金沢美術工芸大学

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令和7年度 彫刻専攻 入試合格作品

採点・評価基準

実技試験Ⅰ

提示されたモチーフを的確に把握し、デッサンで表現する力。

実技試験Ⅱ

提示されたテーマや条件に基づいて自由に構想し、スケッチと塑造で表現する力。

実技試験Ⅰ

木炭デッサン または 鉛筆デッサン

試験時間/6時間

【問題】
「石膏像モリエール」をデッサンしなさい。

<用紙> 木炭紙 MBM(厚口)、画用紙(木炭紙と同じ大きさ)

このデッサンは淡い雰囲気で一見地味にも見えますが、しっかりと形を捉えて描かれているデッサンです。側面から見たときの奥行きも良く表現されていて、この角度から見たモリエールらしさがよく出ています。

このデッサンはまず大変よい構図で描かれています。モリエールの頭部、首、胸部のバランスをよく把握できており、その上で描写が進められています。描き込みが必要な箇所がしっかり描き込まれています。特に髪の描写は髪のボリュームが損なわれずに進められており好感が持てます。完成度が高いデッサンです。

このデッサンは木炭の発色が良く、目を引くデッサンに仕上がっています。この位置から見たモリエールの見上げの迫力もあり、奥行きもしっかりと表現されています。また大きい形体感を損なわずに、髪や着衣など質感の違いの描き分けもしっかり出来ています。あごの下の暗い箇所の形や空間もしっかり表現できています。手前の肩の立体感もよいです。

実技試験Ⅱ

塑造 および スケッチ

試験時間/7.5時間

【問題】
「生命を感じる形」と「無機的な形」を組み合わせ、スケッチ及び塑造で制作しなさい。

<材料> 粘土(彫塑用)、画用紙 四つ切り 等

「髪を切ったことで『私』と『感情』に起きた前向きな変化」を表現したといいます。素直な発想と表現にも好感が持てます。また、頭部単体でも像としての魅力があり、丁寧なつくり込みが完成度を上げています。構成のバランスが良い点、髪の毛が徐々に無機的な形に移行している表現も評価できます。

この受験生は二つのモチーフで「硬い構造体と人の関係性」を表現したといいます。この言葉だけですべて理解することは難しいかもしれませんが、見る者がこの塑造により強く興味を持ち、思いをめぐらせたり考えさせたりするためのきっかけの一つになっています。

「すべてのものにある、次へとつなぐサイクル」を表現したと言います。全体の構成やバランスが特に良く、モチーフとして選択した木は、躍動感や動きがあるものになっており、オリジナリティのある造形になっています。木がペットボトルを掴み、飲み込んでいる表現や正面・上から見ても輪の形になっている点も目を惹きます。

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