『少年マガジン』なんかに書き始めたころの手です。……と大胆に想像しておきます。『虹』と全部較べるまで分からない(『虹』の全頁数で言うと『なかよし』に足りないのは確実)。
2段階目のデーコミ補筆は、 サンプル画像で言えば、49頁左中のコマ。このへにゃへにゃした線は、『虹』と比較しなくても、1983年以降の手なのがわかるはず。『わたしは真悟』以降くらいにたまに出てくる絵柄。いや『まことちゃん』にも出てくるかな。しかし、70年代前半には絶対に遡らない。
このデーコミ補筆については、23頁上のおとうさんの顔、96頁全面、 97頁の上のコマ、などがそう。
また、スクリーントーンは、デーコミ時に追加して使用されたもの。ただし、いずれにしても、ストーリー全体に関わる補筆はない。つまり、このストーリーは『なかよし』の段階では完成されていたもの。
デーコミは絵は物凄くへんだが、ストーリーはすごい傑作である。まず、後に用いられる趣味・趣向が存分に詰っている。例えば、コミカルな描写(冒頭の木登り、手足がこんがらがる、ウンコをぶちまける、等)。或いは、〈憑かれたふりをする〉という趣向は、『へびおばさん』のそれである。しかし、この〈憑かれたふり〉に偶然が重なり、ラストでは〈現象の解釈不能〉で終らせる。このエンディングは、『イアラ』所収の短編集のそれである。
『なかよし』附録は、同附録『きつねつき少女』完結編の巻末広告に拠る。1967年お正月増刊号の附録で、1966年12月15日発売。
愛蔵版『こわい本』第3巻に安井ひさし氏の解説が有る。「『赤い蝶の少女』(金園社)は、火事を予見する少女の物語。生れた直後に大火に会い、"ほのお"と名付けられた主人公が、火を嫌う性質によって担任の青年教師を放火癖のある悪女から救う。赤い蝶とは炎のことである」。登場人物に、ヒロインほのおのほか、学友の草間愛子(アコ)、チイ子(ただしメガネかける)、青山先生(ヒーロー)、水野れい子(悪女)。すなわち『ねむり少女』と同様の青山先生モノ。
傑作です。ラストに次のような詩があります。
少女の胸に咲いた花
それが何の花であるか少女は知らで
いつの日に再び帰りくることなき
花であるかは知りていたけれど
この少女期における喪失感のリリシズム! 女の子が持つ、大人への不安と憧れの気持ち、そして嫉妬から来る浅はかな行動を、しかし、愛情を以って叙情的に美しく描いた傑作。主人公の女の子、そして、そのライバルで明るく屈託のない草間愛子(アコ)、加えて話題の中心となる美少年・水上君、この3者の配置具合いなど、実に巧みに構成されている。
三洋社は、のちに日本文芸社社長の夜久勉、上野の特価本取次ぎ店太陽図書の小出英男、後の青林堂『ガロ』の長井勝一、この三人で作った会社(長井『ガロ編集長』P139〜144、ちくま文庫。佐藤『劇画の星をめざして』)。なお、夜久勉の養子が『COMIC ばく』の夜久弘(旧姓藤原)で、『「COMICばく」とつげ義春』1989刊・福武書店がある。
ところが、長井は1961年3月に結核で入院。退院後1962年に青林堂をつくる(『「ガロ」編集長』。『ウメズム』は入院を1960年12月とする。私の読み違いか?)。だから、ここでの三洋社は、長井とは直接無いもので、残された松坂邦義が編集を引継ぐ(岬さんご教示。『ウメズム』Vol.1)。発行人は岩崎稔。社屋の住所は神田三崎町東光ビル17号。電話番号が五つもある。なかなかリッチ? 表紙は高橋真琴。
『花詩集』は、月刊か隔月刊か分からない。たぶん隔月刊じゃないかなとも思うが、次の「好きな人」のマンガ部ポスターの「花詩集 月一回」という文言を考えると月刊かも。ともかく1〜2ヶ月のずれはあるかと思うが、刊記や作品年記などから推測を記せば、こんなカンジ。
| 創刊号 | 1962年?月 | |
| 2号 | 1962年?月 | |
| 3号 | 1962年5月 | 作品年記4点 |
| 4号 | 1962年7月 | 刊記あり |
| 5号 | 1962年9月 | 栗原作品から |
| 6号 | 1962年?月 |
『花詩集』ははまちん氏にコピーを頂きました。また、3号にも「次回作品は、好きな人。あの人を何故好きになったか。その物語」とある。
佐藤プロ『花』の16号は『花詩集』の再掲。セリフは、「友田くんのほうが頭がええのやわ」、「すかん/たこっ!!」等、全部関西弁でじつにかわゆい(『花詩集』も同様)。のみならず、「友田」と呼び捨てにし、最初と最後のみ「友田さん」と呼ぶ、等かなり工夫が有る。
なかよし附録は、ネームをすべて東京標準語に直してある。デーコミは、切貼り等による補筆あり、またトレース部分もあり、背景の部屋の細かい描写などは後筆。コマ割りも大幅に拡大して変えてあり、実質的にページ数も増えている。
| 所載 | コマ割り | ネーム | 扉 | 総頁数 |
| 花詩集 | 原型 | 関西弁 | 見開き2頁(白黒) | 37P |
| 花 | 原型 | 関西弁 | 同上(カラー) | 22P+?P |
| なかよし附録 | 原型 | 標準語 | 同上(白黒)と文字1頁 | 40P |
| サンデーコミ | 補筆、拡張 | 標準語 | 字のみ1頁 | 38P |
デーコミ 185頁の「まんが部員募集」のポスターは、『花』では「マンガクラブ」の部員四名の名前が書いてある、則ち「山田節子、小山榮子、松坂邦子、高橋眞子/月一回 花詩集」。山田節子は実在のマンガ家(さいとう・たかを夫人)。松坂邦子は、マンガ家志望で後に『花』(わかば)『花詩集』等の編集をした松坂邦義だろう。高橋眞子は、高橋真琴だろう。小山は、林栄子と小山葉子・小山弘子を混ぜたような感じだが不明。
「怪奇ものの他に、氏(楳図)には恋愛だけを扱ったロマンチックな作品群も多く、漂流した日本の若者と流れ着いた島の娘との恋愛物語など、ひどくてれくさく読んだ記憶がある。」(菊池秀行『貸本怪談まんが傑作選』妖の巻 1991年・立風書房)
未完作品。島の伝説に、島に椅子があって、それに座るとどうのこうの、という話らしい。
30頁作品。
「快楽的恐怖漫画之宴」の貸本のコーナーに、書影とあらすじが紹介されています。
このつばめ出版て版元は、ひばり書房と実態は同じですね。文京区表町67という住所とともに、小石川(291)2023という電話番号まで同じ。
『フレンド』連載のものの原型。全2巻の予定で、後半は『あなたの胸にロマンスを』というタイトルで予定されていたようだが、後半は描かれなかった(『恐怖への招待』9頁/14頁)。
1963(昭和38 / 26歳〜27歳)[top]
佐藤まさあき『劇画の星をめざして』や、楳図本人の証言(f-dex vol.3 2000/8)から明らかで、上京したのはこの年の八月下旬。『ウメカニズム』は1962年、『妄想の花園』解説は1964年としているが、間違い。
ひばり書房「楳図かずお幻想ロマン」シリーズ。(たぶん、シリーズ第1作)
諸リストでは1961年の作品となっているが、1963年の発行かと思われる。
「青い火」シリーズのうち、ひばり書房系「青い火」は3種ある。これらを細かく校異を採ると大変そうなので、概略のみ記します。
オリジナルとしてのひばり書房版は、3段組。冒頭に次のような楳図の言葉が有る(原文には句読点がないので、補った)。
青春は、はしかにも似た……と形容される通り、誰でも一度は必ずかかるものです。それがいつであるかはその人によって異ります。私は今ここに、その貴重な一コマを惜し気なく、ごくさらりと打ち流すつもりです。決して下品にならぬ様心正しながら……登場人物の学年等を銘記しないのはそんなためです。あなたと同じかもわからないし、もっともっと年上かもしれないのです。どうかそんなつもりで御らん下さい。
ほか、ネームも漢字が多く、冒頭部分などでは「しゅん間私はキスしてもかまわないような気持になったのでした」などと、すこし大人っぽい(?)。
なかよし版は、ひばり版をトレースしたもの。原稿が無くなっていたのであろう。トレースは、秋田文庫『怪』の自解題から、他人の手になるものと考えておく。
デーコミ『怪』版は、このトレース版をもとに4段組に切貼り・改変し、背景等を加筆する。また、補筆でコマを増やしている。つまり、補筆部分は楳図の手だが、全体は他者の手になる。切貼りについては、参考までに記すと、デーコミ9頁でいうと、1コマ目は切貼り間違いで上下さかさま。4コマ目は加筆コマ。
初出のひばり書房本は、『まんだらけ』16号33頁に書影あり。A5、136頁。ひばり書房「楳図かずお幻想ロマン」シリーズ。
『なかよし』附録版とデーコミ『怪』版はトレース関係。とは言え、結構手を加えてます。例えば、映画館のシーン。「怪」では映画は洋画で「悲しみの詩」ですが、なかよし附録だと邦画時代劇で「のろいの面」だったりします。そのほか、背景を丁寧に描きこんでいます。
参照/虹版「あなたの青い火が消える」(1961年)
参照/フレンド版「あなたの青い火が消える」(1965年)
本作の執筆時期。諸目録では、『雪の花』『幻の火が消える』の順番で並んでいるが、『幻の火が消える』のほうが先のようです。『幻の火が消える』のお仕舞いに、次のように有りました。
「見るなの火」(ママ)いかがでしたか。これは以前に「あなたの青い火が消える」という私の短編が原型になっております。
前回「宿り花」の予告、「雪の花」に先がけてしまいましたが、いよいよこの次こそ、「雪の花」の予定です。是非「楳図かずお幻想ロマン」をお引立て下さい。お便りお待ちします。似顔絵及び、御希望のストーリィ等もお寄せ下さればさいわいです。
送り先 東京都文京区表町67 ひばり書房内 楳図かずお
「見るなの火」はちょっとびっくりしますが、「私の短編」とあるし、こういう説明も楳図本人の発言だと思う。で、いずれにしても、文脈はちょっとわかりづらいですが、次回が「雪の花」という事は確実でしょう。
吉野の山里に住む芸術家肌の人形師を主人公に、雪女伝説がからむという、モチーフ的には純日本風だが、「時間をテーマにタイムパラドックスをあつかったSFロマン」(楳図のあとがき風の発言)で、絵柄やラストの喪失感などふくめて『恐怖の地震男』にすこし似た感じがする。
本作は、15頁作品。時代劇。「楳図かずお幻想ロマン」と副題を持ち、扉には次の和歌を引く。
青がきにこぼれる色の淡けれど 深山ざくらの名こそとどめん
出典未詳。『国歌大観』に見えないよ。ただし、こそ已然の係り結びなら、「とどめめ」にならなくてはいけない。しかし、ストレートながらいい歌ですが。私にこれを「深山ざくらの名をやとどめん」に添削してしまいます。
所見は、所収『怪談』100号による。 刊行年の推定は、100号を祝う池川伸治のエッセイ(137頁)に見える「1968.1 池川伸治」の年記による。 所収作品は次の通り。掲載順で、楳図のみ「特別参加」とあるあたり、再掲載なのかな。
「快楽的恐怖漫画之宴」の貸本のコーナーに、書影とあらすじが紹介されています。
「佐藤プロ」は、佐藤まさあきのプロダクション。昭和37年5月佐藤の『血の破局』が自前出版の第一作。
以下、諸版について推測する(考証じゃなくて)。
最初、佐藤プロからA5判単行本で出た。たぶん、佐藤プロから出した楳図の最初の作品かと思う。その後、『ナック』に二分載され(1967年7月9月)、1968年の『ティーンルック』にも三回分載される(仙台のなおみさんにコピーを送って頂きました)。その後、1968年中か1969年に佐藤プロB6版(黒カバー)で再び出される。表紙はA5判単行本と同じ原画を流用した。また、内容もここまではたぶん同一原稿による同版と思われる。写植も一緒。ただし、猫面誕生時のコマ割りが佐藤プロB6版ではすこし違い、こだま出版以下はこれに倣う。さて、黒カバー版出来の際に、佐藤プロに原稿を預け、そのまま原稿は返却されず散佚したのだと思う。ともかく、佐藤プロ黒版の刊行年代は未詳だが、『ティーンルック』のほうが先だと思う。また、他の黒版(花文庫No.が附くものなど)に較べても、それより遅いと思う。たぶん、1968年の後半か1969年になってからの出来であろう。
続く、1984年の『猫面』こだま出版本は、原稿の散佚によって、トレース版で異版。写植も打ち直してある。線などは、『ティーンルック』の方が描きこんである部分も多い。
『妄想の花園』版は、こだま出版本でのトレース版を同書刊行時にまたかなり補筆したもの。だいぶ黒っぽくなっており、背景の描き足しもある。ネームのうち「三ツ口じゃ」が「裂け口じゃ」に変更されている。
ともかく、楳図の貸し本時代の原稿散佚は、多くの場合佐藤プロがらみではないかと思う。
以上、まとめると以下のとおり。佐藤プロA5を持ってないし、TeenLookも14号のみですが。
| 所収 | 成立 | 原稿 | ネーム | 誕生時コマ | 三ッ口 |
| 佐藤A5 × | 1963 | 原画 | 原写植 | ? | 〃 |
| ナック | 1967 | 〃 | 〃 | ? | 〃 |
| TeenLook | 1968 | 〃 | 〃 | 改変 | 〃 |
| 佐藤B6 | 1969? | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 |
| こだま | 1984 | トレース | 打直し1 | 〃 | 〃 |
| 妄想 | 2001 | 〃 | 打直し2 | 〃、加筆 | 裂け口 |
『ナック』自体は無刊記です。佐藤まさあき『「堕靡泥の星」の遺書』(松文館)178頁に佐藤プロの雑誌『ナック』の表紙が載っているが、この記事からは刊行年月がいまいち分からない。『COM』1967年8月号206頁に7月発行の旨が記されている。
このストーリーは、『鬼姫』に引き継がれる。『半魚人』にも影響を与えているでしょう。でも、ともかく僕は『鬼姫』との関係が一番大事だと感じる。
初出『劇画マガジン』は3号で、「海の恐怖」の特集号で、併録作品に水木しげる「太郎岩」。
『花』8集版は再掲ながらも巻頭カラー(7頁)を含む。刊行年次は推定。同号巻末の「編集日記」に次のようにある。
『少女フレンド』で「ねこ目の少女」などが入ってきたことをいっている。描き下ろしではない。山びこ姉妹が終って新しい作品をかいて下さった、楳図先生、雑誌の仕事にとりかかられ、おかげで「花」の原稿をいただくのに、編集部一同四苦八苦……。
佐藤プロB6版とデーコミ版とは、後者にスクリーントーンが多用され、ネームのみタイプ印刷から写植に変っただけ、一見異版に見えるが、同版と思う。たぶん、すでに原稿が無く、デーコミ版は佐藤プロ版を版下にして摺刷したと見る。
朝日ソノラマ諸版は、冒頭の数頁分(博士がフランケンを捨てるところまで)、描き直しトレースだと思う。タッチが違うしスクリーントーン(中間色)を全く使ってない。多分、『恐怖の地震男』版のほうがオリジナルか、オリジナルに近いのだろう。冒頭部以降は同版で、スクリーントーンを使っている。
初出を1962年とする資料もあるが、1963年より前に佐藤プロと楳図に交流があったとは思えない。
「一面識もないこの作家たち(楳図・谷・花村・新城ら)に手紙を書いた。……(中略)……楳図かずおは『OKです』と至極簡単なハガキをよこしたと思ったら、それから数日後には東京に来るという。多分この機会に東京見物でもするつもりかと思っていたら、ナップザック一つを肩にかけて、私の事務所……というかマンションの一室(高田南町)に居候をきめこでしまった。」。(佐藤『劇画の星をめざして』P.208の1963年の記事)
なお、高田南町の佐藤プロ事務所は1963年8月24日に引越したばかり。
初出は、併録に佐藤まさあき『猫を噛む鼠』。この佐藤作品は『劇画の星をめざして』著述目録では1963年の作とする。 また、刊行月は不明だが、佐藤『同著』著述目録から推測して、『劇画マガジン』3と、同4号との間の刊行と見る。
初出『劇画マガジン』は、未見。併載の佐藤まさあき「追うもの追われるもの」の脱稿時期(『劇画の星をめざして』で1963年中の作品とする)から、1963年中の刊行と見る。
『ヤングビート』創刊号は、巻頭記事に2頁見開きで1966年の各々マンガ家の年賀状風の絵を載せる。メンバーは、川崎のぼる、ふじ雅樹、佐藤まさあき、楳図かずお、記本隆司、みね武、南波健二、下元克巳の8人。また、扉のカット「TAKESHI.M 1965.11.30」のサインがある。よって、1965年末か1966年頭に出たのであろうが、内容的には1966年1月刊行と考えていいだろう。『まんだらけ』16号34頁に紹介が有る(年記のみ無し)。表紙は園田光慶。
『ヤングビート』版は、全30頁でうち冒頭5頁4色、偶数起こしで扉は見開き。巻頭掲載。
初出の『劇画マガジン』4号の表紙のカラー書影が別冊太陽『子供の昭和史 少年マンガの世界2』P69にある。バックに蜘蛛を配置して、驚愕の表情の次男の顔のアップ。表紙の文字は雑誌タイトルのほかは「楳図かずお」とのみあるだけ。
文春版は、貸本からの覆刻。ただし、描き文字を写植にしたり、文言にすこし違いが有ったり、等ネームが微妙に違う。原稿は後に散佚し、たぶんトレース版等も作られることは無かった。
初出誌は、楳図が巻頭で、併録に、佐藤まさあき「雨の日に…」、高橋真琴「わすれなぐさ」(絵物語というかイラストに文)。楳図作品は、雑誌自体の扉(楳図画1頁)も含めて全50頁(うち冒頭4色8頁カラー)、作品の後に「ロマンスムードいっぱいのおたより」を募集する記事8頁がある。創刊号ゆえまだ読者のおたよりは無く、ふざけ半分で「京都市 顔川ます雄(3才)」式のヤラセの冗談おたよりなんかが並ぶ。カットもあって、チイ子さん風の絵柄から、これもみな楳図が書(描)いていると思う。
作品の年記としては高橋真琴「わすれなぐさ」に「La 18an de Majo 1963」とある(フランス語?エスペラント?)1963年5月である。が、刊行は楳図上京後のはずで、もうすこし下ると思う。佐藤まさあき『劇画の星をめざして』の著作目録でも、本号所収の「雨の日に…」を1963年作品、『17才』2号の「兄妹」を1964年作品とするので、それらを勘案して、本「ロマンス療法」を1963年作品(年の暮れに近い)と見ておく。あるいは、1964年初頭の作品としても良いかもしれないが。なお、2号以下連載の「太郎さん羽奈子さん」は確実に1964年作品と見る。
本作は、『きいてください私の悩み』(少年サンデー1973年16号・『妄想の花園』所収)のプロトタイプ的な作品。
1964(昭和39 / 27〜28歳)[top]
「太郎さん羽奈子さん」シリーズは、初出『17才』の2,4,5号で3回の分載。
本作のタイトルは、初出においては、最初「奇蹟」であったものが、途中から「7才の季節」に変る。
『17才』5号には昭和39年12月15日の「日本漫画家協会発足」の記事も見える。だから、5号は翌1965年1〜2月頃の刊行と見る。
新書判『ロマンス病院B号室』は、初出と同版、同写植。ただし、三話をすべて連続させ、扉は省略。また、初出でのカラーはもちろん薄墨も新書判では再現していない。
主人公は山田太郎と中川羽奈子。ただし、二人の出合いを画策するそれぞれの弟、妹からの視点で描かれてゆく。羽奈子の妹みよ子は、やまびこ姉妹の妹かんな風で、後のピョンコにつながるウサギ風髪型。みよ子ら幼児が大軍をなしたりして、すでに『まこちゃん』。冒頭(2号)では楳図かずお本人が出てくる。鉄腕アトムも見える。
佐藤プロ版の所見は、3巻のみ(全136頁うち前16頁カラー。カバー欠、巻末に落丁ありだが。でも5000円だったし)。全巻末に、4巻の予告(2頁)、読者による似顔絵コーナー(11頁、うち131頁〜134頁落丁)、刊記(1頁)がある。似顔絵には「1965-1-31」とか、「1964」などの年記があり、たぶん3巻は1965年2月頃の刊行であろう。
(『ガモラ』第3巻の、次巻予告部分)
長谷川裕『貸本屋のぼくはマンガに夢中だった』(草思社刊・1999)208頁に「私の手元には一九六五年から七〇年にかけての、ゆたか書房(著者の実家)のマンガの仕入れ台帳が残っており、そこから、この期間の出版状況がうかがえる」として、1964年9月から10月のリストが載っている。実際の刊行とこのゆたか書房の仕入れとのタイムラグも気になるところだが、まめに神田神保町に仕入れに行っていたこの貸本屋と、「この期間の出版状況がうかがえる」という口ぶりからして、それほどの差異はないのかもしれない。
さて、そのリストであるが、楳図だけ抜出せば、
QJ叢書では『ガモラ』の刊行年を1、2巻は1964年頃、3巻を1965年頃としている。順当でしょう。
『花』初出オリジナルは、所見は1、2、3、4、6、7号のみだが、タイトルが「やまびこ姉妹」、副題で「へびおばさん 第幾回」。各冊巻頭カラー、タイプ文字、総ルビ。
佐藤プロA5判本は、巻頭8頁カラー。このカラー部分は、ソノラマ版以下、すべてモノクロで、精確なトレース版(描き直し)。
それ以外は、単行本は中身は総て同版ながら、佐藤プロ版、愛蔵版、ACセレクト版、文庫版ともに持つ見開きのタイトル画(姉妹二人が並ぶ絵。この絵は、第1回あたりの『花』で使った扉)があるが、サンコミ版には無い。なお、その前頁にある「蛇のうろこ!!」という絵は、『花』第6回の「前号までのあらすじ」で使ったもの(右上のアヒルちゃんも含めて)。
てなわけで、こうしてみるとサンコミ「こわい本」は案外良くない。むしろ、愛蔵版を基調とした文庫版のほうが良い本ということになる。
「なかよしブック」版は、冒頭部分は、初出原画を使用する佐藤プロ版と同じではあるが、通行単行本よりも4頁省略してあり、前半の「くちなわ」云々の姉妹の絡みと、ラストのさつきと冬子の1頁分が省略。128頁という分量に収めるための処理であろう。ただし、エピソード毎の見出し部分はあたらに書き直し、またセリフも通行本とかなりことなる。
佐藤プロA版と、なかよしブック版とで、その前後関係は未考。
『花』は「日本一のデラックス少女誌」(背表紙)。発行人は記本隆司(佐藤まさあきの実兄)、発行所は「豊島区高田南町1ノ156中谷ビル内佐藤プロダクション」。年記は無し。3号に「女流新人作家募集」の記事が有り、応募締切が「昭和三十九年十二月三十一日」とある。4号では、5号を1月発売と宣伝している。表紙は毎回高橋真琴が描いていて、6号には「La 3an de Februaro,'65 MAKOTO TAKAHASHI」のサインがあるから(表紙見返)、6号が出たのは3月かそこいらだろう(13号、16号、18号でも同じ画を使ってるが)。というわけで、1964年5月創刊で奇数月発売の隔月誌、と推測しておきます。
『花』13号には、1〜12号までの総目録が有る。
初出単行本は、1964年9月頃の発売と思われる。また、巻末に、ひばり書房によるマンガ家の人気投票がある。今回が二回目。ゴチックは原文のママ。たぶん、ひばり書房に描いている作家、という意味かと思うが。
緊急特報!!
