近代の陶磁(北出コレクション)

資料名

色絵蓮池図飾皿(いろえれんちずかざりざら)

作品解説

見込みにに描かれる蓮池図は中央に水鳥を、周辺に蓮と睡蓮を配する。水鳥は羽根が金彩で大きく彩られ、羽毛には緑・黄・青を淡く入れており、その加飾方法は布目である。壮年期の塔次郎は伝統的な九谷の五彩(赤・緑・紺・黄・紫)にこだわらず、多彩な色彩を作品に取り入れているが、本作もその一つといえる。鍔形の口縁部は朱色の斜線文で、見込みの青と鮮やかな対比を成している。見込み部分はやや内傾し、口縁と比べて肉厚である。裏には三方に蝶が描かれ、高台の内側に一本、外側に二本の圏線が染付けで引かれている。なお、1939年(昭和14)に同じモチーフで制作された「色絵蓮池文磁飾皿」は第3回新文展で入選している。

作者情報

北出塔次郎【1898〜1968年(明治31〜昭和43)】
1898年(明治31)生まれ。兵庫県有馬郡三輪村で坂本籐吉の子として生まれ、名を籐次郎、のちに塔次郎と改める。1914年(大正3)大阪三越で富本憲吉、津田清楓の展覧会を見て、陶芸家になることを決意。1924年(大正13)石川県江沼郡勅使村栄谷の九谷焼窯元、北出家に婿入りし陶工として第一歩を踏み出す。絵画を矢野橋村、陶芸を板谷波山に師事。1936年(昭和11)色絵研究のために九谷を訪れた陶芸界の重鎮富本憲吉に色絵技術を教える一方で彼に師事し多大な影響を受ける。塔次郎は、九谷本来の良さを生かしつつ現代的な感覚で独自の作風を築き、九谷の近代化に功績を残した。1968年(昭和43)没。

作者名

北出 塔次郎(きたで とうじろう)

制作年
1952年(昭和27)頃
法量
口径42.0底径21.6高7.5