令和7年度 日本画専攻 入試合格作品
採点・評価基準
実技試験Ⅰ
提示されたモチーフと条件に基づいて、モチーフを的確に把握・認識し、構成・表現する基礎的描写力。
実技試験Ⅱ
提示されたモチーフに対する粘り強い観察力。本質を豊かに表現する力。それらを分かりやすく伝える力。
実技試験Ⅰ
着彩描写
試験時間/7時間
【問題】
モチーフ「赤い紙の上にレースペーパー」「らせんピン」「容器入りポテトサラダ」「米研ぎ器」「袋麺」「菜花」
<用紙> アルシュ極細 300g 中判の半分

モチーフを真正面から捉え、誠実に描いている。構図にはやや難があるものの、基礎的な描写力にバランスの良さがみられる。袋麺の描写や、らせんピンの表情も悪くない。米研ぎ器の半透明の材質感もよく出ている。特にポテトサラダは美味しそうに描けている。

丁寧な仕事で好感が持てる。奥に配した米研ぎ器は質感や厚みが感じられず、描写として惜しいものの、菜の花やらせんピン、ポテトサラダの質感がいい。緑の違いもよく見ている。赤の紙の質感は良いが、袋麺は中身が入っていない感じがする。全体的にもう少し大きく捉えてモチーフに迫ればもっと良くなっただろう。

モチーフを大きく捉え、素直な構図で描いている。袋麺は色、質感ともに充分な描写と言えるが、菜の花とポテトサラダは陰影に頼りすぎ質感や色の描写がやや甘い。米研ぎ器は殆どが袋麺に隠れつつも悪くない。全体に観察にもう一歩の追求がされると良かった。
実技試験Ⅱ
着彩写生
試験時間/7.5時間
【問題】
モチーフ「コピー用紙の上に昆布」「梅干し4種」
<用紙> アルシュ極細 300g 中判の半分

4種の梅干しをよく受観し、味の種類分けが出来そうな程に表現されている。柔らかさや皺の寄りがよく出ており、色を無くしたとしても中身が想像できる。同様に昆布の表現も見事で旨みまで感じられそう。構図は大きく配したが間延びすることなく、成功しており、何より描きたいという気持ちが伝わってくる。

パースを抑えまるで真上から見たような構図で、梅干しの大きさに差をつけないなど大胆な捉え方が却ってそれぞれの梅干しの表情を引き出すのに一役買っている。昆布やそれぞれの梅干しの色も追求し、発色も鮮やかで魅力的である。梅干しの存在が昆布に負けて、上に乗っている感じが弱い点が惜しい。

画面の半分ほどを白地にする配置で大胆な捉え方だが、モチーフの本質に迫る説得力がある。また、その白地が綺麗に見える。昆布には安定した描写力が窺えるが、それぞれの梅干しの皺の寄り方が同じになっており、柔らかさや質感に違いが出ていない。梅干しについては対象に寄り添う捉え方ができると良かった。