マンガ作家の勢力分野決まる!!
業界最大の世論調査、日本全国より寄せられた回答そのままの集計である昭和39年度人気作家投票は総有効数二四六五の支持を得て、去る八月末締切った。
1位の小島剛夕は発行部数からいって当然である。さいとうたかを、江波の堅陣も依然安泰。古賀しんさくの進出が注目される。楳図・池川の個性的な少女ものが真価を認められ、このジャンルのトップに躍り出たのは時代の移り変りと言うべきか…意外なのは残酷物作家の退潮で、青少年保護条例の反映と考えられないこともない。また、書下しものが少ない雑誌作家に点が辛いのはこの種の調査として已むを得ないところ。古い観念にとらわれず、堂々と投票した人々に拍手を送りたい。左掲の表は121名の作家中ベスト40に入ったものである (評論家・A・O氏)(10票以下は省略)
順位 作家 票数 順位 作家 票数 1 小島剛夕 394 21 大石まどか 27 2 さいとうたかを 248 22 花村えい子 25 3 江波譲二 183 23 永島慎二 24 4 楳図かずお 145 23 水島新司 24 5 南波健二 125 23 水野英子 24 6 有川栄一 116 26 千葉てつや 23 7 古賀しんさく 84 26 田中美智子 23 8 白土三平 76 28 新城さちこ 19 9 横山まさみち 72 28 横山光輝 19 10 池川伸治 64 30 佐藤まさあき 17 11 いばら美喜 53 30 矢代まさこ 17 12 手塚治虫 43 32 社領系明 15 13 鹿野はるお 42 33 石川フミヤス 14 13 都島京弥 42 33 関すすむ 14 15 旭丘光志 39 35 牧美也子 13 16 川崎のぼる 38 35 木内チズ子 13 17 巴里夫 37 37 さがみゆき 11 18 平田弘史 36 37 川田漫一 11 19 浜慎二 34 39 松下哲也 10 20 山本まさはる 31 39 石森章太郎 10
気づいたこと。うーむ、やっぱり、敬愛するドン・コミック御主人、辰巳ヨシヒロ先生のお名前が、ないなー。他、次項『城跡にひそかに集まれ!!』での第3回集計の感想に同じ。
1965(昭和40 / 28歳〜29歳)[top]
東邦のホームランブックス版は、B5判。刊年は「昭和40年1月30日発行(毎月2回15日・20日発行)第2巻第2号(通巻17号)」と銘記され、表紙にも「1月30日号」と銘記されている。たぶん、15日に発行されたんじゃないかな。定価130円。全106頁(前表紙含む)、3頁から96頁までが「マスクボーイ(1)恐怖の大黒点の巻」。3頁はタイトルで、クレジットに「企画 東邦まんが 構成並画 楳図かずお」とある。前4,5,8,9頁は4色、6,7,10,11,14,15頁は2色。あとは1色。
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以下、前表紙見返の目次を引用。
「空とぶ凶器」という記事は、オーストラリアの「土人」のウーメラ(ブーメラン)の記事です! 107頁目(後表紙見返)には桑田二郎の「キングロボ」の予告と、本書の「あとがき」がある。次のとおり。執筆者は、「編集人 岡田朱実」であろう。
マスクボーイはいかがでしたか? 楳図先生は、主に青春ものや少女ミステリーなどがお得意ですが、科学漫画もなかなかイカシますね。
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この手のヒーロー物は、乾いた感じの手塚や石森には勝てない。なんせ地味でブキミすぎる。
『女の子あつまれ!』のプロトタイプ。『女の子あつまれ!』では、だいぶ描き加えてあるが、大まかなストーリーは共通している。冒頭にヒゲオヤジ、途中にシルエットでサザエさんが出てくる。
巻末に、「ピーターと遊ぼう」(ピーターパン=楳図の自称)という楳図に関する特集記事(13頁分)、ひばり書房主催の全マンガ家人気投票「昭和40年度人気投票集計」2頁の記事がある。この人気投票を掲げます。なお、ゴチは原文のママだが、意味不明。ひばりに描いてる作家、という意味だろうと思う。
小島剛夕3年連続優勝成る!
恒例の業界最大の世論調査、第3回全国単行本漫画家の人気投票は、年明けの新春5日締切り、同7日結果発表の運びとなった。
前年八月末発表の第2回に較べ、大きな変動は認められないが、それでも一般的にアクションもの、特にボスと殺し屋、荒々しいタッチを得意とする作家が目立って後退してきた。苦しまぎれに「社会派××」と謳っても、読者はもはや、ついてこない事を示している。
小島・江波・楳図の1〜3位は、作品の丁寧さからいって当然。池川が少女スリラーでの地位を固め、ユーモアでの山本まさはるの擡頭が著るしいのは、新しい時代の読者の傾向を素直に反影(ママ)していると思う……
(漫画評論家・AO&ST記)(小島の喜びの言葉・略)
昭和40年度人気投票集計
順位 作家名 得票数 順位 作家名 得票数 1 小島剛夕 214 21 鹿野はるお 35 2 江波譲二 140 22 水野英子 32 3 楳図かずお 129 23 浜慎二 29 4 さいとうたかを 104 23 松下哲也 29 5 山本まさはる 81 25 関すすむ 28 6 池川伸治 77 26 平田弘史 24 7 南波健二 76 27 田中美智子 22 8 白土三平 70 27 牧美也子 22 9 いばら美喜 60 29 社領系明 20 10 巴里夫 54 29 矢代まさこ 20 11 川崎のぼる 53 29 石森章太郎 20 12 古賀しんさく 51 32 花村えいこ 19 13 大石まどか 47 33 吉田松美 18 14 新城さちこ 45 33 横山光輝 18 15 水島新司 42 35 永島慎二 17 15 手塚治虫 42 36 佐藤まさあき 16 17 都島京弥 41 37 石川フミヤス 16 18 ありかわ栄一 40 38 さが・みゆき 12 19 横山まさみち 37 39 木内千鶴子 11 20 ちばてつや 36 40 川田漫一 9
以下 8票 岩井しげお・西条えりこ・杉戸光史 7票 旭丘光志・しきはるみ・水木しげる 6票 小沢おさむ・武本サブロー・小山葉子・関口みずき 5票 影丸譲也・沢田竜二・浅丘ルリー・一峰大二・関谷ひさし・鳥海やすと 全国読者から寄せられた二〇六三票(五人連記制の人気投票)を整理、一一三名の候補者の中から、五票以上得たものを掲載。38・39年度につづき第三回目の人気投票(左欄外)。
引用は以上。疑問も含めて、面白いデータと思う。以下、考察。
初出『怪談』76号は、1965年初頭の刊行である。巻末に、「第2回テープレコーダークイズ」の抽選を「今年1月7日」に実施したとあり、次頁にマンガ家の名前を並べて「1965年をリードする―業界最強の精鋭スタッフ23名!!」とある。つまり、どう考えても本号は1965年1〜2月の刊行である。
また、同じく巻末「短信」に次のようにある。
楳図かずお先生…目下、某劇団の研究生としてハッスル中。大映の大作に出演しておりますから、ファンの方、この水もしたたる美男子ぶりに御注目!! 気をつけィ。休めェ。
映画は『兵隊やくざ』1964年・大映、監督・増村保造。
というわけで、本作「ばけもの」は諸目録にあるような64年作品ではなく、65年発表の作品である。
因みに、その最強スタッフ23名をリストアップします。これ、ほぼ人気順に並んでいると思う。しかし、キャッチコピー、オリンピックだね(笑い)。
1965年をリードする
業界最強の精鋭スタッフ―23名!!より早く、より高く、より強く…前進を続ける
豪華・多彩を誇る豊富な執筆陣!!
つねに傑作を生み出す23人のサムライ!!
小島剛夕 ”長編大ロマン”・純愛忠臣蔵・怪談 江波譲二 ”トップ屋ジョー・シリーズ”・長編 楳図かずお ”楳図かずお幻想ロマン”長編 池川伸治 ”池川伸治・少女スリラー”長編 南波健二 ”ジャンプ獅子”アクション長編 山本まさはる "山本まさはるシリーズ"長編 佐藤まさあき "青春航路シリーズ"長編 松下哲也 "夜の少女ロマンスリラーシリーズ"長編 さがみゆき "少女サスペンス劇場"長編 古賀しんさく "ハードボイルドミステリー"長編 鹿野はるお "江戸世話もの・美男同心"長編 都島京弥 "ろくでなし・北上三郎シリーズ"長編 吉田松美 "不乱剣・次郎長水滸伝"長編 浜慎二 "太陽シリーズ"長編:怪談 関すすむ "クレイジー風来坊シリーズ"長編 社領系明 "馬鹿まるだしシリーズ"長編 岩井しげお "100万$アクション"長編 杉戸光史 "異色少女スリラーストーリィ"長編 佐々木隆雄 "青春パンチ・シリーズ"長編 川崎のぼる 西部アクション・忍者時代長編 大石まどか "青春純愛シリーズ"長編 新城さちこ "美しい10代シリーズ"長編 西条えりこ "純愛シリーズ"長編
所収本のうち、『怪談』90号にも所収と思ってきたが、同号には「目なし地蔵」を載せるのみで本作不載。
ひばり書房の『SF & 怪談』は、新書判のアンソロジー。所収は、浜慎二「見ひらかれた目」、いばら美喜「みな殺し」、小島剛夕「猫目石」、楳図かずお「ばけもの」、古賀新一「人形の声」、古谷あきら「奇声」。作者それぞれの紹介文が似顔絵付きで載る。楳図のものを掲げておく。
奈良県五条市出身。十九××年生れ。(××年のところが、いかにもSF作家的である。推理小説家笹沢左保氏の如く、昔のことをあまり語りたがらないせいもあって、より神秘的性を添えている) ゼイ肉のない、バネの豊かな体質で、有数の健脚家でもある。
軽快なタッチの青春ユーモア、それに怪奇物を得意とし、SFについても一家言あるほどの博識をもっている。けだし、み吉野の麓に育ったせいか。お菓子に目がなく、お茶目で、ジェスチュアたっぷりに目をクリクリさせる。
現在池袋に居住。なかなかの美声で、碁はプロ級。永遠のSF青年である。
「囲碁がプロ級」というのは、初めて聞いたなあ。五目並べが高校時代得意だったという話は聞いたことが有るけど。(追記。父の公雄は囲碁が趣味で得意で、碁会所を経営したりしたこともあった)
立風書房『貸本怪談まんが傑作選』は、菊池秀行編集解説。所収を『怪談』76号とする。諸目録では90号とするものがあるが、菊池秀行のほうが正しい。尤も、『怪談』誌の掲載作品は、どうも三回くらいは再掲されるのだそうです。
『なかよし』附録は、3軒茶屋『古書マンガカタログ』Vol.2(88頁)による。
ソノラマ系前三本は同版。文庫版もほとんど同版だが、一部小異あり(「ああら青山先生わたしとても悩んでおりますの」の吹出しのキレを、文庫版ではつないでいる、等)。主人公松本あぐり。魚のマクラが愛らしい。青山先生に対する花岡先生(短気な女)のほのかな恋心も可愛らしい。
『ウメカニズム』で荒俣宏が、東邦漫画出版社本と東京トップ社本との違いについて触れている。
東京トップ社版は冒頭8頁カラー。サン出版新書判はすべてモノクロだが、オリジナルの原稿を使っての覆刻。ただし、誤植を一ヶ所改め(「なにオマンネスがきたか」(オリジナル77頁)→「なにオアンネスがきたか」(新書判83頁)、小見出しの白黒を反転させている(オリジナルは白地に黒文字、新書判は黒地に白文字)。
新書判は、「恐怖人間(残虐の一夜)」併録。また、巻末に「楳図かずお恐怖画廊」と称して、扉絵や目次を各1頁で6点掲げる。
初出『17才』の所見は8号、9号。(なお、『17才』7号は楳図は執筆していない。)
『17才』の刊行時期、8号は1965年10〜11月頃の刊だと思う。併載のふじ雅樹『ハート・パンチ』に1965・9・17という年記がある。因みにふじ雅樹は、旭丘光志のアシスタントを経て独立。また、9号は、読者の手紙、併載の佐藤作品「紅白ぶたれ合戦」の著述時期などから、1966年1月頃の刊行と見る。
『17才』の刊行は、隔月刊行(のかなり遅れ気味)ぐらいだったように思われる。あとがきに「二ケ月に一度は出したいと思っているのですが、なにしろ忙しい先生ばかりで……」などと書いてある。
諸版について。初出では三段割り。なかよし附録版は、その忠実なトレース版。ただし、ラストにある裁ち切り大コマのページ(デーコミでは173頁、175頁)は、なかよし附録版での補筆。初出誌には無いコマだが、楳図の手とは思いにくい。
次に、デーコミでは、なかよしトレース版をもとに、四段割りに改変する。また、コマの数こそ増えてはいないが、前半を中心に随所に補筆がある(紙の継ぎ目もみえる)。
物語後半にイヤミ(赤塚不二夫)みたいな出っ歯のキャラクターが出てくるが、これはまさにイヤミのパクリです。初出8号の見開きの扉には、オソ松兄弟、イヤミ、ひみつのアッコちゃん、などの赤塚キャラクターがちりばめられているのです。
『花』20集の刊行年月は、同誌が隔月刊であることからの推定。ただし、次項の『なかよし』附録版とほぼ同じ頃なのが、すこし不安。
初出『花』10集と再録『花』20集とで、異版。コマをカットしページの圧縮あり。
『なかよし』附録版は、同附録7月号『まだらの少女』巻末広告による。
文春文庫本は、出典に「『花』20集記念デラックス号(佐藤プロ)刊行年不明」とあり、『花』20集とまったくの同版。
オリジナル原稿は散佚している。こだま出版本は、『花』からのトレース版。補筆のコマもあり、少し冒頭部分などがすこし付足しがある。
入手しやすい文春文庫本とこだま出版本とは、本文にも異同が有り、概してオリジナル復刻の文春文庫本のほうが良い。『妄想の花園』版はトレース版を利用している。
初出および佐藤プロ『ねこ目の少女』版は未見だが、デーコミ版、『妄想の花園』版は、それぞれに補筆などと行っている。特に『妄想の花園』版は同書刊行にあたって補筆されたらしい。
佐藤プロ本はA5、全132頁。「ゆうれいがやってくる」を併載。
『なかよし』附録は、3軒茶屋『古書マンガカタログ』Vol.2(88頁)による。
先祖の猫嫌いが子孫に祟るという因果応報的ディスクールは、ナンセンスを旨とする楳図世界においては異質な感じもするが、これも外在的恐怖と考えていいんだろう。少なくとも勧善懲悪的応報ではない。兎に角、時間をとびこえるストーリー展開(イアラに結実)が素晴らしい。
佐藤プロ『人魚物語』版は、紙の継目なども見えるので、補筆有りと思う。ネームはタイプ文字。
デーコミ版は、佐藤プロ版をもとに、スクリーントーンなどが増加し、最後のコマ(窓際の母子の絵)などに描き足しがある。ネームは写植。架蔵本は、刊記に「昭和63年1月5日 初版発行」とある。1998年10月3日に新刊で『百本めの針』を購入したら、カバーのみ新しくしてあったが(ISBNやバーコード附き、背に絵がない)、秋田書店は潔く中身は初版のままでした。
繭さんから、『少女フレンド』増刊・楳図かずお特集号(1987年)についての情報を貰いました。扉絵は新たに描き直し、デーコミ版でのスクリーントーンなども、たぶんこの時に貼って手直ししたのだろうと思います。楳図へのインタビュー記事も2頁分ある(2001-03-29)。
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| 佐藤プロ花文庫版は、雑誌掲載の時のものをほぼそのまま再現していると思しく、コマ割り、ネームふくめ、コンパクトコミック以下の新書判単行本とかなり異なる。刊行年月日は、同書に『17才』9号、『花』12号の発売中という広告がある所からの推測。左は書影。迫力あるねえ。 『なかよし』附録版は、佐藤プロ版のトレース版。構図、コマ割り等は同じ。ネームは、内容はほぼ同じだが、ゴシック体に貼り換える。 コンパクトコミックス『まだらの少女』は、『ママがこわい』に、『少女フレンド』継続連載の「まだらの少女」を「それから数か月後」というナレーションでつなぎ合せて一話にしたもの。原稿は、トレース版でなく、元原稿を利用している。繋げるにあたり後補筆あり。また随所に紙の継目も見える。また、弓子の顔も、影をつけたり、口元を描き直したりと、かなり手直しがされている。この版を元にし、ネームも部分的に改変(切貼り)して、デーコミ『まだらの恐怖』が出来ている。版面、コマ割りともほぼ同じだが、コンパクトのほうは薄墨があり、ネームにも小異あり。 |
(1999-08-09) 小学館 「My First BIG」。 インタビュー有り、よいお言葉なので引用させていただきます。
世紀末って言っても、なにも変らないと思いますね。(中略)
コンピューターの2000年問題も、あんまり関心ないですね。大したこと起きないと思いますよ。多少トラブルがあっても、1週間も2週間も続かないと思うし。
でも、なにかが起きてほしくて、自分からなにかしでかしてしまう奴は出てくるでしょうけどね。やっぱり、同じ状態が続くのってイヤですから。で、人間って、小さいところと大きいところが逆転してしまうような面があって、たとえば学校行きたくないから、学校に放火したりするじゃないですか。自分が学校行かなきゃいいだけのことなのに。だから、ハルマゲドンに期待するような人っていうのも、「毎日、会社行くのイヤだなあ」って思ってて、「じゃあ地球を滅亡させちゃおう」っていう発想なんじゃないかな(笑)。そういう連中のうち誰かは、絶対になにかをやりますよ。
オウム真理教の人たちがサリン撒いたのも、そういう感じですよね。現実がイヤで、「空を飛びたい」って空想するのはいいんですよ。空を飛ぶ修行をしてるっていうのも、そこに目指す創造がある。でも、「空を飛びました」「これが飛んだ写真です」と、現実を作り出してしまったら、その時点で創造ではなくなるんですね。夢と現実の区別がグチャグチャになっちゃって、自分たちでサリン撒いてハルマゲドンだなんてことになる。でも、本当のハルマゲドンというのは手を加えなくても起るバランスの崩れのことだと思います。
(2000-12-10) 角川ホラー文庫『へび少女 --楳図かずお恐怖劇場』について。並べ方が面白い、というか破天荒。「へび少女」「まだらの少女」「ママがこわい」の順番である(うーん、意図、あるのかなあ)。
デーコミは、ソノラマ版とくらべて、同版ながら、スクリーントーンが増加し、セリフも分かり易くかなり変っている。
美しさを争い敵対する朝霧面と夕霧面。それをかぶってしまった女の子、あや子と雪子は、『ロマンスの薬』の春名と秋子の雰囲気。
佐藤プロ版は、『まんだらけ』16による。正編の12頁の写影も載るが、いまのデーコミと比べて、別版(書き直し)。また、デーコミとSVコミックスとも、齣割りが異なる(後出『へび少女』を参照)。
『なかよし』附録は、3軒茶屋『古書マンガカタログ』Vol.2(88頁)にも書影が有ります。
冒頭で殺される看護婦を医者が見ていうセリフ「毒……/猛毒で死んでいる」(SV版)、「死んでいる……/マムシにかまれた時と同じ症状で死んでいる」(デーコミ)等を始め、コマ割りや書換えもあり、異同あり。なかよし版、デーコミ版、SV版ともに絵も補筆による異同が多い。前掲「ママがこわい」も参照。
初出は四段組で全16頁。対して、所収は三段組(全29頁)に改変して適宜紙を継いでコマを広めに取って補筆する。扉は同じ、ただしタイトルロゴは微妙に違う。
参照/虹版「あなたの青い火が消える」(1961年)
参照/ひばり書房『幻の火が消える』(1963年)
初出誌で「編集部ニュース」(141頁)に次の記事が有る。
