金沢美術工芸大学

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学長メッセージ

山村 慎哉

金沢美術工芸大学 学長 山村 慎哉 President Yamamura Shinya

漆芸家。1960年東京都調布市生まれ。1986年金沢美術工芸大学大学院修了後、個展や国内外の企画展などで活動し1992年より金沢美術工芸大学の教員として赴任。精緻で凝縮された漆芸の加飾技法を中心とした制作研究を展開。個展:高島屋、三春堂ギャラリー、ギャラリー点、一穂堂、SILVER SHELL、エキシビションスペース他。企画展:「RIVALUE NIPPON PROJECT展」(パナソニック汐留ミュージアム)、「NY工芸未来派」(MAD)、「清州ビエンナーレ講演会」(韓国)、「国際漆シンポジウム・展覧会」(バッファロー大学)、「工芸未来派」(金沢21世紀美術館)他。作品収蔵先:ビィクトリア・アルバート美術館、スコットランド王立美術館、ロサンゼルスカウンティーミュジアム、シアトル美術館、サンフランシスコ・アジア美術館、アシュモラン美術館、スミソニアン博術館アジアギャラリー、ウォルターズ美術館、金沢21世紀美術館、広島市立大学芸術資料、卯辰山工芸工房、安江金箔工芸館他。

これからまたは今学ぼうとする皆さんに問うことではないかもしれませんが、大学とは本当に学ぶべき場なのでしょうか?

大学で学ぶ大きな目的の一つは専門知識の獲得であることに間違いはありません。この専門知識は将来必要となるスキルや自己成長、キャリアの発展につながり、将来の選択肢を広げるものです。しかし、現代では、インターネットやバーチャル世界から容易にアクセスできる情報が増え、大学の教育と同等の専門知識が得られるようになりました。したがって、大学に通わなくても多くのことを誰もが身につけることが可能になりました。コロナの代償によってオンライン授業が普及したことで、「大学で学べることは本やネットでも学べる。わざわざ大学に行かなくてもいい」という考えが広まりました。しかし、逆に大学でしかできない、あるいは大学生だからできることを見つけられれば、学生生活は今後得ることのできない大変に満たされるものになると私は確信します。

何かを見つけたり実感を得るためには変化、つまり行動が必要です。調べたことやこれまでの経験で納得するのではなく、まずは動いてみる。五感のすべてを使ってやってみる。大学生は基本的に自由であり、自分のために膨大な時間が与えられています。にもかかわらず、多くの学生が卒業間近に思うのはその時間の短さとやり忘れ感です。学生時代の貧乏旅行や初めての体験がとても思い出に残るという理由は、楽しかったこと以上に苦労したことや満たされていないものがあったからです。今いる快適なゾーンから自らが離れなければ、経験を積む場にも新たな価値にも出会えません。思考・視覚のみの世界から体感・五感の世界に戻ってきてほしいと思います。家を出て、大学に行き、街に出向き、友達や先輩、先生方と交流する。ぜひ、実在の人やものと出会って心と身体を動かすことを試してみてください。そしてその経験をもとに制作や研究に取り組み、美大生だからこそ得られる大切なものを見つけてほしいと思います。

金沢そして私たちの大学は環境・人・ものを通してリアルな体感を提供できる無二の学びの場であると確信しています。

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