陶磁
資料名 色絵楼閣山水図硯屏(いろえろうかくさんすいずけんびょう)
作品解説
硯屏とは、硯の前に置き風塵を防ぐための道具で、硯の屏風の意味。硯屏の両面は、紺で枠取りされ、その内側に唐草文のように形取られた縁は紫が掛けられて額縁のような役割を持っている。片面は黄で埋め尽くされた上に紫と青で梅を配している。梅の上、紫の額縁の上には釉が流れ落ちて被さっている。一方の面には楼閣山水図が描かれているが、この画題は吉田屋窯の中では最も多く、文人画の流行した当時の好みを反映してのことであろう。楼閣は黄、山や柳は緑、水は青が掛けられ、やはり一部に釉流れが見られる。銘款は「福」を二重角で緑彩している。
作者情報
吉田屋窯
再興九谷の窯の一つ。再興九谷とは、江戸前期に焼かれていた古九谷の廃絶後、加賀で窯業を再興するために幕末に開かれた諸窯の総称である。そのうち、古九谷の窯跡地で古九谷の再興を目指したのが吉田屋窯で、大聖寺の豪商、豊田伝右衛門が開いた。吉田屋窯の生産した器種は多岐にわたり、絵付けは素地が灰色であることから、全般的にはそれらを覆い隠すように古九谷における「塗埋手」の手法を用いており、作品の色調が全体に一見青く見えることから青九谷と呼ばれている(古九谷の青手九谷とは区別される)。また、線描は古九谷に見られる骨描きよりも細く繊細で、運筆の速度と軽妙さを感じさせるのも特徴の一つである。
 

作者名

吉田屋窯(よしだやがま)
制作年
江戸後期
法量
幅13.0奥行4.5高10.4