「こわいまんがでおなじみの楳図かずお先生が、映画『戦場にながれる歌』に出演していたことがわかりました。けんかの場面にちらっと顔を出すんだそうです。『来年の夏には、おばけ映画に出ようかな。』ですって。」
『戦場にながれる歌』は1965年東宝映画。森繁久弥・加山雄三などが出ているらしい。年をごまかして劇団ひまわりに入った成果です。
雑誌初出は未見。
佐藤プロ版も未見。刊行年は、花文庫No.2『ママがこわい』の刊行年の推測からの又推測。
『なかよし』附録は、トレースではなく、初出の原画を利用したものだと思う。この『なかよし』版に、随所に補筆のコマを挿入し、中間色のアミのトーンを使ったのが、以下の朝日ソノラマ版。補筆もタッチは一定で、全体のストーリーも大きな差異はない。
朝日ソノラマ・サンコミックス版は、カラー口絵有り。扉絵はソノラマ漫画文庫と同じ。ハロ少版・文庫版こわい本は扉絵無し。文庫版こわい本は巻頭カラー(後着色)。
一人で描ききれなくなり、アシスタントをつけるようになったのはこの『紅グモ』からだそうです(『ウメカニズム』P228のインタビュー)。佐藤プロ『17才』8号(1965年10月頃刊)の巻末に、「楳図かずお先生のアシスタント募集」というコラム記事がある。15〜20才、男女不問、通勤住込共可。
1966年『少年マガジン』別冊は、総集編を前後編に分載したもの。(後編は未見)
1968年『少年マガジン』増刊号は、総集編。現物未見。「翠光堂書店漫画目録」17(2000年4月)108P、および樫原かずみの御教示による。「半魚人」以外に「人食い不動」(人喰い不動)、「悪魔の手を持つ男」、「首なし人間」(恐怖の首なし人間/うめずプロ(ピーター伴名儀))を所収。
『復刻版 少年マガジン大全集』は全3巻。楳図作品の所収は「半魚人」のみ。大きめの版で、良い。
雑誌初出は未確認だがコミックス六版の異同を示す。
以下セリフの校異。( )はページ。ルビは、表記の差異だけ問題とし、有無は取上げてない。
| 初出マガジン版(Page) | サンコミ版(Page) | サンワイド版(Page) | ハロウィン版(Page) | ソノラマ文庫版(Page) | 講談社復刻版(Page) | 講談社コミック(Page) | |
| いってきたのだろう? ………それに(18) |
同左(230) | 同左(18) | 同左(16) | いってきたのだろう? それに(278) |
同左(16) | ||
| すい眠薬ののみすぎにより生れた奇形児じゃ(50-202) | すい眠薬ののみすぎにより生れた奇型児じゃ(45) | すい眠薬ののみすぎにより生れた異常児じゃ(257) | ある薬ののみすぎにより生れた子どもじゃ(45) | 同左(43) | すい眠薬ののみすぎにより生れたんじゃ(305) | 薬の乱用や公害が原因かもしれん!(43) | |
| さっき説明した奇形児の問題とかんけいがあるのだが(50-204) | さっき説明した奇型児の問題と関係があるのだが(47) | さっき説明した異常児の問題と関係があるのだが(259) | さっき説明した奇型児の問題と関係があるのだが(47) | 同左(45) | さっき説明した問題と関係があるのだが(307) | 同左(45) | |
| するとねむれぬ人はすい眠薬をのむからさかなのようなあざらし状の人間が生まれるというわけじゃ(50-204) | すると眠れぬ人はすい眠薬をのむからさかなのようなあざらし状の人間が生まれるというわけじゃ(47) | 同左(259) | すると眠れぬ人はある薬をのむからさかなのような人間が生まれるというわけじゃ(47) | 同左(45) | すると眠れぬ人はすい眠薬をのむからさかなのようなあざらし状の人間が生まれるというわけだ(307) | すると眠れぬ人は水を恐れるあまりさかなのようなあざらし状の人間が生まれるというわけだ(45) | |
| いまこの家に半魚人(はんぎょじん)がにげこんだでしょう() | いまこの家に半魚人(はんぎょにん)がにげこんだでしょう(54) | 同左(266) | 同左(54) | 同左(52) | いまこの家に半魚人(はんぎょじん)がにげこんだでしょう(314) | 同左(52) | |
| それに半魚人(はんぎょじん)説を書いた書類を見てはきちがいみたいになるんだ() | それに半魚人(はんぎょにん)説を書いた書類を見ては狂ったみたいになるんだ(270) | 同左(58) | 同左(58) | それに半魚人(はんぎょじん)説を書いた書類を見てはくるったようになるんだ(318) | それに半魚人(はんぎょにん)説を書いた書類を見ては恐怖におののくんだ(56) | ||
| 地球がほんとうに海になるのなら半魚人(はんぎょじん)になった健ちゃんは() | 同左(305) | 同左(93) | 地球がほんとうに海になるのなら半魚人になった健ちゃんは(91) | 地球がほんとうに海になるのなら半魚人(はんぎょじん)になった健ちゃんは(353) | 同左(91) |
「半魚人」の訓みは、講談社復刻版ではジンと一定しているが、講談社コミック版ではジン・ニンと一定しておらず、サンコミ以下ソノラマ系三本ではニンに統一されている(タイトルルビまで!)。当然タイトルとしてはハンギョジン。
ついでながら、講談社コミック版。復刻するなら扉絵も全部含めて復刻して欲しい(原稿、無かったのかな)。
1966(昭和41 / 29〜30歳)[top]
佐藤プロ『花』18号は巻頭掲載でないし、12号以後既に『花』に書き下ろしを出さなくなってるかとも思うので、再録だろう。18号は、表紙に「MAKOTO '67」と高橋真琴のサインがあるので、1967年刊行と考えておく。
『花』とデーコミとを較べると、デーコミでスクリーントーンが増えているが(『花』ではトーンは使わず、薄墨を使っている)、基本的にコマ割りにも変化が無く、微細な部分にも変化は見られず、同版と見る。
初出誌所見は、樫原かずみ氏から送ってもらったコピーによる。9号で、連載の4回目だと思うが、まだ完結編ではない。
少年マガジン増刊号は、総集編。「ひびわれ人間」「死者の行進」「復讐鬼人」を所収する。1月刊行(中野書店『漫画目録』35号28頁)ではなく、8月刊行。
コミックス4版はみな同版、ただしタイトルの題字に小異、前三者は総ルビ、文庫版は固有名詞以外ほぼルビ削除。冒頭の幾ページは絵柄が異なり後補筆と思う。悪人の「三郎」という三男が出てくるが、こいつ関谷そっくりです。
『なかよし』附録は、3軒茶屋『古書マンガカタログ』Vol.2(88頁)による。
デーコミ版と恐怖劇場版とは大分違う。雑誌初出未見なので、以下推測ですが。
ショウワノート(昭和ノート株式会社)に「楳図かずおこわいマンガシリーズ」があり、「やまびこ姉妹 へび少女」がある。A5判くらいの中綴じノート、前後表紙はカラーのイラスト、その各見返に2頁のマンガ作品がある。このシリーズには、「きつねつき少女」「ねこ目小僧」などもあるらしい(夏樹晋さんご教示)。販売年代は未詳だが、絵柄から1968年〜1969年頃のものと推測する。
初出『マガジン』では「人気まんが家のひみつ100」という特集が有り、楳図情報もいくつかある。略出すると、
ソノラマ版は同版。ルビ無し。ただし扉のタイトル文字が小異。文庫版では上欄のタイトルが「内面」になってる(情けな〜)。
所見は10,11,12号のみ。13号は未見、というより、刊行されたのかな。未完作品かも。
10、11号は1966年中の刊行と思われるが、12号は、すでに1967年5月頃の発行と思しい(併載松森正の制作年記より)。絵柄もだいぶ後年の手に変化しつつあり、特に12号は『少年画報』っぽいタッチである。
本作が、楳図が佐藤プロに描き下ろした最後の作品であろう。1965年後半にメジャーデビューし、1966年中頃までは『花』(12号まで)、『17才』にも描いていたが、その後は再録の単行本などで刊行されるものの、描き下ろしは無くなる。
「わたしは鉛筆」というセリフで始まり、鉛筆が内省してゆく。すごい!真悟みたい。
ソノラマ二版は同版、ただしハロウィン版は総ルビ、文庫版はルビ削除。ラストシーンなど絵柄が異なり後補筆と思う。楳図版ドクターモローの島。
『少年画報』については、安井目録の所収号数情報は、ちと怪しいと思う。安井情報は「首なし男」を8月号とするが、8月号は「地球最後の日」のみの掲載のようである。7月号か?(『中野書店漫画目録』37号(221番)に七月号とあった)
『少年画報』は月刊誌。全作品にコマ番号を附しているが、雑誌中ぜんはんに掲載の手塚や藤子や赤塚等の作品は印刷したものを切貼りしているが、楳図等は後半に置かれる事が多いか、僕のみた限りでは、すべて手書きのコマ番号。
(2001-07-18) 『少年画報大全』(同社、2001年7月)の出来で、全貌が分かりました。次のようなかんじで『少年画報』への掲載分すべて。
『少年画報』所収情報は、中野書店『漫画目録』35号14頁、37号14頁による。
コミックスは同版、ただし扉のタイトル字体異。
作品中に、国松くん(ちばてつや)が出てくる。楳図本人も出てくる。
初出のうち、所見はまだまだ少ないです。連載号数の情報は、かならずしもアテになりません! 特に初連載の「800年目のミイラ」などは、既存目録のごとく1966年9月ではなく、1966年7月が正しいです。
名作揃い。コミックス版では、紙の接ぎ目あり、無駄に広いコマあり、タッチの違う絵が有り、で、補筆がかなりあると思う。
佐藤プロの新書判は、『平凡』連載とほぼ平行して刊行されたらしい(『人こぶ少女』の前書き)。故に、1968〜9年頃の刊行と見る。『右手の秘密』のほうは、そういうタイトルかどうかも不明。いずれにしても、サン出版『恐怖の地震男』に紹介されている扉は、この佐藤プロ版のもの。
デーコミは総ルビ。文庫旧版は、そのまったくの同版。文庫新版もその同版、話順も同じ。ただし、扉絵改ルビ削除、巻頭カラー(後彩色)、解説、佐野史郎・小野不由子。
豪華版は、四六判ハードカバーで初版しか存在しない。ただし、覆いカバーには少なくとも二種類あり、背の下に「★」があるのが初カバーだと思う。また、1巻目の背の上の色が深緑色(後のカバーは焦茶)。所収は、全二十二話中十七話。ただし、両冊巻頭に「プロローグ」、「こわい本」を収める(この二話のみカラー)。なお、「プロローグ」は、映画エクソシスを元にして「憑かれた主役」と「イヌ神」の絵を流用する(その絵が文庫新版の表紙に使われる)、というわけの分からない作品。また両冊巻末に、望月あきら「楳図かずおさんのこと」と楳図かずお「"恐怖"について」というエッセイ(各1頁)を附す。望月は『花』等佐藤プロ時代の友人。
コミックス収録にあたって改題があるので示します(デーコミ順に配列。巻き立ても)。○印は豪華版の所収話(デーコミ、秋田文庫新旧両版は所収話は同じ)。
| 初出『平凡』 | → | デーコミ〔文庫〕 |
| 奪われた心臓 | →○ | うばわれた心臓 |
| 吸血面の呪い | →○ | 吸血面 |
| 謎の毒蛾 | →○ | 毒ガ |
| 恐怖の館 | → | 〃〔偏執〕 |
| 右手の秘密 | →○ | 白い右手 |
| 顔を見ないで | →○ | 〃 |
| 動く自画像 | →○ | こわい絵 |
| 雪女の恐怖 | →○ | 雪女(以上第1巻) |
| その目が憎い! | →○ | 魔性の目 |
| 憑かれた主役 | →○ | とりつかれた主役 |
| 800年目のミイラ | → | 〃 |
| 切れない枯れ木 | →○ | 枯れ木 |
| 呪いのヨット | → | 孤独なヨット |
| 謎の墓場 | →○ | 夜あるく者 |
| 吹雪に消えた二人 | →○ | 雪山のまねき(以上第2巻) |
| 顔を返して! | →○ | みにくい人 |
| 笛が呼ぶ謎 | →○ | サンタクロースがやってくる |
| 割れたつり鐘 | →○ | われた釣鐘 |
| 大怪獣コンドラの謎 | → | コンドラの童話 |
| 犬神の死霊 | →○ | イヌ神つき〔イヌ神〕 |
| 悪魔の24時間 | → | (未収) |
| (ティーンルックから) | →○ | 灰色の待合室(以上第3巻) |
「悪魔の24時間」はながく単行本未収作品だが『妄想の花園』に収録された。仁木先生の双子の弟がハイドみたいになる話。
「奪われた心臓」はオリジナルビデオになって販売されているようです。制作/EMOTION、発売/BANDAI、監督・脚本/早川光、(c)鎌形SS,楳図かずお、カラー45分、モノラルHiFi、9800円、1985年10月28日発売。『ハロウィン』1986創刊号の表紙見返の広告より。また、「EVIL HEART」という英語版に訳された「奪われた心臓」の小冊子がある(夏樹晋氏ご教示)。
円谷プロとのタイアップで放映前から連載が始まった。実写のマンと微妙に似てなかったりするのだが、それは写真資料などもほとんど無く、パイロット版だけを見せられて記憶で描いたためだからで、それなら逆にすごい。
サンコミ3巻本は解説・安井ひさし。オーソドックスに初期作品の解説をしていてわかりやすい。
サンスペシャルコミックス版は「ウルトラマン誕生25周年記念」と銘打って出されたもの(帯に記載あり)。解説に金田益美。
講談社P-KC本はセリフも含めサンコミ両版と同版だが、一コマのみ異(サンコミ版p167、サンスペ版p504、P-KC版p25の四段目コマがネガになっている)。
朝日ソノラマASコミックスは、コンビニ本。上下2巻で、2003年末に上巻が刊行。上巻にはバルタン星人、ヒドラ、ガヴァドン、ジラース。下巻にドドンゴ、ツイフォン、メフィラス星人。
手元に『マガジン』66年29号があるが(バルタン星人)、扉に「楳図かずお/原作・千束北男/(C)円谷特技プロダクション」。扉にはまた「科学アクションまんが」とも書いてありますね。なお、サンコミと較べると、コマ割りは同じだがセリフが案外違う。P-KC本の扉に「原脚本・若槻文三/(c)1966 円谷プロダクション」とある。
まんが秘宝『ぶっちぎりヒーロー道』洋泉社MOOK 1997 に、1頁だけだが本作品についてのエッセイがある(ゴリオリバー岩佐氏執筆)。
ドドンゴで、人間へのメッセージとして、ウルトラマンが掌に「大爆発 ガソリン+過酸化水素」と書いて見せるのも、なかなか良い。これは楳図先生も気に入っていたらしく、『まことちゃん』12巻30頁で『ウルトラマン』を宣伝して「ウルトラマンがよい子のさんすうをしているシーンもあるど!!」と言っている。
『少年画報』初出の所見は9月号のみ。初出を10,11月号とする目録があるが間違い。(『中野書店漫画目録』37号15頁に10号所収の由あり)
別冊太陽『子供の昭和史 少年マンガの世界2』P89に「大怪獣ドラゴン」の後編の扉(カラー)が載る。サンコミ両版の扉絵に使われているもの。
所見の9月号の扉もカラー。で、タイトルも「大怪獣……」とある。諸目録にはこの初出題を「原子怪獣……」とするものがあるが、その根拠は未詳。
初出とサンコミとでは、あまり差がない。セリフも、ルビを削るのみで、内容の変更はもとより、同じものを使っているかと思われる。(というより、サンコミは、生原稿からでなく、雑誌から復刻したのではないかという感じの、版面の荒れ具合いですね)。なお、後筆も皆無かと思う。
『少年画報』所収は、諸目録に従っていままで12号としてきたが、他と計算が合わない。『中野書店漫画目録』37号15頁により11月に訂正。
タイトルは不気味だが、シャム双生児の二人が自己の意志に目覚め争う、というもの。見た目は怪物だが心は赤ん坊、というもの頻出するモチーフですね。絵柄は、少年マンガを意識しているがマガジン風ともちがって、やっぱキング風と名付けよう。文庫こわい本14巻の安井目録には「協力・佐間一平」とあるが、どういう意味かな。
1967(昭和42 / 30〜31歳)[top]
この年も、描きまくってます。過労で、年末に『ねこ目小僧』の4色を仕上げてぶっ倒れてしまい、奈良の実家に戻って静養する。
少年探偵五郎モノ。なかなかの傑作。
ソノラマ二版は同版(ルビなし)、扉改変。文庫版は12巻目冒頭カラー、ちょっとケバいが愛蔵版からの原着色か。
本文(セリフ、コマ割り)は、ハロ少版と文庫版と同じ(yamada/ハロ少女と文庫版/さん調査)。
初出『少年画報』の所見は、67年10月号のみだが、コマ割り・セリフともにコミックス版と殆ど変らない。コミックス版に見られる補筆は、初出で半頁分のコマ割りしかしてない(例えば、1頁で縦左半分が広告と言った頁)部分などを書き足している程度(例、キンコミ版258頁、サンコミ版後編52頁の雷「ゴロゴロ」のコマのある頁。なお、初出用のコマ番号「100」が消し忘れですね)。
デーコミ版、接ぎ跡、後補筆あり。ただし、楳図本人は、「これはそのまま『少女フレンド』に描いたもので、もとの題名は「人こぶ少女」です。」と言ってはいる(秋田漫画文庫『怪』第3巻・解題)。
少年サンデーなんかの後ろのコミックスの広告には、『怪』のテーマ的なイラストとして、この人面瘡の絵が載っていた。子どもの頃極度に怖がりだった私は、この絵を見ることさえ已嫌っていました。
佐藤プロ版は併録作品に「木の肌花嫁」。コマ番号は付いたままである。表紙絵は、『少女フレンド』1967年26号の扉絵より。
フレンド連載時のタイトルは、「赤んぼ少女」。デーコミの「のろいの館」を経て、後に「赤んぼう少女」となる。
デーコミと漫画文庫の秋田系二版は、ふつうはそのまま手抜きで同版なのだが、この作品はセリフに異同あり。
この校異は、それぞれ次の版を使用しています。初版とか持ってないのよ。デーコミも最新版(Bとしました)は異同が有りますね。
| デーコミ(Page) | 漫画文庫(Page) | SVコミックス(Page) | 角川ホラー(Page) |
| A.孤児院へいれられたりひどいおうちへもらわれて女中がわりにこきつかわれたり(7)
B.施設へいれられたりひどいおうちへもらわれてお手伝いさんにこきつかわれたり |
養育園へいれられたりひどいおうちへもらわれて手伝いがわりにこきつかわれたり(5) | 施設へいれられたりひどいおうちへもらわれてこきつかわれたり(5) | 同左(7) |
| A.きのうまでの孤児院の生活がうそみたい(12)
B.きのうまでの施設の生活がうそみたい |
きのうまでの養育園の生活がうそみたい(10) | きのうまでの生活がうそみたい(10) | 同左(12) |
| ば 化けものっ(30) | こわいっ(28) | 同左(28) | 同左(30) |
| わたしのタマミを化けものだなんて(31) | わたしのタマミをこわいだなんて(29) | 同左(29) | 同左(31) |
| 五年も前にわたしがよその施設へやったはずの子(33) | 五年も前にわたしがよそのうちへやったはずの子(31) | 五年も前にわたしがよその施設へやったはずの子(31) | 同左(33) |
| 見なさい生れたままでちっとも大きくならないのだ そ そいつは化けものなんだ(34) | 見なさい生れたままでちっとも大きくならないのだ(32) | 同左(32) | 同左(34) |
| ええっ見るなうす気味のわるいっ(35) | おまえは何を考えているのだ(33) | ええっ見るなうす気味のわるいっ(33) | 同左(35) |
| おまえにはずっとかくしておくつもりだったのだあんな化けもののことは(35) | おまえにはずっとかくしておくつもりだったのだあのタマミのことは(33) | おまえにはずっとかくしておくつもりだったのだあいつのことは(33) | 同左(35) |
| タマミはまた施設へやったよ(44) | タマミはまたよそへやったよ(42) | タマミはまた施設へやったよ(42) | 同左(44) |
| かえしてくださいっあの子を施設からかえして!!(44) | かえしてくださいっあの子をかえして!!(42) | 同左(42) | 同左(44) |
| おねえさんが施設にいってからもう数日になるわ(49) | おねえさんがよそへいってからもう数日になるわ(47) | おねえさんが施設にいってからもう数日になるわ(47) | 同左(49) |
| あんな化けものさえ生まれてこなければよかったのだ(57) | あいつさえ生まれてこなければよかったのだ(55) | あの子がなあ…………(55) | 同左(57) |
| タマミは施設にやったんだ(58) | タマミはよそへやったんだ(56) | タマミは施設にやったんだ(56) | 同左(58) |
| 葉子にわたしの顔を見せてやるのよ電燈をつけてよ(75) | 葉子にわたしの顔を見せてやるのよ電灯をつけてよ(73) | 葉子にわたしの顔を見せてやるのよ電気をつけてよ(73) | 葉子にわたしの顔を見せてやるのよ電燈をつけてよ(75) |
| A.そうしておまえはあたしの女中なのよいいねっ(77)
A.そうしておまえはあたしのお手伝いなのよいいねっ |
そうしておまえはあたしのしもべなのよいいねっ(75) | そうしておまえはあたしに使われるのよいいねっ(75) | 同左(77) |
| ふんっちょっと顔がきれいだと思ったらうぬぼれて(110) | ふんっちょっと顔がきれいだと思ってうぬぼれるな(108) | ふんっちょっと顔がきれいだと思ったらうぬぼれて(108) | ふんっちょっと顔がきれいだと思ってうぬぼれて(110) |
| だがタマミは素性の知れないいきだおれの女が生んだ娘だったのだ(143) | だがタマミは身元の知れないいきだおれの女が生んだ娘だったのだ(141) | だがタマミは素性の知れないいきだおれの女が生んだ娘だったのだ(141) | 同左(143) |
| きみは心まで醜いのかそれじゃ化けものといわれてもしかたがないっ(144) | 同左(142) | きみは心まで醜いのかそれじゃきらわれてもしかたがないっ(142) | 同左(144) |
「化けもの」というターム無しでこの作品を理解することは出来ないと思う。その点、今読むならデーコミが一番です(いまでも新刊で売ってます)。ただ、孤児院→施設、女中→お手伝い、など直してありますが。デーコミが直しているなんて、しらなかった。
楳図かずおには、因果応報的・勧善懲悪的(悪人ゆえに懲らしめられる)な関係には恐怖が成立しない、という趣旨の理念がある。『恐怖への招待』や『やさしい唯脳論』などで、お岩さんなどは恐いというより「お岩、頑張れ」と応援したくなる、と言っている。「日本的恐怖」とも。たしかに裏切られいじめぬかれたお岩が伊右衛門にたたるのだから、理屈としても納得されるところだろう。楳図マンガはまさにその逆で、ナンセンスな恐怖がメイン。恐怖は前触れもなく外からやってくるし、自己の内面の恐怖も自分が気付かなかった何物かである。「行いが悪かったために降りかかる災難」なんてもの(エコエコアザラク的な)とは無縁。そして恐怖の対象にも感情移入の余地はない。しかし、彼の作品の中で、この『赤んぼう少女』だけは確実に別で、ほとんどの読者がタマミの味方をするだろう。少々ブスな女の子なら(失礼)、おおかれすくなかれみんなタマミの味方だろう(関係ないが、僕は、かっこよくて清々しい高也が気に入らん)。さて、葉子をいじめて一番盛上がったところでのタマミの科白だ。
「おまえはわたしがいじめてばかりいたと思っていただろうけど、ほんとうはおまえがわたしをいじめていたのよ。」
この、タマミ自身にも押えられない嫉妬の情念、そしてその自覚(とくにこの自覚が大事)。赤んぼう少女・タマミは化けもの(恐怖の対象)として葉子の目から描かれているが、このタマミ的なるものから怪物性(外からの恐怖)を取去れば、そのまま、無自覚だった自己の嫉妬の深さに気付くという、『イアラ』や『おろち』に結実してゆく楳図の心理ドラマである。そこにはもはや「タマミ(=お岩)、可哀相」といった葉子的(あるいは読者的)視点では捉えられないドラマがある。で、『赤んぼう少女』が画期的なのは、どちらのドラマとしても読めるところである。
同様に、タマミの母親にしても、あれはそのまま高松翔の母親である。こうして最終的に「現象の解釈不能」へと楳図のドラマは至るのである。
なお『水木しげる妖怪大画報』(1997刊・講談社)には、上下で構成されている競作のページは、水木のぶんも所収されていません。
ネームも、校異ってほどきちんと見てないが、面白い話題として。
| ネーム | 佐藤プロ版 | 朝日ソノラマ版 |
| ロマンスの薬でずいぶんもめたけど……春名や秋子や小野さんがなつかしいわ(1-21頁) (秋子のキャラはアイパッチをして幹部の3年生役で再登場していますね) | ボーイフレンドやなかよしだったみんながなつかしいわ(19頁) | |
| きははつうかいつうかいだれだかよく見ておけ(1-73頁) | つうかいつうかいだれだかよく見ておけ(71頁) | |
| し・し信じられん〜〜(2-50頁) | しかしし信じられん(180頁) | |
| しかしし〜信じられん(2-52頁) | し信じられん〜〜(182頁) | |
| なゝなによ?、(2-68頁) | ななによ?(198頁) | |
| わたしのお友達になる人ってどうしてこうねずみとりじめをやるのかしら前のロマンスの薬あげます!の時の春名もすぐ何かというとやったわ…(2-71頁) | わたしのお友達になる人ってどうしてこうねずみとりじめをやるのかしら(201頁) | |
| 絵柄 | 56、57頁 | |
| 137頁(左上、下のコマなど) この頁は、138頁上段と合せて1頁だった。 | ||
| 139頁2段目の3コマ。 佐藤プロ版の1、2巻を、ソノラマ版でまとめ、ページ起しを変えないようにするため、すこしコマを増やす処理をしているため。 | ||
| 2-69頁 | 199頁下段の2コマは、佐藤プロ版と同じ。初出からの補筆だろう。 | |
| 226、227頁 下三分の一くらいが補筆。補筆のラインは見えにくい。 |
また2巻目には「まぼろしの蝶」を併載。ネームは貼り替えてあるが、文言はほぼ同じ。
佐藤プロB6版『偶然を呼ぶ手紙』に、本書の近刊予告があり、「山と川にかこまれた、ある地方の学園にまきおこる痛快な事件の数々……。『女の子あつまれ!』は、いままでにないすてきなまんがです!」「チュー子が再び登場」と、宣伝文句がある。
初出の所見は、21号のみ。たぶん安井目録が示すように、連載3回作品だろうと思う。
講談社版「人気まんが傑作選」はカラー版で、「復讐鬼人」は全56頁のうち、前半14頁が4色、残りが2色。ほかに、「人食い不動」「死者の行進」「手」を収める。
ソノラマ二版は同版。扉タイトル自体のみ異。実に理不尽な話だが、物凄い。
初出の所見は、27,28,29号のみ。安井目録が示すように、多分連載4回作品だと思う。
さっきの「復讐鬼人」に較べれば、この「人喰い不動」がまだ穏やかな作品に見えてしまうから楳図は好きだ。
デーコミ以下、紙の接ぎ目や絵柄の異なる後補筆あり。初出『少女フレンド』は67年44号、51号を見ただけだが、セリフ、コマ割りともに、結構違っている。幾つか例をあげておけば、
B6花文庫版を入手後、デーコミと較べてみたが、初出と中間的な存在。セリフはデーコミに近く、後筆はデーコミによるもの。
これも名作です。鬼姫=志乃のゆれる心理の対照的な描写が実にすばらしい。昼間は清作をいじめ、夜に必死にあやまる姫の対照など、まさにエロティシズムただようとでも言うか(笑)。小学生女子には目の毒です。
原案・二反長半。この原作者、にたんおさ・なかばと訓みます。ちょっと有名な児童文学者だと思う。この人の書いた『リンカーン』を小三くらいのころ読んだ。楳図は原作付きの漫画執筆を嫌っているが(講談社P-KC『ウルトラマン』)、この作品のことだと思います。あるいは、小池一夫原作の『唇役にございます』か。
本作のタイトル、『少年画報』や『少年キング』での初出時はすべて「ねこ目小僧」、キングコミックス以下、『少年サンデー』初出まで「猫目小僧」となる。『少年画報』と『少年キング』の初出号数は、まだあまりあてになりません。
単行本諸本のうち、キングコミックスには『少年サンデー』初出掲載分は未収(時期的に当然)。サンコミックス以下には入るが、「約束」はなぜかサンワイドコミックスのみ所収。
「妖怪肉玉」連載時の1968年12月に、楳図は「肝臓障害」のために68/51,52, 69/1号と3週間休載している。68年1号の「こちらデスク」(編集後記)より(以下全文、句読点は原文のまま。総ルビだが適宜省略)。
楳図先生お元気に肝臓障害のため、奈良県の実家で、静養した楳図先生が、元気になられ、いよいよ次週2号から、ふたたび『ねこ目小僧』を、お書きになります。
なにせ、休載になった51号から、発売日には、編集室の電話が、深夜まで、鳴りっぱなし。担当の吉原(よしはら)記者も、電話の応待(ママ)に汗だくでした。でも、ご安心ください。楳図先生は、快方にむかいました。
「51号、52号、今週号と休載し、愛読者のみなさんに、ごめいわくをかけましたが、もうよくなりましたので、2号からばりばり書きままくります。」とのことです。
初出と諸コミックス版とでの校異について、気付いたこと。ただし、『少年画報』や『少年キング』のほうは全部見てるわけではありません。
猫目小僧も、いいキャラしてます。鬼太郎よりいいよ、絶対。
1968(昭和43 / 31〜32歳)[top]
楳図先生には、かつて「悦子」という妹がいる、という設定もあった。金龍出版社『虹』10集に、その記事が有る。楳図せんせい、イモコンかなあ(笑い)。いや、たんに女子読者へのサービスかな。
初出の所見は、9号のみ。副題に「魔子の恐怖ノート 第1話」とある。写植は、単行本とは別で、ネームもけっこう微妙に変わっている。
初出『ティーンルック』誌の資料を仙台のなおみさんから送って貰いました。ありがとうございます。
『ティーンルック』誌に連載した各話は、過去の作品のリメイク版が多い。先にも当該作品において記したが、ここでまとめておきます。( )は関連作か、という程度のもの(ちょっと無理が有るかな)。「映像」で言えば、若殿ちゃんとその妹が絡むあたりも含めて、かなり忠実なリメイクです。
| ティーンルック | 元作品 (関連作品) | その出典 | |
| 映像〈かげ〉 | 私ともう一人の私 | わかば『花』 | 1958 |
| 偶然を呼ぶ手紙 | 偶然という名のツミキ | 『虹』 | 1959 |
| 蛇娘と白髪魔 | 赤んぼう少女 | 『少女フレンド』 | 1967 |
| 蝶の墓 | (赤い蝶の少女) | 虹文庫 | 1962 |
| 灰色の待合室 | |||
| おそれ | (血『おろち』) | 『少年サンデー』 | 1970 |
実をいうと僕は、この『ティーンルック』連載時の絵柄が一番好きなのです。『おろち』や『洗礼』に至る少し前の青い果実みたいな感じですね。
雑誌の所見は、連載9回目の1月28日号のみ。仙台のなおみさんから送っていただきました。「ティーンルック」誌では、扉含めて15頁で連載、単行本では扉を除く14頁を殆どかきかえずに使っているようである。因みに、諸目録で連載8回とするが、誤り。
佐藤プロ B6判は、無刊記。全164頁。巻末に「女の子あつまれ!」の近刊予告1葉あり。本版は、以下の朝日ソノラマ諸版の元版にあたる。セリフも同版だが、一部分に写植文字が使われている(中味は同じ)。また、差別用語のみ直してある。朝日ソノラマ諸版において「お前の足は不自由じゃないか」以下、足を「不自由」と表現してある部分、佐藤プロ版ではすべて「びっこ(ビッコ)」とある。また、後半で「医大での講義をきこう」というセリフ、佐藤プロ版では「講議」と誤字になっている。
『まことちゃん』の花子先生や『洗礼』の中島さんに結実する両サイドふんわりおさげの洋子が、私の一番好きな女性キャラクターなのであった。ストーリー自体は、ちょっと強引っぽいが。
文庫版は、P206の「タマミさんは一種の精神異常にちがいありません」のあとに、「象皮病とか多鱗症とかがあることだし」が挿入されている(yamada/ハロ少女と文庫版/さん調べ。有難うございます)
『赤んぼう少女』のヘビ版リメイク。
本原作で作られた同題の大映映画、封切りは1968年12月14日。タクシーの運転手役で楳図も出演。『少女フレンド』1969年1号に、この映画の特集記事(4頁)がある。ビデオでも見られます。樫原さんに借りました。
で、大映映画、昨日(2000-07-05)みました。スチール写真では、主人公さゆり役の子がブスだと思っていたが、本編ではセリフ廻しや表情など案外うまくて、感心した。ストーリーは、原作にほぼ忠実。
(2001-7-12 補記)ていうか、『別冊YJ』の記事によれば、大映で『赤んぼ少女』と『ママがこわい』をミックスして映画にしようと企画された、それをさらにマンガにもしたのが本作なのだそうです。『別冊YJ』版は、ネームを新たに貼り直している。が、ほとんど差異はないようだ。インタビュー付き。だが、旧聞に属する話ばかり。
初出雑誌の所見は、連載1回目の68年12月3日号(通巻31号)、連載5回目の10月22日号。初出の1回目はモノクロです。仙台のなおみさんから送っていただきました。「偶然を呼ぶ手紙」と同様、連載1回分の所収量は、扉を合せて15頁らしい。
なお、なおみさんの御協力で、本作の連載開始が68年31号からであることが分かりました。28号でも30号でもない。
初出連載1回目、めぐみが蝶の脅える部分の蝶(3カット分ある)は、コミックス版で描き直してある。コミックスには切貼りの跡も見える。なおみさんからの指摘です。
現代コミック版は、全12巻中の第2巻(第3回配本)分が『楳図かずお集』、本作(冒頭12頁は二色)。ほかに「おそれ」を収める。野坂昭如の解説が有る。
『ティーンルック』誌の中ではこれが一番傑作かな。
『ジャンプ』の創刊号に名を連ねているのだが、その後集英社とは縁が薄いし、西村繁男『さらば、わが青春の「少年ジャンプ」』(幻冬社文庫)でも創刊号執筆者として名を掲げるのみで楳図について触れる所がない。その後『ジャンプ』の恐怖マンガ(?)は『はだしのゲン』くらいですかね。
7本のタイトルは、「ある女の人」「モン太くん」「モンちゃん」「モン太とチイ子」「モン太とチイ子」「モン太とチイ子」「モン太くんとチイ子さん」という具合いで、タイトルにはあまり意味がない。総て新作。やはりハードなナンセンスを旨とし、一言で言うならば「憎悪するモン太くん」だね。
5話目、初出では松原千恵子だが、『妄想の花園』版では山口百恵になっている。
所収のうち『ビッグ15』は、『COM』掲載の諸作品を再掲したもの。ただし、中途半端で、7作品中前の5話のみの収録。
『偶然を呼ぶ手紙』の冒頭、洋子の枕元に『チイ子さん』の単行本が見えます。
『プレイコミック』は、通常の版は中綴じで隔週発売、別冊は平背で月刊。
(1)小学館『ビッグコミック』に「楳図かずお劇場」という設定で掲載、(2)『イアラ』諸本に含まれている、(3)いわゆる短編で非シリーズもの、の三点いずれかを目安にこれらをまとめておきます。 ともあれ、珠玉の傑作集。
単独作品として
以下、『イアラ』諸本の所収話を対照しておきます。
| タイトル(発表順) | 諸本 | 執筆年次 | 初出誌の年次(連載)と書誌 | 新書6冊 | 文庫5冊 | 愛蔵1冊 | 新文4冊 | 新愛2冊 |
| ほくろ | 3 | 3 | 18 | 2.2 | 2.7 | 68-7-15 | 月刊BC No.6 1968/9月号 | 40P |
| 指輪 | 2 | 2 | 13 | 2.6 | 68-10-15 | 月刊BC No.9 1968/12月号 | 9P | |
| ろーそく(ロウソク) | 2 | 2 | 14 | 2.10 | 2.17 | 68-10-15 | 同上 | 15P |
| ねむり | 1 | 1 | 8 | 0.8 | 2.18 | 68-10-15 | 同上 | 4P |
| ブラック・エンゼル | 1 | 68-11-15 | 月刊BC No.10 1969/1月号 | 4P | ||||
| 図明氏のユーモア | 2 | 68-12-15 | 月刊BC N0.11 1969/2月号 | 4P | ||||
| 雪の夜の童話 | 1 | 1 | 9 | 0.9 | 69-1-15 | 月刊BC No.12 1969/3月号 | 4P | |
| 目 | 3 | 3 | 19 | 2.9 | 2.13 | 69-2-15 | 月刊BC No.13 1969/4月号 | 24P2c8P |
| きずな | 3 | 2 | 16 | 1.6 | 69-3-25 | BC 1969 4/25号 | 20P | |
| 愛の奇蹟 | 2 | 17 | 1.2 | 69-4 |
美しい十代 1969/4 1978 BC増 1/15 | × 4p2c29p | ||
| くさり | 2 | 2 | 15 | 3.4 | 69-4-25 |
BC 1969 5/10号 5/25号・2回 | 20P, 20P | |
| 洞 | 3 | 3 | 20 | 1.5 | 69-5-10 | BC 1969 6/10号 | 20P2c4P | |
| 傷 | 4 | 4 | 27 | 2.1 | 69-5-25 |
BC 1969 6/25,7/10 7/25号・3回 | 20P, 20P, 20P2c8P | |
| いろ | 3 | 3 | 21 | 3.9 | 69-7-10 | BC 1969 8/10号 | 20P2c12P | |
| 衣 | 3 | 3 | 22 | 2.6 | 69-7-25 | BC 1969 8/25号 | 20P2c4P | |
| 夏の終わり | 3 | 3 | 23 | 2.8 | 69-8-10 |
BC 1969 9/10 9/25号・2回 | 20P2c8P,23P2c8P | |
| 現代妖怪群饗宴之図 | × | × | × | × | BC 1969 9/10号 | 2P4c | ||
| 耳 | 4 | 3 | 24 | 2.3 | 69-9-10 | BC 1969 10/10号 | 20P4P2c | |
| 図明氏の生活 | 3 | 69-9-25 | BC 1969 10/25号 | 16P2c | ||||
| 宿 | 4 | 4 | 28 | 3.2 | 69-10-10 | BC 1969 11/10号 | 18P2c8P | |
| 雪の人 | 4 | 4 | 29 | 1.3 | 69-10-25 | BC 1969 11/25号 | 20P2c8P | |
| 指 | 1 | 1 | 10 | 0.10 | 2.16 | 69-11-10 | BC 1969 12/10号 | 16P |
| 図明氏のギャング | 5 | 69-11-25 | BC 1969 12/25号 | 8P2c4P | ||||
| イアラ | 1,2 | 1,2 | 1〜7 | 0.1〜7 | 1.1〜1.7 | 70-8-25 | BC 1970 1/10 〜9/25・13回 | 別項 |
| 一つの石 | 4 | 3 | 25 | 3.1 | 70-12-25 | BC 1971 1/25号 | 21P2c1P | |
| ある視点 | × | × | × | × | BC 1971 4/10号 | 1P4C | ||
| 南へ | 4 | 4 | 30 | 3.5 | 71-4-25 | BC 1971 5/10号 | 20P | |
| 砂 | 5 | 5 | 36 | 2.5 | 2.12 | 71-9-10 | BC 1971 9/25号 | 25P2c1P |
| こがらし | 5 | 3 | 26 | 2.10 | 2.15 | 71-10-10 | BC 1971 11/10号 | 24P2c1P |
| 森の唄 | 5 | 5 | 35 | 3.8 | 2.9 | 71-12-10 | BC 1972 1/10号 | × |
| ドアのむこう | 4 | 4 | 31 | 2.4 | 72-2-10 | BC 1972 3/10号 | × | |
| さいはての訪問者 | 6 | 72-3-25 | BC 1972 4/10号 | 23P2c1P | ||||
| 蟲たちの家 | 5 | 4 | 32 | 3.3 | 72-5-25 | BC 1972 6/25号 | 55P2c12P | |
| 内なる仮面 | 5 | 4 | 33 | 3.7 | 2.5 | 72-5-10 | BC増刊号 1972 7/1 | 28P2c4P |
| 烈願鬼 | 6 | 5 | 34 | 1.4 | 72-11-15 |
BC-O 1972 9/20 10/20,11/20,12/20 | ,36P2c12P,, | |
| 波打ち際の女 | 5 | 5 | 37 | 3.11 | 73-6-10 | BC 1973 5/25号 | 25P2c1P | |
| 螺旋階段 | 6 | 5 | 38 | 2.7 | 73-6-10 | BC 1973 7/10号 | 25P2c1P | |
| 凍原〈ツンドラ〉 | × | × | × | × | × | BC 1973 12/10号 | 23P | |
| 闇のアルバム | 39 | 75-4 | BC-O 1974 5/20 〜1975 5/5 | 別項 | ||||
| ねじれた空間 | 1 | 11 | 2.1 | 78-1 | BC 1978 2/10号 | 22P | ||
| Smile | 1 | 12 | 2.7 | 79-1 | BG No.2 1979-4-20 | 20P | ||
『BCオリジナル』の1974年12月5日号(闇のアルバム「首飾り」所収号)に、GC『イアラ』完結を記念して「静かなブーム 楳図ロマン!」と題した2頁の記事が有る。副田義也、岡本春子、楳図かずおが文章を載せている。以下、楳図を引用する。『イアラ』所収の短編群についての発言。
楳図かずお「私の短編作法」
従来は、劇画であれ小説であれ、短編では、人間の一生を決定づける一断面を切り取って描き、長編では人間の全人生を描いているようだ。
私は、どちらも人間を描くことに変わりはないと考えているので、創作にあたって、特に短長編の意識はしない。
ただ私は、次の一点にだけは必ず留意している。
短編で断片を描くには描くが、その一方で、長編の味わい、つまり短編でありながらも全体を俯瞰できるような配慮を、いつもとってきたつもりである。
それだけに、短編だから早くできた、という作品は一つもなかった。
このテーマは、優に二百枚くらい必要だなとわかっていても、どんどん仮借なく切り捨てて20―24ページにした。
制作にはいっても、あるくやしさと、もったいなさがあった。
しかし、そのもったいなさに、精神のぜいたくがあるような気がした。
その捨てられた部分が多ければ多いほど、テーマは明瞭になり、深い霧が流れ、峻烈な岩肌にじかに触れたような感じだった。
したがって、読者には作品の芯を突きつけたような格好になった。
それはまさに、なんのお世辞や飾りのない、読者との対峙であった。
私は、読者の賛辞という無形の財産に支えられて、これからも、心にくいこむ短編群を描いてゆくつもりである。
柔軟に伸縮する眩暈のような時間を描く楳図ならではの発言。
「蟲たちの家」所収の『ビッグコミック』1972年12号(6月25日号)に、「パロディー特集 FACE by CASE」という2色特集記事があり、7人のマンガ家が、職業別にその道具を写真コラージュする(身体などは手描き)という企画がある。それぞれ、さいとう・たかを「プロデューサー」、石森章太郎「いけ花師範」、手塚治虫「コック」、望月三起也「タイピスト」、楳図かずお「女医」、西沢周平「役人」、はらたいら「カメラマン」。
1969(昭和44 / 32〜33歳)[top]
初出の所見は、コピーに拠る。冒頭の一頁のビルの絵、次に見開きの扉絵、という構成はサンコミ以下も同様。
「奇蹟はそれを信じる者にのみおきる……」
楳図の永遠のテーマですね。遠くをみつめる加枝のかげりのある顔、楳図女性キャラクターの中のNo.1 と、とりあえず言ってしまおう。花子先生も好きだが。
70年3月の『別冊サンデー』は、いわゆる総集版。「姉妹」冒頭の8Pはカラー(2色と4色が交互に出てくる)。
雑誌初出と較べ、コミックス化にあたって補筆あり、コマ割りの変化もある。概略を言えば、黒バックに円の白抜きの絵(望遠鏡で覗いたような感じ)は、みなコマ割りが変っていると思って間違いなさそうである。
コミックス諸本について、細かく校異をとっている余裕はないが、秋田文庫版はセリフをちょっと変えている。例えば「姉妹」で「ロシアの娘は十八歳ごろまでは」が「ある国の娘は……」になっていたり、これではまるっきり話が違ってしまう。秋田文庫版、解説に犬木加奈子・綾辻行人・大岡玲・御茶漬海苔。
小学館文庫について。 発売時の1978年の『少年サンデー』29号に、楳図へのインタビューが有る(構成/副田護)。
まんがビデオ「おろち」(日立マクセル/ArtPort)1999年に「姉妹」「骨」が所収される。
1990年頃だか、NHK『日曜美術館』でダリ特集をやったとき、ゲストに楳図が出演し、この「ダリの男」も紹介され、ダリ作品の論評もしていた。僕は見逃してしまった。
フォークゲリラから、新宿西口の奪取に大挙繰り出した妖怪たち。中には、はるか大阪から駆けつけたのもいる。
- 女の子を、手あたり次第に食うゲイノウカイ
- 国産の毒ガスであるスモッグ
- 庶民をふり落して舞いあがるインフレ
- 善男善女をおびやかすスピロヘータ
- 学生と機動隊を齣にして、ゲームを楽しむベトナムとアンポ
- 人の食い物を食い物にするジンコウチャクショクザイ
- 日本中の道路にのさばるジドウシャ
- 現金をむさびり、多くの人を自由にあやつるバンパク
- 妖怪どもに奉仕するボーイ
同号は、「夏の終り」所収。
初出『プレイコミック』は未見、3軒茶屋の2階のマンガ屋の情報による。扉4色4頁2色全21頁という。『こわい本』14号の目録では10/10日号とするが、前者の情報を取る。また、「こわい本」諸本での出典記載は「1970年『プレイコミック』連載」と記しているが、これもウソだろう。
所収のうち、別冊『プレイコミック』1971/9月号は再録なのだろう。2ヵ月に一回の刊行っぽい。別冊『プレイコミック』は全モノクロ。
コミックス版のうち、愛蔵版と文庫本は巻頭カラー。セリフの校異は文庫版のみ「うわ気」が「浮気」と漢字表記に。
短編だがこれも傑作。妊婦の腹へのイマジネーションとラストのねじれとが、上手すぎます。
『まんだらけZENBU』No.4(244頁)にも、カラー写真がある。
脚本は辻真先。楳図描き下ろしのマンガ作品もある(夏樹晋氏ご教示)。
1970(昭和45 / 33〜34歳)[top]
『人気まんが家なんでも百科』(スタジオK・木乃実光編 1970年2月16日講談社刊)で50人ほどのマンガ家をクイズ入りで紹介する。そのうちの楳図の記事を抜粋します。カット類も楳図筆だが、ここでは省略します。
○楳図かずお
まずは、四つの質問。1すきなものは。●お化けとおやつ。2とくいなスポーツ。●とくになし。3何さいまで生きたい?●百五十さい。4いぬにおしっこをひっかけられたら。●小さいいぬならけとばす。大きないぬなら、もちろん、すたこらにげだすね。
★「どきょうだめし」(きもだめし)の王者 どきょうだめしで、だれもがこわがっているときに、楳図少年は、平気で、はか場にいってきた。その勇気にみんなびっくり。じつは、足はがくがく、からだはぶるぶる、むちゅうだった。
★天才少年あらわる 二さいで、母のせなかでまんがをかいてみせた。おかあさんはにこにこ。おとなはむじゃきだよね。
★にげろやにげろ まんがばっかり読んでいるので、おかあさんがおこっておっかけてきた。でも、にげながら読みつづけた。
★十時間もまんがの勉強 へやにこもって、十時間もまんがをかきつづけた。死んだのかと思って、おかあさんがのぞきにきたほどだ。
★ざっしにのったぞ 中学のころから、「まんが少年」(ママ)に、毎月投稿を続けたが使ってくれない。ずいぶん続けて、やっと使われたときはうれしかった。
★てくてく歩く 歩くのが大すき。五キロぐらいなら電車に乗らずにあるく。だから、国鉄が赤字になって、値上げするんだ。
★きょうふのどくぐも 「うわあ、こわい。」「こわいだろう。こういう大ぐもは、人間の血をすうんだぞ。そして、どくをはきだすんだ。こわいだろう。」「ちがうよ、先生の顔がこわいんだよ。」(「どくぐもにおそわれた先生」と題して、ゴムのクモなどを使った写真。楳図の表情がコワイというか笑えるのです)。
| タイトル | 初出号 | 書誌 |
| さなめ (永劫の時) | 1/10号 | 40P2c4p /T |
| しるし | 1/25号 | 20P /T |
| 2/10号 | 20P2c4P | |
| 2/25号 | 16P | |
| わび | 3/10号 | 20P2c4P /T |
| 3/25号 | 8P | |
| 6/10号 | 20P2c1p /t1p偶 | |
| 6/25号 | 20P /t2p偶 | |
| かげろう | 7/10号 | 20P2c5p /T2p偶 |
| 7/25号 | 20P | |
| 8/10号 | 20P | |
| うつろい | 8/25号 | 20P2c4P /T |
| 望郷 | 9/10号 | 20P /T |
| 終焉 | 9/25号 f | 20P2c4P /T |
初出の表の説明。
初出は、だいたいのパターンとして、タイトルには「イアラ」のほか、サブ的に「永劫の時」「ERA」の二つの文字を配する場合が多い。そして、「さなめ」「しるし」「わび」「かげろう」等は、サブタイトル(というか章題)。因みに第1話は、コミックス化されたときには「永劫の時」と章題がついているようだが、初出を見るかぎり「永劫の時」は本題「イアラ」に対する副題と見て良い。また、「わび」は当初の仮題は「野点(のだて)」だった(2/25号の次号予告)。その他、各々の冒頭部で二色程度のカラーページを持つページが多い。また、単行本諸本で扉に使っているカットは、初出誌での初回でのタイトル扉の絵である。ただし、「うつろい」と「終焉」だけは入替えてある。初出では、御々足のが「終焉」で、ダイビングしてるのが「うつろい」。
初出では、「さなめ」以降3/25号までが第一部、6/10号(「わび」の途中)から第二部となっている。第一部の最後の話は、利休が自刃する観念的な話で、ラストのわび助の後姿の最終コマには、楳図の言葉が有る。
ここにイアラ第一部『状況編』を終らせていただきます。物語の途中ではありますが、はじめ、六、七回でまとめるつもりでとりかかったものが芒洋としたものになり、はては主人公の内面的なものにもふれなければいけない必要が感じられ、利休をとりあげてみました。
利休の哲学は非常に難しく、とうてい七十年で到った利休の極みには及ばぬかもしれませんが、できる限りの挑戦をこころみたいと思います。
『わび』はへんてつのないくりかえしの話ではありますが、そのあとにどのような意味を持つものであったかは、第二部と共にあかしていきたいと思います。第一部の終りと共に、少し休みをいただき、やがて第二部『ロマン編』に全力投球するための準備にしたいと思います。(楳図かずお)
ただし、『状況編』とか『ロマン編』とかいう名前は、ここでしか使われていないようである。
単行本諸本には無いと思うが、初出にははっきり「ERA」と書いてある。英語で「時代」という意味。大林映画『漂流教室』の未来生物の名前は「イヤー」(?)だったかと字幕翻訳が出るが、「イアラ」なのだろうと思う。
初出連載の前号(1969年12月25日号)に見開き2頁のイアラの予告が有り、楳図の言葉が有る。
◆作者のことば◆
一九七〇年―何かあわただしい世の動きを感じさせる年ですが、私には、十年一日のごとく雑事にかかわらず、黙々と一筋の仕事に打ちこんでいる人間に限りない魅力を感じています。
仏師、刀工といったたぐいの人も、それにはいるでしょう。
いままで、どちらかといえば一点に集約される人間心理を描いてきましたが、次号からは気の遠くなるような永遠の時間の流れの中の人間をゆったりと描いていくつもりです。
楳図かずお
楳図ベスト1は何か?みたいな愚問は止めたいが、すくなくとも、いちばん永い時間を描いた作品は、『イアラ』でしょうね。なんせ地球が出来てから亡ぶまでの物語なんだから、『火の鳥』よりずっと永い。マンガ史上最高の長さでは?(そんなこともないか)
(2002-3-15) 2002年は画期的な年で、『イアラ』が、文庫版1冊と、愛蔵版3冊と、2種類も出る。もともと復刊への根強い希望があったのに実現されなかったが、テレビドラマの『ロングラブレター/漂流教室』で楳図ブームが爆発して、急遽決まったらしい。まず、(新)文庫版(3月15日発売)について、気づいたこと。
2002年の愛蔵版(2冊本)は、カバーデザインなど楳図のコスプレのセンスも悪くないが、統一書名がよく分からない。まず、メインは日本語タイトル「イアラ」なのか、英文タイトル「IARA」なのか(英文タイトルのほうが統一が取れている)。そして、箱背表紙、分冊毎の本体背表紙、本体オモテ表紙書名、扉書名、奥付け書名、みな微妙に違っているよ。江戸の版本じゃないんだから、こういう書誌を採りにくいタイトルは付けてはいけない。一応、統一書名として『楳図かずお[イアラ]』を採用しておく。まー、めんどなこと言わずに、「イアラ」だよってことなんだろけど。解説・中野晴行。
初出は『DELUXE 少年サンデー』1970年4月号。5月号ではない。全24頁(うち冒頭8頁2色)。
しかし、なんど読んでも壮絶な話。しかも、完璧な構成!ラストのニヒリズム!
『少年サンデー』の連載は、70年43号から。45号(こわい本14)ではない。
初出は、すべて見たわけではありません。連載開始の43号は巻頭掲載、8頁目まではカラー。楳図の言葉もある。
しばらくです。サンデーに自分の作品がのっていないと、はやり毎週さびしい感じがします。いつも新連載には、不安はつきものですが、第一回めを描き終えたいまも、まだドキドキです。自分の作品系列のなかでは、変わったものになると思いますが、とにかく、ご愛読をよろしくお願いします。
コミックスについて、秋田系二本のは補筆で各話を繋げるが、小学館スーパーヴィジュアルコミックスは、各話独立したまま。恐らく、初出に近いか、初出のままなのだろう。ただし、差別的な用語(きちがい、河内女、お女中、等)のセリフは改変してあると思う(セリフは三本とも異同あり。ただし「お女中」は女性という意味で有って、お手伝いの意味じゃないから、差別用語ではない)。
三版を較べると、初稿・改稿という大きな問題がよく見える。初稿には、結末の夕日を見る場面が無い、等なんてまるっきり違いますから。秋成『春雨物語』か、漱石『坊っちゃん』か、というくらいの大問題。作品として、秋田版は説明過多でくどくなっている部分もすこしあるが、全般によい作品に仕上っている。無批判な初出主義はイカンですね。ただ、初出のまま単行本にした小学館はエライ。各話の扉は、原画紛失か、雑誌からの転載もあるようだ。
フクスケというひ弱なクラスメイトが出てくる。記者の白井勝也がモデル(竹宮恵子「楳図かずお伝」『少年サンデー』1975年8月5日増刊号。「沢田さんちの人気の巻」『まことちゃん』文庫5巻)。白井勝也は『おろち』『アゲイン』『漂流教室』の担当。「秀才」(『おろち』)で腕時計盗難の濡れ衣を着せられるライバルの「平井勝也」も白井がモデルだろう。『まことちゃん』も初期の頃に担当か(連載となった1976年16号は「アホの三宅」こと三宅克(しのぶ)が担当している)。白井は『ビッグコミック』を経て、『スピリッツ』で『わたしは真悟』を担当、編集長も勤める。竹熊・相原『サルでもわかるマンガ』にも出てますね。2001年現在常務取締役。2001年5月、専務取締役に昇格。停年はまだ先。楳図マンガは、彼の人生そのままですねえ。若い頃は可愛らしい巻毛の美少年だったのね。
MyFirstBIGシリーズ、一つだけよいとこ発見。刊記に「発行者 三宅克」と書いてある。「発行者」っての普通、社長級ですよね。楳図担当は出世するのかな? 三宅克、ちなみに奥さんの名前はカヨコ。(2001年5月現在、部長級くらいらしい。まんが部門で、ビッグコミックのシリーズ(=青年誌)の代表)
ただし、「まことちゃん」の途中で、アホの三宅から斎藤恒之という記者が担当になるらしい(『少年サンデー』1977年39号)。秋田県出身で22歳とあるから新卒だろう。秋田シリーズと関係あるのかな。
1971(昭和46 / 34〜35歳)[top]
初出情報は各書目録による。所収のうち、『少年サンデー』夏休み増刊号は再録か?それともこちらがほんとは初出か、不明。
主人公ゴン太。
「なぜギョーはわたしがわからなかったのだろう……もはや昔のわたしではなくなったからか?おびえていた子どもだったころのわたしと……」
子どもから大人へ、というドラマだね。
本作については、諸書に「覆面作家として執筆」みたいに書いてあるが、これは、だれの作品か示さずに発表し読者に当てさせる、という趣向。「懸賞つき!!夏休み特別企画」と扉にある。コミックス版で、靖夫がかんごく岩に行くコマと辺利夫妻の表札のコマと、二ヶ所に不自然な空白があるが、初出サンデーの36,37号それぞれに、次のような告知のコマが有る。
怪獣ギョー懸賞
●問題●「怪獣ギョー」をかいたまんが家はだれでしょう?
●応募方法●(1)答えと住所氏名学年をかく(2)しめきり 8月25日(3)あてさき
101東京都千代田区神田局内 小学館 少年サンデー「怪獣ギョー」係(4)発表 少年サンデー41号誌上
賞品 特賞 高級腕時計…1名
金賞 作者自筆絵入りTシャツ…10名
銀賞 作者自筆色紙…30名
銅賞 サンデーバッジ…100名以上を抽選でさしあげます。
初出と、コミックス版とは、完全に同版。セリフはただし初出がほぼ総ルビ。ただし、1ヶ所だけ違う。
| 状況 | 初出 | コミックス諸版 | |
| セリフ | ギョーの世話をして帰宅。靴を脱ぎながら。 | フフフ/どこでもないよ/ちょっと/…… | どこでもないよ/ちょっと/…… |
ただ、この「フフフ」は、写植の貼り方がまずかったか、ちょっと傾いてて、後に落剥したかして、単行本にするさいそのまま忘れてただけかもしれませんね。
ほか、初出の扉各一葉は4色カラーで、これがなかなかよい。
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扉・前編(36号)220Kb 扉・後編(37号) 179Kb
なお、当時は『アゲイン』も連載中だが、勿論休載などはしてない。
『マンガ地獄変3--トラウマ・ヒーロー総進撃』(1998・水声社。「月宮美兎=鬼城寺健」ってことも書かないような、役に立たない本)に、『笑い仮面』や『怪獣ギョー』について言及が有る。結論だけ言うと、「こういう見方もあるのか」と、参考になる。分かり易く言うと、「植地とかいうガキ!オマエは一度死ね!」(笑)。
1972(昭和47 / 35〜36歳)[top]
連載105回。113回(こわい本14)ではない。
SVC版の最終巻に楳図かずおの談話、SB版の1巻目に川本三郎のエッセイがある。
初出雑誌・SSC版・SVC・SB・MFW版の五版の関係は、概略で次の通りだと思う。結論から言えば、大きな変容はない。また、SB版はSVC版の副産物で、ほとんど違いが無い。
SSC、SVC、SB三諸本のページ対照CGIが開きます(別ウィンドウ)1999-06-12 (Sat)
『イアラ』『わたしは真悟』と並んで、人気No.1 作品だろうが、ほかにも楳図かずおにはいい作品がいっぱいあるんですね。ともかくしかし、なんど読んでも泣けてくるよ。大友君というライバルがいるが、案外僕は彼がよくわかってしまう。
連載時は床屋読者だったが、このページは怖くて開けなかった。ストーリーも全然つながっていなかった。ある時、母親(基本的に、マンガやテレビが嫌い)がケイヨープラザの件をどこぞで読んだらしく「翔ちゃんのマンガ」と呼び「これは良い話だ」と言ってストーリーを語ってくれたことがあった。よいこの僕は黙って聞いていたが、実は怖くて嫌だった。母としては、あの気持ちがよく分るのだろうなあ。(補記 2001-01-01 私の母親のことを「基本的にマンガやテレビが嫌い」と書いたが、「そんな事はない」と反論を貰った。母は、歯医者で『漂流教室』を読んだらしい。当時、ものすごく話題になっていた、と言っていた。)
SSCコミックには著者の言葉がある。「私(わたくし)がこの物語を執筆した二年間に、フィクションとして描いた公害、食料不足、異常気象等のできごとが、現実となっていき不気味な感さえいだきました。物語と現実との一致は、本来、栄光ある先取りとして、喜びをもたらすはずなのですが、今回ばかりは考えこんでしまいました。人間の幸、不幸は、物のあるなしとか、便利さによってきめられるはずもないという、この単純な事実を、読者のみなさんとともにもう一度、じっくりとかみしめたいと思います」(初版1、2巻/カバー後表紙袖)。
『漂流教室』というタイトルも素晴らしいが、これはサンデーの編集会議で決ったものらしく、楳図先生本人はほかに『ただいま』というタイトルも考えて居たと言う(角川『小説漂流教室』第2巻の楳図かずおによる解説より)。
その他、内容については、平成十一(1999)年度の「文学3」で、「楳図かずお『漂流教室』講読」と題して講義する事にしました。こちら。文庫版が出て(教科書にするにはちとお高いけど)やるなら今だ、という事です。基礎研究もちゃんとやります。春からホームページでも公開します。
初出は、月一回刊行時代の『ビッグコミック・オリジナル号』で、増刊号的な扱い。毎月1日に発売。ドン・コミック「カタドン」No.17(55P)に、9/20号「遠望の月」のBC-O書影あり。また、篠原さんの御協力も得ました。
「遠望の月」初出の見開き扉には、次の言葉がある。
烈願――それは、はげしき願い。人がそのような願いを持つとき、その生は狂おしく、大気の心をふるわして……
これも不気味でいい作品ですね。楳図時代劇の最高傑作、ととりあえず言ってしまおう。なお、「鉄輪」は楳図先生には珍しく(?)プロット破綻有り、五日後なのかその晩なのか意味不明。
所見は、2号(72年12月号)〜6号(73年4月号)。鈴木圭一先生からコピーを送って頂きました。
平井和正のSF小説「アニマ」に毎回4〜5点のトビラ絵や挿絵を楳図が書いている。全6回(未完)。文庫「こわい本14」の目録は1972年1〜6月号とするが、誤り。
まんが秘宝『つっぱりアナーキー王』洋泉社MOOK 1997、およびビザール渡辺さんのHPにも『まんがNo.1』の記事がある。
1973(昭和48 / 36〜37歳)[top]
本作タイトル、七七調のように見えるが、そうでなく字余りです。なぜか。ほんとうは、「わたしのなやみ」ではなく「わたくしのなやみ」なのです。初出のルビがそうある。
はみ出しに、楳図の言葉がある。
楳図先生より/『アゲイン』以来の、ひさしぶりのギャグです。自分では笑いの要素をかなり盛りこんだつもりですが、どうでしょうか。私(わたくし)はいつも恐怖物もギャグも、けっきょくは同じだという考えですから、ギャグだからといっても、物語を重要視しました。
内容は、細部こそことなるが、男女両高校から見た二面性、最後にキスで解決、といった具合で『ロマンス療法』(1963『17才』)のリライト。
「追っかけられれば恐怖、追っかければギャグ」というのが楳図の持論。即ち、物事の二面性。作品自体、その二面性を高校生男女のラブコメの中に見事に結晶させている。主人公は、荒鷲男子高校の山田与作となでしこ女子高校の大熊トク。名前はすごいが美男と美女。また、イヤミ(赤塚)風のキャラ、およびチュー子も出てくる。みな、リキんでグーの手をブンブン振り回してくれる。
所収『少年サンデー』は再録。A5判。 この号は、楳図ほかさいとう・たかを、藤子不二雄、川崎のぼる等の作品を再録していて、各々が執筆当時の思い出を述べている。
楳図かずお
漂流教室を連載中。なのに50ページも…と文句ばかり。でも、話しているうちにのっちゃってかいたのがこの作品。苦しかったのじゃ。
この1977年の夏休み特集号は、このあと「愛の方程式」も再録する。
「視点が全然別のところに移動してしまうなんて、なんてすごいんだ!! 同じ物体でもまるっきり別のものに見えてしまう…」
前項「聞いてください私のなやみ」と同じ発想ですね。
コミックス版では、冒頭で、学生がマンガを読んでるシーンで始まる。これは『まことちゃん』のうち、「満員電車」という作品。本作初出よりも、随分後年の作品である。多分、1977年の『少年サンデー』再録の際に描きかえたのだろうと思う。
『グラフィケーション』(特集=教育と評価)誌の「まんがジャーナル」のコーナーの作品。シリーズ4回目。
初出の 「グラフィケーション」は、富士ゼロックス社の広報誌。1967年4月創刊で月刊誌(現在は隔月)。および、編集担当のル・マルスさんのご協力を得ました。赤本等は未調査。
『少年サンデー』1978年14号のサンデーファンのコーナーに次のような記事が有り、モノクロ縮小ながら作品も掲載される。
楳図先生のまんがが大学の入試問題に!!
ぼくは楳図先生の大ファンです。先生の4コマまんがが大学の入試問題になったって新聞にでていましたが、どんな作品だったのですか。ぼくも挑戦してみたいと思いますが…。紹介してください。愛知県 津田登
先生の作品をとりあげたのは、京都にある花園大学です。第1次試験の小論文用の題材として出題されました。 作品は、以前楳図先生が『グラフィケーション』という広報誌におかきになった右の4コマ。にっこり笑ったよい子たちが、ひとりになって「よい子」の仮面をはずそうとする……というチョット意味深い作品です。これに長文の資料がついていて、400字前後で解釈しないさいという問題です。 私たち編集部も早速取り組んでみたのですが、さて大学の先生たちはどう採点してくださるでしょうか。ともあれ、難解で汗だくだったですよ/編集
『まことちゃん』の「うめ組事件記者(1)」(初出は『サンデー』1978年16号、つまりこの記事の2号あと)の最後に、「テスト/いったいなにがはじまるのであるか?今回は意地悪くわざと次回へつづく!答えがわかったキミ、ものすご〜く頭のよい創作力満点の人れ――す!! 花園大学にはいれます!」とあり、なんで「花園大学」なのか分からんかったが、こういう文脈だったのね。
最初に読んだ『まことちゃん』がこれだった。これはリアルタイムで読んだ。犯人二人がズボンを全部脱いでおしっこしているコマに大爆笑した。子どもながらに、「芸が細かいなあ」と感心した覚えがある。
初出『サンデー』はみ出しには、楳図のことばでなく、「まことちゃんの言葉」がある。
まことちゃんより/愛読者のみなさんから、ぼくちゃんの愛くるしい顔を、見たい見たいという声におこたえして、特別に先生にかいてもらったのら!え? だれ。くるしいだけの顔だなんていうの!? 主役にばってきされて、暑さにめげず大ガンバリしたから、感想を送ってね。
『少年サンデー』1977 新春増刊号(1/14日号、A5判)は、「[まことちゃん]と巨匠傑作選」と題して、全534頁中、220頁が「まことちゃん」。この「かくれんぼ」を始め、連載以前の作品が所収されている。また、アシスタントの菅井こうじ、浅原一義の作品「まことちゃんのお友だち」もある。彼らの絵は、ぜんぜん楳図タッチではない。以下、所収作品のまとめ。
また、『少年サンデー』1977 GW増刊号(5/23日号)も、「[まことちゃん]と巨匠傑作選」と題して255頁分が「まことちゃん」。この時期は単行本(SSC)3巻が丁度発売になった時期。次の順で16作品を所収。 いずれも単行本(SSC)の4〜5巻に所収の作品で、本誌掲載順のまま。章題は、オリジナルとも単行本とも違うものがある。
また、小学館の学年誌にも、「まことちゃん」が転載されていた、という情報もある(『まこと通信』1号 1999年)。
初出、増刊号、SSC、SBを見比べた。
| 初出 | 増刊号 | SSC | SB | |
| セリフ | ちぇんちぇー、しゃーならあ! | 同左 | しぇんしぇー、しゃーならあ! | 同左 |
| でもオレだけふりむくのら! | 同左 | でもおれだけふりむくのら! | 同左 | |
| やだーっ!! きちがいーっ!! | 同左 | 同左 | やだーっ!! へんたいーっ!! | |
| もちろん気のせいさ。あれだけ泣けば、 | 同左 | もちろん気のせいさ。あれだけなけば、 | 同左 | |
| ぼくぢゃんのおなら、とってもくさいの。 | 同左 | ぼくちゃんのおなら、とってもくさいの。 | 同左 | |
| そうとうこれよ…… | 同左 | 同左 | ぶっとんでるわ…… | |
| 女の子の声なんかまねて!!バカにしくさって!! | 同左 | 女のこの声なんかまねてバカにしくさって!! | 同左 | |
| ないしょの話おしえてやるから、オレのよめさんになる? | 同左 | ないしょの話おしえてやるから、おれのよめさんになる? | 同左 | |
| パパやママたちも、タクシーでやって来るろ!! | 同左 | パパやママたちも、タクシーでやってくるろ!! | 同左 | |
| まことーっ!! ピョン子ーっ!! | まことーっ!! ピョンコーっ!! | 同左 | 同左 | |
| トビラ | カラー | 別の絵(後筆) | 同左 | 同左 |
| 頁起し | 奇数 | 偶数 | 同左 | 同左 |
(1999-10-31)『大人になったのび太少年』という学問蹂躙型の典型のような本が出てましたが、まことちゃんも取り上げている。「家族は、まことの首を包丁で切って食ってしまうという計画を立てたことがある」(要約・同書43頁)と書いてある。全然作品が読めてなくて苦笑できるが、たぶん本作の事を言っているのだろう。美香がちょん切ると言ってるのは、ウナギだよウナギ。ってまあ、僕も小学生の時読んだ時点では、まことを食おうとしてるんだと思ってました。
初出誌の冒頭の一コマ目に次のナレーションがはいる。
装うということは、自分が変ることではなく、まわりが変ることである。
初出、「こわい本14」の『ビッグコミック・オリジナル』は間違い。
1974(昭和49 / 37〜38歳)[top]
初出誌ハミダシ、今回も、楳図でなくまことちゃんの言葉です。
まことちゃんより/ぼくちゃんも、シリーズで今週から登場するのらー!! 戦場まんがのおじちゃんや、750ロックのおにいちゃんといっしょに、がんばるんらもーん!! とにかく、ぼくちゃんは無敵だから、これからも、もーれつにあばれまくるのらー!! みんな読むのらー!!おじちゃん、おにいちゃんとは、松本零士と石井いさみ。
初出、増刊号、SSC、SBを見比べた。
| 初出 | 増刊号 | SSC | SB | |
| セリフ | ちぇんちぇー、しゃーなだあ! | 同左 | しぇんしぇー、しゃーなだあ! | 同左 |
| 見たっ!! | 同左 | みたっ!! | 同左 | |
| 見たな〜〜っ!! | 同左 | みたな〜〜っ!! | 同左 | |
| ハゲッ!! | は、はは…………ゲ!! | 同左 | 同左 | |
| あ、あいつ!!かんぜんにこれよ!! | 同左 | 同左 | あ、あいつ!!まわっちゃってるよ〜〜!! | |
| ただいまー。 | 同左 | ああ!? | 同左 | |
| わっ!!きちがい一家!! | 同左 | 同左 | わっ!!おそろしい一家じゃ!! | |
| 谷底へつき落してやるっ!! | 同左 | 谷底へつきおとしてやるっ!! | 同左 | |
| トビラ | (これは同じ) | |||
| 頁起し | 奇数 | 偶数 | 同左 | 同左 |
くるくるパーの言い換えパターン、小学館もなかなか苦心してますな。
初出の前号(4・5合併号)に、本作の予告1頁あり、「ぼくちゃん、雪だるまの秘密しってるも〜〜〜ん!!雪だるまにはケがないからみんなハゲなのら!!」と、まことの言葉が有る。
最近先生の鼻がはれてきた。小学館入門百科シリーズ『考古学入門』に、『ツタンカーメン王ののろい』をかいて以来、たたりのあることを予期していた先生。カガミに顔をうつし、「まあ、この程度ですんでよかった。」(白井記者)
原本未見だが、『少年サンデー』などでの出版案内記事から1973年の暮れから1974年初頭の刊行と思われる。1969年刊行(文庫版『こわい本』14のリスト)ではない。上の白井の記事により、1973年5月ころには執筆完了していたようである。しっかし、『漂流教室』を描きながら、よくこちらも描きました。
隔週刊誌で丸一年連載して全24作。総て8頁。「隣の人」以外は、みな8コママンガ。タイトルの文字などは初出と単行本とでほぼ(例外有り)変化無しのようである。
校異、気づいたところだけ。特に「隣の人」の初出ネームは注目です。
| 番号 | 作品名 | 初出 | 単行本 |
| 1 | 洞穴の女 | なし | 作品の前にトビラを開く絵がある |
| 20 | 隣の人 | 助かったからよかったものの……/だれも気がつかなかったのかしら。 | 何度かあがいたのだろう…/手にはひきむしられた草が握られていた… |
僕が一番好きなのは、「空より」。英語を話す『スタートレック』の宇宙人と較べて、このニヒリズム!! 「再会」の突拍子もなさも好きですね。
所収に記した豪華版『恐怖』のものは、カラー6頁。ワーナーとの契約を考えてか、楳図の絵のコマのみイキで、スチール写真を全く使わず、その部分には『恐怖』のコマを貼りあわせ、またストーリーも「エクソシスト」のラストまではゆかずに途中でぶった切ったもの。
『エクソシスト』は当時、記録的なヒット映画だった。楳図は試写で観ており、『少年サンデー』1974年21号のハシラ記事にも「先日、楳図先生は『エクソシスト』という、悪魔ばかりの映画の試写を見た。記者たちも、目をそむけたくなるような恐ろしいシーンの連続に、先生は大ニコニコ。「ああおもしろかった。」だって!!(白井記者)」とある。また、同誌1974年38号の巻頭グラビア「研ナオコの えっ!!クソシスト」という特集記事もあり、奇術師・王子光と楳図が神父役に扮し、デビューしたての研ナオコをリーガンにフィーチャーし、『エクソシスト』の撮影技術などを面白く解説している。
初出誌、この回は白井勝也記者のことばだけ。
担当記者より/大作『漂流教室』を完結させて休養中の楳図先生、暑さにもまけず、一気にこの作品をかきあげた。取材も念を入れておこない、ぼくは若いから幼稚園に行くから、そっちは老人ホームの方を頼みます、だって。担当記者はギャフンだったよ。
初出、増刊号、SSC、SBを見比べた。
| 初出 | 増刊号 | SSC | SB | |
| セリフ | おやっ、観客のほうでもひとりきちがいのようになって声援えんをおくっている人がいます!! | 同左 | 同左 | おやっ、観客のほうでもひとり異常に興奮して声援えんをおくっている人がいます!! |
セリフは取り敢えずこれだけなのだが、絵にも描き足しがある。最後と最後から二つ目のコマは、まことのアップなのだが、増刊号、単行本には、「ニター」という描き文字と、ハナが垂れている。初出にはこれが無い。
初出『少女コミック』は、まだあまり見ていません。
初出誌1976年2号に、お正月特集として「少コミ人気まんが家大カタログ/直撃26問」と題したコーナーがあり、質問は全員に共通のもので、楳図も回答している。その一問一答。
- 生年月日 男OR女 出身地
----○昭和11年9月25日 ○まさに男!! ○岡山県- デビューした年とその作品
----昭和29年『別世界』(トモブック)- 自分の作品のなかで好きな作品を2作
----『漂流教室』『まだらの少女』『堀』- 小学6年の国語と図工の成績
----国語4 美術4- まんが家になるまえの職業
----学生さん- なぜまんが家になったのですか
----自分でまんがを、かいてみたかったから- 趣味はなんですか?
----散歩- 好きなまんがとまんが家
----白土三平 『サザエさん』- まんが以外の好きな本と作家
----『白鳥が61』『未来の記憶』『一万年後の世界』- 音楽ではなにが好きですか
----ロック 暴力教室のロック・アンド・ロック- 酒、タバコ、ギャンブルをやりますか
----まったくダメ!!- 好きな食べ物と嫌いな食べ物
----○好きな物、みかん、とうもろこし、さつまいも ○嫌いな物、レバー、鳥肉- 好きな色と金属(金銀銅鉄アルミ)は?
----○赤白紺- 好きなタレントを3名あげてください
----D・T・ブギウギバンド、オードリー・ヘップバーン、エリザベス・テーラー、マリリン・モンロー- チャームポイント、ウィークポイントは?
----○手が短いこと ○足が短いこと- あなたは自分自身、美しいと思いますか
----非常に美しい!!- 初恋はいつ? そして恋は何回?
----○小5で先生に ○4、5回…でも、みんなダメ!- 今、恋をしていますか
----『洗礼』の"さくら"に恋してます- 愛のために死ねますか
----その場になってみないとわからない- 結婚したいと思いますか
----思いません- 生まれるまえは何だったと思いますか
----すぐれた宇宙人- 生れかわるとしたら何がいいですか
----おばけ、宇宙人- 超能力、霊界を信じますか
----信じる 幽霊はすき- あなたが一番恐怖に思うことは何ですか
----宇宙の破滅- 現在、一番たいせつな物は?
----紙とペン- 新しい年を迎えて、一番したいことは
---- 超能力を身につけてつかいたい!
1976年7号に、本コーナーの誤植訂正があり、楳図については、「(4)美術5」 と訂正される。しかし、「岡山県」も訂正したほうがいいかな。それから『堀』って、『洞』の間違いだろう。
このコーナー、楳図以外にも当時『少女フレンド』連載作家総勢24人が、みな答えているが(1976年1,2,3号)、質問の4の「好きなまんが家」で「楳図かずお」と答えているのは、もとやま礼子だけだなあ。まあ全般、圧倒的に「手塚治虫」が多いのですが。なお、もとやま礼子は、かつて『虹』の読者なんですよね。アマチュア時代、『虹』に似顔絵など投稿もしている。
楳図先生、マリリン・モンローがやっぱり好きなんですね。それから、見たことないくせに「幽霊はすき」とか言ってますね。あと、先生、あなたはすでに超能力を身につけています!!
きのう(2000-07-05)漸く、映画の『洗礼』を見ました。原作をみごとにぶちこわしにしていました。さくらは高校生かで、学園生活は描かれず、良子も(居るが)活躍しない。谷川は、上原家のピアノの家庭教師で、財産押領を狙う悪人。事件は、刑事が解決する(ひどい!)。楳図本人が、精神病院の職員みたいな役で出ている。ブキミで良い。
1975(昭和50 / 38〜39歳)[top]
初出ハミダシに、楳図の言葉あり。
校異。
うーむ、あまりにシドい差別発言(笑)。たぶん、このころから言葉狩りが厳しくなってきたのでしょうか、これ以降「き○がい」の用例がめっきり無くなるのではないか。
[追記] 思いおこせば「きち○い」は、その昔は、僕も含めて、ふつーに使っていた。『少年サンデー』1974年12号の巻頭グラビアの「サンデーカラートピックス」のコーナーで、今で言うフリースタイル・スキーの紹介記事がある。アクロバティックで、ケガ人も続出するスキーを、「狂気の競技」「クレージーなスキー」と表現し、大きな字で「気違いスキー術!」って書いてある。まあ、『気狂いピエロ』って邦題の映画もあったもんな。(2001-04-14)
楳図は『漂流教室』ほか一連の作品により第20回小学館漫画賞を授賞したが、その授賞第一作が本作。授賞式は3月15日。
これに関して、初出サンデーには、はみ出しに、タイトルだけの簡単なものだが「楳図先生作品目録」(資料・安井ひさし)を載せる。以下の通り。誤植もあるかと思うが本文のママ、以下全文。
また、授賞のインタビュー記事あり。以下全文(ゴチも本文)。
★授賞の報に、編集部にやってきた楳図先生、部員一同に「おめでとうございます!!」と、祝福され大テレ。「これも愛読者諸君の長い間の声援のおかげ!!」が先生の第一声だった!!
本誌 このたびは、『漂流教室』で、小学館漫画賞授賞おめでとうございます。まず、ご感想を。
この「次回作」は、何を指しているのでしょうか。「まことちゃん」、ですかねえ。
『漂流教室』SSコミックス第11巻の帯で、第20回小学館漫画賞授賞を顕彰してあり、楳図の「授賞のことば」もある。曰く、
若い楳図先生、いいですね。
初出『サンデー』は、「小学館漫画賞授賞者シリーズ第1弾/読み切りカラー31ページ!」と銘打って登場。因みに第2弾は赤塚不二夫。サブ・リーダーに「少年の夢と恐怖を鋭く描破する、SFロマン」。そうか、これはSFだったのか。それは兎も角、「怪獣ギョー」と並んで、僕の愛する短編です。
校異。
初出『サンデー』、左欄外に作者の言葉が有る。
楳図先生より/大切だった、たくさんのオモチャや人形は、いったいどこへ行ったのでしょうか?足や手をもがれ、見知らぬ場所で持ち主をさがしているのでしょうか?私(わたくし)も幼き日の遊び道具を思い出しながら、この一編を描(えが)いてみました。みんなも、机の下や、本ダナの裏を見てごらんなさい。
初出『サンデー』増刊号は、デビュー20周年を祝って、楳図かずお100ページ企画と題し、次の三大企画。
加えて、「漫画狂の詩シリーズ」第5弾として、
を載せる。竹宮のマンガを除いて全100頁換算らしい(ちょっと足りない)。竹宮「楳図かずお伝」は中野書店刊『楳図かずお初期作品集』の小冊子の竹宮恵子のインタビューでも触れてある。楳図の小学館漫画賞授賞式の際、竹宮が黙って唐突に、用意してたコサージュを楳図の胸にピンで留めた。それが縁で、「楳図かずお伝」を書くことになったとのこと。『ここのつの友情』(小学館フラワーコミックス FC-151 1977年1月刊所収)
「楳図まんがのすべて」のうち、「20のQ&A」のコーナーは面白い。全文引用させていただきます。
初出『少年サンデー』の発売は7月中で、次項の『闇のアルバム』をあちこちで宣伝し、20名の読者プレゼントにもしている。
その一例。「まことちゃん」初出『サンデー』、左欄外に作者の言葉が有る。
楳図先生より/まことちゃんを描(えが)いていると、なんだかこっちまで楽しくなってきます。ギャグはリズム感が大事なので、軽快な気分がどうしても必要です。リズムといえば、7月下旬に、『闇のアルバム』という、私(わたくし)の初めての自作自演のLP集が発売されます。聞いてね!!
作詩の内容は、『楳図かずお[イアラ]』第2分冊"NightMare" (小学館 2002)で総て読める。
『ビッグコミック・オリジナル』1974年8/5日号に、「楳図かずおのレコーディング・レポ」という4頁2色の関連記事が有る。所収作品と1番の歌詞も記してある。
『少年サンデー』1977年9号に、EP『まことちゃん』の発売を記念して4頁の2色特集記事がある。その時点での、楳図が関わったレコードが紹介されている。近田春夫と私の石川誠壱さんからの情報も交えて、まだ簡単だけどリストアップしておきます。
なお、郷ひろみ『寒い夜明け』の作詩により1977年3月24日(授賞式)、「CBSソニーゴールデン作詞大賞」を授賞する。歌詩はこちら(別ウィンドウ)。また、1977年4月22日杉並公会堂の近田春夫とハルヲフォンのコンサートに、楳図がゲスト出演した(『少年サンデー』1977年20号251頁)。
「ど…どなただい…あれは…」というセリフの髭面男は、「浅原」の表札があり、アシスタントの浅原一義がモデルだろう。
初出『サンデー』は、「夏休みカラー読み切り特集第1弾/恐怖大作50ページ!」と銘打って登場。因みに以下、貝塚ひろし、藤子不二雄、聖日出男と続く。
校異(なおACセレクトは未考)
初出『サンデー』、左欄外に作者の言葉が有る。
楳図先生より/昔は、よく蛇を見ましたが、最近は都会化に追われたのか、姿を見せなくなりました。キミたちのまわりでは、どうですか?私(わたくし)は蛇はこわくなく、むしろ人間の疑心(ぎしん)や憎悪の方が恐ろしい気がします。人間は、もっと蛇のしなやかさと不敵さをみならうべきです。
1976(昭和51 / 39〜40歳)[top]
初出誌、ハミダシは楳図のことば。
SSC、SB等のトビラは、後筆。77年新春増刊号で描いたもので、SSC第一巻の表紙にも使われる。
SSC版は、1995年ころから少年サンデーコミックスセレクトとして復刻で出ている。全部は持っていないが、16巻17巻の所収が異なる。
各章題ごとに、初出号数、単行本所収号数をまとめました。(別ウィンドウで開く)
まことは、楳図キャラの中で一番道徳的というか倫理的契機を持っていると思う。案外、まともなよいこなのです。勿論、高松翔や近藤悟なんかは掛値無しによい子なのだが、思い込みがはげしくて、本当の意味での内省的契機(他者の視点で自分を見ること)がない。読者は彼らに没入する。まことは、突然フッとよいこになる(まことらしくなくなる)。翔や悟は読者にとって感情移入の対象であるが、まことは本来は外部の恐怖(愛情かな、まあ可愛いし)である。が、善行をしたり、「ハプハプ」と困ってみたり、急に感情移入出来ることがある。この点でも、タマミに似ている(いやー、徹頭徹尾感情移入して読んでる読者もいるかもなー、タマミと同様。笑い)。
うろ覚えで情けないが、聖秀幼稚園のモデルは高田馬場の戸塚幼稚園だったからしい。そこには、象のすべり台もある。
15巻目105頁の「新潟県見附市の佐藤日高」は、高校のとき同級生だった。「わしの町にはまっぽのきよという人がいてまっぽということばがはやっている!!」とある。本人は『まことちゃん』に載った事を自慢してた。おーい、日高〜っ。このページを見てたらメールをくりるのら〜。
初出・および単行本(SSC、SCS、SB)の校異。気付いたところだけだが、全般的にけっこー違ってます。空欄は未調査。
ともあれ、初出と単行本とでは、けっこう違うので、これは一仕事になりそうです。
(1998-12-14) 小学館文庫『まことちゃん』について。刊記は1999年1月10日とあるが、発売日は1998-12-12。所収はSSC版と同じ順序で二巻分を一冊として収めており、新まことちゃん4巻もいれるとすれば、全14巻のシリーズになるのかな。1巻目の解説はデマシタ呉智英。もういい加減こいつに解説書かせるのをやめたらどうでしょうか。またもや、マンガ「史」としてしか語る言葉を持たず、作品に対しては、「この作品の面白さには何の説明も要らない。読者がそれぞれこれを読み、ただ笑い転げればいいのだ。」と来たもんだ。2巻目の近田春夫の解説は、軟便の説など良い。
(1998-12-18) 小学館文庫『まことちゃん』について2。16日発売で、金沢だと17日くらいに入荷。昨日、買いました。僕は自分でもなんかやたら文句ばっかり言っているようで気がひけるのですが、しかし、「この表紙の3D-CGは案外いいな」と思います。それと、帯のでっかい文字が、なかなか気も利いてるし、いいと思います。とか思いながら、本棚に仕舞おうと思ってびっくり!1、2巻はつや消し風のカバーなのに、3、4巻はツルツルのアート紙じゃありませんか。「なんじゃこりゃー」と思わず叫びましたよ。やってくれるね小学館。
(1999-11-28)小学館文庫(SB)が完結した。最初のころの帯には「20世紀最後の完全収録版!!」と銘打っていたのに、7巻以降消え、「20世紀最後のちんたま!!」等のキャッチフレーズになった。とうぜん全14巻でなく、12巻で終ってしまった。このヤケクソ(ビチグソならよかったのに)なコピーに、一応、編集担当の苦悩というか葛藤を見ておこう、そのくらいの優しさは僕も持ってるよ。
(2001-07-18) My first BIG『まことちゃん』(全7冊)の所収作品と初出情報は次の通り。
サンデーコミックなどには、所収として、昭和52年『少年サンデー』新春増刊号を掲げているが、ビッグコミックのほうが先。「白居」は白井勝也。
初出『ビッグコミック』には「我が古都(ふるさと)」と題して4色4頁の記事があり、石森章太郎、さいとうたかを、ちばてつや、楳図の順に紹介される。楳図は「イアラ/大和の香」として五条市の記事。
1977(昭和52 / 40〜41歳)[top]
じつにかわいらしい。題材も等身大の幼稚園児むきと言ってよく、発想も「幼児のころはこうだった」と思い出させられる。『いまどきのこども』などというマンガが、子どもの顔をしたおとなの発想のマンガだとすれば(まあ、子ども自体が子どもらしくないのかもしれないが。イマドキのは)、雲泥の差。
1978(昭和53 / 41〜42歳)[top]
1979(昭和54 / 42〜43歳)[top]
『まことちゃん』連載のかたわら、マルチ・タレントとして活躍。『少年サンデー』21号(5月20日号)のサンデーファンより。M記者はアホの三宅(だろうと思うんだが)。2000-10-25 (Wed)
担当記者の編集日記 楳図かずお先生 M記者の場合
この映画の脚本って、なに!? あと、LPとは?
「4色ピンナップ」と雑誌表紙にある。見開きの大きさ(折り込み)で4色のイラスト作品。ナレーションが有り「いいえ!! さっきまで彼女は若かったはずなのに!!」とある。死んだら本性が見える、という発想の一連のもの。
『漫画アクション』に描いていたとは! 篠原さんの御教示よります。ありがとうございました。
作詞・楳図かずお、作曲・近田春夫。シングルは編曲違いの同曲所収、A面の編曲がYMO、B面が若草恵。詞の風景は『わたしは真悟』の扉絵のようで良いが、編曲がなあ(笑)。
所収等の詳しい情報、石川誠壱@近田春夫と私を見てください。
現在はCDの『天然の美』も在庫無しのようで残念ですが、キングCD文庫はまだお店屋さんに売っています(2000-03現在)。
カラオケには楳図の曲があまりないが、最近、この「エレクトリック・ラブ・ストーリー」と郷ひろみの「寒い夜明け」が入っているのを見つけました。ほか、過去唯一有った「ペペロの冒険」も含め、逐次、リストアップしてゆきたいと思います。(2002-05-07)
作詞・楳図かずお、作曲・近田春夫、編曲・矢野誠。秋の資生堂のシャンプー・レディバスボンのCMソング。
こちらは詞も曲も実に良い。カッコよく、しかも反面、じつに哀切の漂ういい歌です。こちらに歌詞を載せました。なお、2000年3月末に初めて携帯電話を持った際、着メロにこの「レディハリケーン」を手打ちで入れました。
編曲は、はじめYMOに頼むつもりだったらしいが、かなり売れ始めてたYMOには頼めず、矢野誠に「YMOっぽい曲調で頼みます」とお願いしたんだそうです。YMO以上にYMOになった、と近田さんは言ってたそうですが、いやあYMOってここまでコテコテかね(笑)。どっちかっていうと、ピンクレディだな(サウスポー)。編曲中の主旋律は<闘牛士の歌>のあれ(オレオレオレ!ってやつ)ですよ。ともかく、リズムマシンとシーケンサー全開でギンギラのテクノです。なお、近田春夫はほんとに歌が上手い!この時期、これだけ歌える男性歌手って誰がいたでしょうかね?ジュリーより上手いよ。
近田は、小学館文庫『まことちゃん』第2巻の解説で、このレディ・ハリケーンを紹介してます。
兎も角、詳しくは石川誠壱@近田春夫と私を見てください。
1980年(昭和55 / 43〜44歳)[top]
主題歌は、楳図の作詞・作曲・歌「パパ&ママROCK」と「サンバ・デ・まことちゃん」。
スタッフ
声優
(以上のデータは、映画パンフレットより)
楳図は、おもに『まことちゃん』についての解説が中心。たぶん、いままで読んだ『まことちゃん』論の中で、一番秀逸です。ほかに自伝的な事柄や普段の生活などのことを書いている。
自選ベストというコーナーがあり、楳図が挙げたのは次の作品
なんだか、なっとく出来ない選定(笑)。
1981年(昭和56 / 44〜45歳)[top]
2作とも、繭さんから送っていただきました。ありがとう。
福井大学の岡島昭浩先生から、頂きました。ありがとうございます。
角川びっくり文庫には、本書とは別に、明石家さんま編『スターのお部屋拝見』(1981-6-30 黄218)というのがある。石川誠壱さんに頂きました。ありがとうございました。40人ほどのタレント・スターに交じって「まことちゃんのお部屋は……とにかくみてみ」という楳図のコーナー4頁がある。高田馬場の仕事場の俯瞰図もついているが、壁に「性根」(ショウネではない、右書きでコンジョウだろう)の木のプレートがあるそうです。これ、『洗礼』の良子の部屋にもありましたね。その他、テレビが好きで泉ピン子・岸本加世子ファンだ、洗髪は月に1度、洗濯は2ヵ月に1度、風呂には滅多に入らない、等、驚愕の事実が記されている。先生!きたないですよ。男やもめにウジがわくっていいますが、ウジもわきませんよ。あら、女やもめだったっけ? しかし、ほんとかな。ほか、くつ下ははかない、パンツは白のブリーフのみ、血液型は0型(初めて知った?)等の情報が分る。
朝日ソノラマのこわい本シリーズは、現在、お手軽な「楳図かずお選集」みたいなところがあります。いろいろ版があるので、 ここに(1981年からの刊行ゆえ)まとめておきます。
四六判ハードカバー。巻頭カラー。VOL.5に安井ひさしの「楳図かずお作品リスト」、VOL.7に「読者の声」の紹介あり。当初はVOL.9は「手討ち」が所収というふうに予告が出ていたが、実際には載らなかった。本人原作でないからだろう。
このシリーズは2刷までしか出ていないのではないか、と思う。
サンコミ「こわい本」12巻に加えて、それ以前のサンコミ3冊と「楳図かずおの呪い」1冊を加えたシリーズ。
部立てや所収・巻頭カラーなどは愛蔵版をもとにし、「蛇2」「蜘蛛」「怪物」「呪縛」(うろこの顔、紅ぐも、半魚人、呪い)を加えたシリーズ。ゆえに、新書判(サンコミ、ハロ少女)にしかない作品「大怪獣ドラゴン」「青い大きい鹿の死」等、ここに未収の作品もある。
先の文庫版でのラインナップを、(旧版)愛蔵版の装丁のまま再現したもの。表紙カバーの紙質や本体表紙のデザインをすこし変えている程度で、ちと驚くくらい安易な作りだが、刊記の部分に簡単ながら「著者のことば」が附くのはよい。また、朝日ソノラマがこうして自社管理の楳図作品を定期的に新装してゆくこと自体、立派かも。
『DUO』は、デュオ・コミック・セミナーと題して新人賞コーナーがあり、毎回特別審査員としてマンガ家が付く。この創刊号では楳図が担当し、優秀賞・佳作の全7作品に評を附すが、『ビッグ・コミック』での審査と同様、やっぱりメチャクチャ厳しい。
この新人賞のコーナーや雑誌表紙に見える楳図の豹柄ジャケット姿の写真は、サン出版社版『恐怖の地震男』での著者近影につかわれたものと同じ。
1982(昭和57 / 45〜46歳)[top]
初出誌『スピリッツ』は、見ていないものもあります。1982年8(4月30日)号から連載開始。一つ前の7号には、予告がある。
単行本諸本について。BC版は、各冊扉カラー、各冊冒頭二色刷り。SVコミックスは各冊扉カラー、本文は全単色。それ以外はほぼ同版のようだが、裁ち切り(=余白無し)のページは、SV版のほうが扱いが雑で、縮尺率が大きいのか、はしっこが切れている絵も多い。ただ、BC版のほうが切れているページもあったりするんだな(裁ち切りは、一冊ごとに微妙に違うのかもね)。
なお、Pro-5/Apt-8の「キカイ語」が、扉では「デンキ語」になっているのは、SVでは直っている。ただし、Pro-7/Apt-4の「C・E(システム・エンジニア)」はどちらでも直ってない。
本作については、2000年に樫原かずみと、ほぼ半年掛けて、対談をしました。 1983(昭和58 / 46〜47歳)[top]
想田四氏のご教示による(『漫録』vol.50 OKブックス、2004.4)。
よいこはコワイぞ!!まことちゃん 宇宙人の巻
繭さんから送っていただきました。ありがとう。
1984(昭和59 / 47〜48歳)[top]
楳図先生と綾辻行人の対談で(『ダ・ヴィンチ』2001/1月号・構成/中野晴行)、このように発言してらっしゃいます。
こういう新しい話題がある対談は、よいですね。「アイディアを使い回す」と謙遜しておっしゃいますが、テーマとアイディアとが密接なものである以上、似てくるのは仕方ないですよね。上田秋成なんて、死ぬまでおんなじテーマとアイディアですよ。
1985(昭和60 /48〜49歳)[top]
楳図先生より/愛読者のみなさん、毎日寒い日が続きますが、お元気ですか? 受験に、試験にと、なにかといそがしいでしょうが、この一編で笑いころげて、すばらしい春を迎えてください。
初出 増刊号 SSC、セレクト、SB ピョンコの兄のセリフ おいピョン子 幼稚園のかえりだろ、いつまであそんでいるんだ!!
おいピョンコ 幼稚園のかえりだろ、いつまであそんでいるんだ!!
同左
美香のセリフ き、き きちがいっ!!
そうだわ、きちがいということばはいってはいけないことになっているんだわ!!
せ、せ、せ、精神障害者!!
つ、つぶれる!!
よめにいけなくさせる気か――っ!!
こ、こ、こ、このばけものっ!!
同左
楳図先生 大きなテーマを心おきなく描いた、愛着の深い私の最長編の作品だけに、うれしさも、またかくべつです。
本誌 授賞理由にも、飢餓、極限状態を子どもの世界に設定し、子どもたちに考えさせ、きびしい現実に立ち向わせる様は、今日をふまえて明日をみつける作者の目を感じさせる、とありますが、この作品をおかきになった動機というものは?
楳図先生 以前から私は、移動とか変化とか、変装とかいったことをテーマとしてきました。そして、その集大成的意味をもつのが、この『漂流教室』です。
本誌 この作品は、学校のイメージがとても鮮明で、また小学生たちが生々と描かれていますが、何か特別な取材を?
楳図先生 それがうまいことに隣りが小学校ですし、またふだんから、小学生を興味をもって眺めてきましたから。
本誌 最後に、愛読者に代っておたずねしますが次回作は‥‥?
楳図先生 (楽しそうに)極秘です。取材を開始しましたが、アッと驚くような物です。乞うご期待を!!
楳図一雄。名まえを読みやすいようにひらがなにしただけ。
昭和11年9月3日生れの38歳。でも、なぜか戸籍は9月25日なのだ。
170センチ、50キロといってるけど、本当は168センチ。あと2センチのびたいナ。
アキっぽい。子どものころは、ねばり強かったけど、エネルギーを使いはたしちゃったのかも。
コーンフレーク、みかん、コーヒー。それと、奈良(ママ)の高野山内で育ったから高野ドウフ。お酒やタバコはまるでダメ。
やっぱりマンガだな。『アルプスの少女ハイジ』『フランダースの犬』など。あと『日本歌謡選手権』も好きだ。
ぜったいダウン・タウン・ブキウギ・バンド。最高だよ。
いそがしくてあんまり見れないけど、スリルとサスペンスのあるのが好きです。
ぼくのは楳図がりってやつ。自分でかるから、床屋さんにはもう5年以上行ったことがない。
背広とネクタイが大キライ。ジーンズが専門!!
今はないけど、子どものころマンガチックな失敗ばかりしていたので、「マンガ」とよばれていた。
かけっこ。運動会ではいつもトップだった。あとは水泳。1キロぐらいはスイスイ泳げる。
英国数がにがてなのはキミたちと同じ。得意なのは美術だけ。
待ってました。僕は1ダースの歌手のものマネができるんだ。郷ひろみ、山口百恵、三橋美智也、五木ひろし、沢田研二、バーブ佐竹、ピーター、森田建作、西城秀樹、ビリー・バンバン、金井克子、平山三紀以上12人。すごいだろ!!
だれもいない。一匹狼なんだ。
やっぱり白土三平さんだ。
本格的な怪奇ものをやりたい。
遅らしたことは一度もない。
ぼくはまんが家としては早寝早起きなんだ。朝8時30分におき起きて午前中は仕事。午後は雑用、夜また仕事をして12時には寝ちゃう。
高田馬場になって、マンションの一部屋だ。初公開だよ!!
▼楳図先生の仕事部屋(俯瞰のカット一葉)
[SIDE A]
[SIDE B]
うーん、猫目小僧的感覚。
楳図先生より/ギヤグって、かいててとても楽しい仕事です。この『まことちゃん』は、ぼくの作品の中でも特にすきな主人公です。『まことちゃん』がちょっとでも動くと、何でもかんでも、いっぺんに笑いに変ってしまいのですから…。これからも『まことちゃん』を応援してね。
サンデーコミックのみ サンデーコミックセレクトのみ 「でた!口裂け女」(16巻)
「スースー星人の逆襲」(17巻) 「ジャングル大決戦」(16巻)
「恐怖のゴキブリシューズ」(17巻)
章題 初出 SSC(SCS) SB よいこのごあいさつ
ほらまことの大好きなガヒーンジェットをやってるわ!!
ほらまことの大好きな宇宙探偵ピッピをやってるわ!!
同左
同上
〔なし〕
おそろしきはよいこの執念じゃあ!!
同左
ぼくしゃんの結婚指輪
ここれB・C・R(ベイシティローラーズ)のデレクの妻のみなしゃんは、トミ子に夫をうばわれたくやしさに、怒り狂い、友だちにやつあたりする。(中略)関係のない人はこんな目にあわないように神に祈る…。
ここれB・C・R(ベイシティローラーズ)のデレクの妻のみなしゃんは、トミ子に夫をうばわれたくやしさに、怒り狂い、友だちにやつあたりする。(中略)関係のない人はこんな目にあわないようにアラーの神に祈る…
ここれB・C・R(ベイシチィローラーズ)のテレクの妻のみなしゃんは、トミ子に夫をうばわれたくやしさに、激しく怒り、友だちにやつあたりする。(中略)関係のない人はこんな目にあわないようにアラーの神に祈る…
ビューティー・ボックス
みなしゃん!!まことちゃんのおやすみがやってきました!(他、このカズの2コマ全然セリフが違う)
みなしゃん!!夏休みはどうしてすごしてましたか!?……
電車でデート
そりはクルクルパーのゼスチャーにみえた!!
同左
そりはパッパラパーのゼスチャーにみえた!!
〔ラーラの部分〕
〔全般的に初出と……
……単行本とでかなり違う。描き直しや削除がある。〕
ハートのチョコレート
〔「春粧遅刻はあたし」というタイトルで、ママの化粧のシーンが長い(8頁分ある)〕
〔初出の前半の8頁分が削除。単行本後半の8頁分はコマ割りを増やし、チョコレートの話を追加する。〕

(C)1978 小学館、ナショナル、楳図かずお(1998-12-14) 左の図版、『少年サンデー』1978/8号にありました(この前後の号にもあるかもしれない)。ナショナルの「ワイヤレスポンゴ」というテレビの音をFM電波で飛ばしてラジオで受信する機械が有り(定価3,800円)、この使い方をハガキで読者から募集するという見開き2頁の広告が有ります(締切は2/8日)。で、ここにモノクロ4コママンガで「まことちゃん」が載っている。おそらくどんな将来になっても単行本未収だろうから、一応紹介しておきます。
『2001年・まことの夏なのらー!!』
全194頁
(刊記 2001-07-27/7月13日発売)
『必ちびる! 怖〜い話!!』
全194頁
(刊記 2001-08-17/8月3日発売)
『天災は大変なのらー!!』
(刊記 2001-09-14/8月31日発売)
『祭でマッチョメ!!』
(刊記 2001-10-5/9月21日発売)
『スポーツの秋にグワシ!!』
(刊記 2001-11-9/10月26日発売)
『おでかけバンラーイ!!』
(刊記 2001-12-14/11月30日発売)
『あけまして2002年なのらー!!』
(刊記 2002-1-11/12月28日発売)
連載作品は『まことちゃん』一本で、サンデーに全力投球の楳図先生。ところが、最近は、先生の多彩な才能が各方面に知れわたったため、まんが以外のところでも大忙し。この一ヵ月間だけでも、映画の脚本執筆、TVのクイズ番組出演、ラジオで対談、ニューミュージックのコンサートであいさつ、近田春夫さんの新曲の作詩(ママ)、などなど。さらに、今は、自作自演LP制作の準備、6月29日に予定されているワンマンコンサートの計画…と、目のまわるような忙しさ。でも、そんなエネルギーが、そのまま『まことちゃん』に反映されるので、担当記者としては、大喜びなのです。」
曲名
孫悟空
U-kara
SEGA カラ
JOY SOUND
Beat NEON
エレクトリック・ラブ・ストーリー
35255
アンデス少年・ペペロの冒険
09078
?
5372
6006-33
寒い夜明け
34796
7386
25752
1240-33
VOL.1「影」 鏡/復讐鬼人
VOL.2「虫」 蝶の墓
VOL.3「顔」 おそれ/偶然を呼ぶ手紙
VOL.4「闇」 闇のアルバム/本/ダリの男
VOL.5「蛇」 口が耳までさける時/ヘビおばさん/蛇娘と白髪魔
VOL.6「異形1」 首/独眼鬼/怪獣ギョー/悪魔の手を持つ男/笑い仮面(前)
VOL.7「異形2」 笑い仮面(後)
VOL.8「神罰」残酷の一夜/死者の行進/地球最後の日/人喰い不動/肉面
VOL.9「狂乱」ふりそで小町捕物控/凍原/手/雨女/面/スクール
VOL.10「怨念」谷間のユリ/手/面/ねむり少女/木の肌花よめ
1. 「映像」映像/谷間のユリ
2. 「蝶の墓」蝶の墓
3. 「偶然を呼ぶ手紙」偶然を呼ぶ手紙/雨女
4. 「闇のアルバム」闇のアルバム
5. 「笑い仮面(前)」笑い仮面(前)
6. 「笑い仮面(後)」笑い仮面(後)/首/独眼鬼/怪獣ギョー
7. 「ヘビおばさん」ヘビおばさん/口が耳までさける時/蛇娘と白髪魔
8. 「復讐鬼人」復讐鬼人/面/人喰い不動/肉面
9. 「残酷の一夜」残酷の一夜/死者の行進/凍原/手/ダリの男
10. 「おそれ」おそれ/恐怖人間/地球最後の日/スクール
11. 「ふりそで小町捕物控」ふりそで小町捕物控/ねむり少女
12. 「木の肌花よめ」木の肌花よめ/悪魔の手を持つ男/青い大きい鹿の死/のろいの面/大怪獣ドラゴン
「楳図かずおの呪い」楳図かずおの呪い/悪夢の数式
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.
12. (サンコミックスに同じ)
13. 「紅グモ」紅グモ
14. 「うろこの顔」うろこの顔
15. 「半魚人」半魚人/ひびわれ人間/恐怖の首なし人間
番外. 「楳図かずおの呪い」楳図かずおの呪い/悪夢の数式
1. 「影」鏡/復讐鬼人
2. 「虫」蝶の墓
3. 「顔」おそれ/偶然を呼ぶ手紙
4. 「闇」闇のアルバム/本/ダリの男
5. 「蛇1」口が耳までさける時/ヘビおばさん/蛇娘と白髪魔
6. 「蛇2」うろこの顔
7. 「神罰」残酷の一夜/死者の行進/地球最後の日/人喰い不動/肉面
8. 「狂乱」ふりそで小町捕物控/凍原/手/雨女/面/スクール
9. 「怨念」谷間のユリ/ねむり少女/木の肌花よめ/恐怖人間
10. 「蜘蛛」紅グモ
11. 「異形1」首/独眼鬼/怪獣ギョー/悪魔の手を持つ男/笑い仮面(前)
12. 「異形2」笑い仮面(後)
13. 「怪物」半魚人/ひびわれ人間/恐怖の首なし人間
14. 「呪縛」楳図かずおの呪い/悪夢の数式
VOL. 1 「影」鏡/復讐鬼人
VOL. 2 「虫」蝶の墓
VOL. 3 「顔」おそれ/偶然を呼ぶ手紙
VOL. 4 「闇」闇のアルバム/本/ダリの男
VOL. 5 「蛇1」口が耳までさける時/ヘビおばさん/蛇娘と白髪魔
VOL. 6 「蛇2」うろこの顔
VOL. 7 「神罰」残酷の一夜/死者の行進/地球最後の日/人喰い不動/肉面
VOL. 8 「狂乱」ふりそで小町捕物控/凍原/手/雨女/面/スクール
VOL. 9 「怨念」谷間のユリ/ねむり少女/木の肌花よめ/恐怖人間
VOL.10 「蜘蛛」紅グモ
VOL.11 「異形1」首/独眼鬼/怪獣ギョー/悪魔の手を持つ男/笑い仮面(前)
VOL.12 「異形2」笑い仮面(後)
VOL.13 「怪物」半魚人/ひびわれ人間/恐怖の首なし人間
VOL.14 「呪縛」楳図かずおの呪い/悪夢の数式
[ウメズ・ダイアローグ/わたしは真悟]
楳図 (前略)あと『蠅』という小説を入れていただきましたよね。そこが、さすがに小説家だなあと感心させられました。よほどのファンの方でも、ぼくが小説を書いていたなんて気付いてないと思いますよ。
綾辻 実はあの作品が発表された『別冊小説現代』を、当時たまたま買って読んでいまして。それでぜひ入れさせていただこう、と。
楳図 あれは『神の左手悪魔の右手』の中の『女王蜘蛛の舌』のもとになっているんです。アイディアを使い回すのは本当はいけないことだと思うんです。でも、どうしても付け加えたい部分があったものですから……。ただ、小説だと蠅でもいいんですけど、絵柄的な迫力で考えて蜘蛛に変えたわけです。
![]() 初出の扉/(C)楳図かずお |
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「ロージン」か、「ロウジン」か? 本文ネームで5回出現するうち、初出雑誌ではすべて「ロージン」と標記されるが、コミックパス以後の版では初回のみ「ロージン」で、あとは「ロウジン」になっていて不統一というべきか(意図的なものか?)。『恐怖への招待』に載る楳図自筆の創作ノートでは「ロウジン」で統一されてはいる。
初出雑誌の編集後記に次の記事が有る。
「少し飲めるようになったんです」と楳図氏。うなぎ屋取材の際に軽く一献を傾ける。とりとめのない話をした後、うなぎのおろしを取材しようとするともう終りとのこと。心から残念がる氏に鬼才の片鱗を垣間見た。河畠(担当・Ro^jin)。
原作を尊重し、正しく理解した上で嫌味にならない合理的解釈なども附し、案外良い。なお、サイテーとの風評高い大林の映画版は87年かな、巻1(87年6刷)の帯にロードショーの広告がある。
知りませんでした。本人が出てるのですね。角川『小説漂流教室』第4巻の解説で、このラジオドラマの脚本を書いた佐々木守がこれに触れていた。好評で、再放送などもやったらしい。楳図本人は、後半で、ダメな教員役で出演。声も良く、非常に上手い。(林隆嗣先生のご協力に与りました。感謝します)
1986(昭和61 / 49〜50歳)[top]
![]() 初出前編の扉 (C)楳図かずお |
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初出誌は、見ていないものもあります。
BC版は各冊にカラーの扉あり、各冊冒頭2色刷り、対して文庫版は全単色。ほぼ同版だが、文庫版は料紙が白すぎて白黒のコントラストが強くなってしまい、絵の感じが単調に映る。加えて、本来裁ち切り(=余白無し)のはずのページ(BC版では裁ち切り)が、文庫版では不必要に2〜4ミリ程度の余白を残していて見苦しい。さらにその裁ち切りページは、縮尺も大きめにしているのか、結果的に四辺のきわの絵が印刷されない、という具合いに成っている。絵のはじっこの部分など本筋と関係ない、という荒っぽい判断なのだろう。かくのごとく文庫版はいささか御粗末な作りである。巻1に荒俣宏の解説有り。
MyFirstWIDE版は、2002年10月24日発売。
ウメズ・ホラーの超進化型。呪文の「ウーメラヌーメラ」は「ウメズ」の語感を利用した作者の造語である。
1987(昭和62 / 50〜51歳)[top]
監督・大林宜彦。作品自体最悪だし、主演女優・三田佳子というのもいまとなっては物悲しい。
次のような、描き下ろしのカットをみつけたので、立項することにしました。(『少年サンデー』1987年29号・7/1、大林映画に関するグラビア記事より)。見開き、大カット。ともかく、タッチは1987年のものですね。
この映画については、こちらに感想を書きました。
1988年(昭和63 / 51〜52歳)[top]
各章題ごとに、初出号数、単行本所収号数をまとめました。(別ウィンドウで開く) ただし、初出情報はSSC単行本の所載の情報に拠るものが多く、まだほとんど見てない状態です。
この新シリーズのラストのほうは、すごい。『サザエさん』や『ドラえもん』の最終回にまつわる都市伝説めいた噂があるが、あれに匹敵するものを作ってしまったかんじ。
コミックパス版と河出文庫版との違いについて。河出文庫版には、おしまいのところに「……加筆・訂正し、新たに構成しました」とあるが、ちらと読んだ程度では、どこが加筆なのか分からない。コミックパス版は、楳図マンガの絵も多用し、全体的に豪華な作りになっている。また、巻末に安井ひさし作の作品目録が付く。
この本でも改めて再確認できるのが、楳図かずおは理詰めで作品を作って行く人だ、という事である。行当たりばったりの作品なんてものは、一つもない。
1989年(平成1 / 52〜53歳)
1990年(平成2 / 53〜54歳)[top]
架蔵本を今調べると、初版で買っているのは3巻から。そもそも『スピリッツ』自体、読んでなかったし。しかし、初めて1巻を品川大崎の駅前本屋で見つけた時の感動ははっきり覚えている。「14歳」とは大人になる寸前の年齢である。楳図はとうとう『わたしは真悟』までも超えてゆくのか!と狂喜した。のだが、読んでみて、最初はよく分からなかった。
そもそも僕は雑誌連載をコツコツ読むのが苦手なのだが、なるべく『スピリッツ』も立読みするように心掛けた。が、相変らずよく分からなかった。で、結局コミックスが出ると、買って、パーッと読んじゃって、つねにそれっきりだった。完結した95年は、4月から金沢に赴任した年で、慌ただしさに17巻以降くらいは買いそびれていて、96年になって注文してやっと揃った。全巻を通しでまだ一度も読んでいないので、また改めて読んでみたい。
(98-10-14) とりあえず通して読んでみました。
1991年(平成3 / 54〜55歳)[top]
毎日やっていたみたいですね。僕は、最初の2回くらい聞いたが、卒業式の呼びかけみたいで、ばかばかしくてやめた。
1992年(平成4 / 55〜56歳)[top]
1993年(平成5 / 56〜57歳)[top]
1994年(平成6 / 57〜58歳)[top]
1995年(平成7 / 58〜59歳)[top]
中沢新一との対談がある。地下鉄サリン以前のものとは言え、中沢がハルマゲドン発言しているのが苦笑できる。
1996年(平成8 / 59〜60歳)[top]
「ダ・ヴィンチ」1996年1月号に、このCD-ROMに関して、楳図の談話記事がある。
CD のジャケットに楳図マンガが使われている。また、「初回限定 ステキなシール付き!」。シールは得した気分だが、楽曲それ自体については特にコメント無し(笑)。パパ&ママROCK は1980年公開の映画『まことちゃん』の主題歌。『まことちゃん』第20,21巻などでも取上げられている。
また、映画『まことちゃん』については、雑誌「映画少年」創刊号(S52/1977)に楳図かずおのインタビューもあるとのことです(岬さん御教示)。
内容的には、唯脳論などというが、基本的にはふつうの文化相対論というか、関係論というか、「脳」なんて言わなくたって全部いままで誰かが言ってきた事ばかり。ボケ始めた科学者が文系な話でお茶濁してる感じ。
(2000-07-17) 唯脳論については、大森荘蔵『時間と存在』(1994年 青土社)を読むと良い。
(2001-11-06) 随分ひどい事を書いてますが、昨日、金美の美大祭に学生(本学美術部)主催で養老先生の講演会が開かれました。内容も結論的にはまともだし、プロセスも機能主義的観念論とでもいうのかな。人柄も斜に構えた感じが良い。すいませんでした。不明をお詫び申し上げます。『唯脳論』等、ちゃんと読んでみようと思う。本書に、講演前に伺って養老先生からサインを頂きました(はは、ミーハー)。ありがとうございます。
1997年(平成9 / 60〜61歳)[top]
1998年(平成10 / 61〜62歳)[top]
1999年(平成11 / 62〜63歳)[top]
2000年(平成12 / 63〜64歳)[top]
| 総合 | 5:45 | 日 |
| 9:55 | 月、水、金 | |
| 15:55 | 火、木 | |
| ラジオ第2 | 9:00 | 日 |
| 10:35 | 月 | |
| 12:35 | 月 |
教育や衛星第2の放送プログラムには、再放送曲ぶんのみで、「むかしトイレがこわかった!」の放送はないようです。
みょうちくりんな歌だと思っていたが、うちの母親はこの歌を聞いて、「明彦(私、半魚のこと)の歌だ!」と膝を打ったらしい。実家のトイレもいまでこそウォシュレットだが、むかしは暗くて恐かった。とうに忘れていたが、弟をだましてすかして、近くまで付いてこさせてたそうで、言われてみれば記憶が有る。楳図先生、僕の歌を、ありがとう(笑い)。
capsの空木くんに、ビデオキャプチャーしてもらいました。ありがとう。
2001年(平成13 / 64〜65歳)[top]
「100年後に贈る 100人の21世紀最初の1日」という企画に、依頼された一人として制作された作品。企画は、21世紀最初の日に何をしたか、100年後にそれを伝える……というもの。日本を代表するクリエイター100人(実数は102人)が、それぞれ1ページを使って写真・絵画・文章等をレイアウトしている。
楳図のところへ届いた、『へび少女』(1966年作品)を使った年賀状に対して、『14歳』を使って答えている。フキダシのやり取りは、次の通り。
(上)
「新年と新世紀はヘビで始まるのだよ!」 (下)
「百年後の新年はトリ年で始まるのだよ…」
「たっ たぶん…」
(2002-04-13) 以下、自慢臭くてくどいので省略する。ともかく、僕が出した年賀状です。なお、年賀状は全員にこれで出してます。
(2002-12-14) 楳図先生にお礼がてらうかがったら、「干支では、楳図アニマルは、ヘビかトリだろうと思った。2101年の干支は、自分で計算した。12を足してけばいいわけでしょ」とのことでした。それにしても、来年の図案、悩むなあ。
2002年(平成14 / 65〜66歳)[top]
感想を、こちらに書いた。配役・スタッフ等のデータのリストアップはしてません。
たんなるテレビ番組のゲスト出演とかじゃないし、一種の作品になってると思うので立項します。なかなかかっこいい。
関電工のHPによれば、このCMには、楳図と渡辺哲がからむ「コロンブスLAN編」と、高橋英樹・佐々木功がからむ「エネルギー編」とがあるらしい。以下、放送時間帯(同社サイトより転載。リンクははりません)。
| 番組名 | 放送局 | CM放送日 | 番組放送時間 |
| ズームインSUPER | 日本テレビ | 月〜金の隔日 | 6:00〜 6:30 |
| 素顔が一番 | 日本テレビ | 土 | 10:00〜10:30 |
| ザ・サンデー | 日本テレビ | 日 | 8:00〜 9:55 |
| ニュースの森 | TBS | 月〜金の隔日 | 17:55〜19:00 |
| JNNニュース | TBS | 土・日 | 6:30〜 6:45 |
| スーパーJチャンネル | テレビ朝日 | 月〜金の隔日 | 17:00〜19:00 |
| 渡辺篤史の建もの探訪 | テレビ朝日 | 土 | 9:30〜 9:55 |
原画は『わたしは真悟』第3話(初出は『スピリッツ』1982年5月30日号)の扉絵。つまり、『イアラ』とはあんまり関係ないが、原画の選択は楳図本人である。
補修のホワイトのマチエールなんかも再現してあったりと、それなりに手が込んではいる。
2003年(平成15 / 66〜67歳)[top]
過去に知られたボスの絵のいくつかが、近年、ロッテルダムの展覧会で一つの祭壇画の部分であったことが分かったらしい。『放蕩息子』(扉)、『守銭奴の死』(左翼)、『愚者の舟』『快楽の寓意』(右翼、上・下)という構成の祭壇画。ただし、中央の絵はまだ未発見または推測中だそうで、代りにゲスト出演した楳図が、それを描いた。
キリスト(その人)が天上からでなく、地面の中からアップで出てきて笑っている。楳図版地獄図。タイトルも良く、コンセプト的にも決まっている。スケッチブックにサインペン(油性か)、水彩。
ほかに、ボスの地獄絵に頻出する頭と足だけのモンスター・グリドの如く、ボス自体をモンスターとして描いてみたイラスト「絵描きモンスター Bosch」も紹介された。愚者帽をかぶり、赤と緑のコントラストのグリド。
同席してる「美術史家」が絵自体を見れないふつーの学者的思想史的解説なのに対して、楳図先生、鋭い批評で飛ばしてますよ。キリストも放蕩息子だ、とか言ってます。
2004年(平成16 / 67〜68歳)[top]
戸田卓志君(14才)の「ぼくのはあと」という詩に対して楳図が絵を描いた。440×440mm/ボードに水彩絵の具。NHKハート展のサイトもあるが、楳図の肩書き、「マンガ家&タレント」とある。
NHKハート展は、全50組が出品した。各地に巡回予定。
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高橋明彦