令和8年度 工芸科 入試合格作品
採点・評価基準
実技試験(鉛筆デッサン)
提示された問題内容を、条件に従い形態・質感・空間に配慮し表現する力。
実技試験(立体表現)
提示された問題内容の理解力、構成力、発想力及び立体による表現力。
実技試験(色彩表現)
提示された問題内容の理解力、構成力、発想力及び色彩による表現力。
実技試験
鉛筆デッサン
試験時間/5時間
【問題】
与えられたモチーフを台上に配置し鉛筆デッサンしなさい
<モチーフ> 「水の入ったビニール袋」一個、「スターチス」一束、「花器」一個、「荒縄」一本、「米袋」一袋、「ドラゴンフルーツ」一個
<用紙> サンフラワーペーパー(M画) 四つ切り
画面空間の垂直性と水平性に対し、理想的にモチーフを配置しているデッサンである。
卓上に自身で組む場合、モチーフの特性と形態を意識し如何に空間性を現わせるかも重要な要素である。また個々の関係性にも注意を払い一本の縄で奥行とそれぞれの位置関係を的確に表現している。質感描写や固有色の扱いも秀逸である。
モチーフに対して力強くアプローチしたデッサンである。特に中央に配置したドラゴンフルーツ、水の入ったビニール袋、米袋の描写が画面全体の印象を強く感じさせる要因になっている。手前の縄や花に対する描写に物足りなさは感じるが、積極的に描き込んだモチーフの存在感は観るものに強く訴える力が有ると感じる作品である。
色調の美しいデッサンである。光と影を的確に捉え、米袋の内側に見える陰の部分が画面の大きな印象を与えている。個々の質や形態についても画面全体を支える重要な要素として追求されており、静かな空気を感じさせる良いデッサンといえる。
実技試験
「脱出」
丸みを帯びた美しい螺旋構造によって、中⼼に向かう⼒を感じさせる造形が核になっています。
その末端に内側の空間を意識させる⽳を開け、⼩さくて具象的な落花⽣を配置することで、視点を惹きつけモチーフを強調しテーマをうまく表現できている点が⾼く評価できます。
粘⼟を使って美しく完成度の⾼い造形をつくり上げる⼒が表現に説得⼒を与えています。
「ひび」
殻を破る際にかかる⼒を捻れた造形で表現しながら、乾いた落花⽣の殻にヒビが⼊る様⼦を表現しています。
落花⽣の殻の中の空間を強く意識させるように構造的にも⼯夫されているためヒビの周辺の質感などもリアルに感じられます。
粘⼟で殻の乾いた質感をつくる⼒が表現とうまくつながっています。
「落花⽣とりほうだい」
⾃分で設定したテーマを表現するためにモチーフとは直接関係のない布を造形に取り⼊れました。
布と落花⽣の形や⼤きさと質感がうまく対⽐構成されており、⼀体感のある造形にまとめられています。
粘⼟による造形の特性がよく理解できており、形と質感をつくり込む⼒を感じさせる回答作品になっています。
実技試験
3つのモチーフを効果的に構成し、立体感や奥行きを巧みに表現しています。特に、複雑なキャベツの断面を丁寧に描き込むことで高い描写力が感じられます。また、赤紫色が淡い緑色のキャベツを引き立て、紐の配置も画面に適度な緊張感を与えています。
キャベツを複数配置することで、画面に広がりのある空間表現が生まれています。中央のキャベツは細部まで丁寧に描写され、アルミホイルによる質感や色彩のコントラストも画面を引き締めています。また、3色に彩られた紐の構成が画面全体に動きを与え、まとまりのある空間づくりにつながっています。
キャベツ、アルミホイル、紐それぞれの素材感を生かしながら、効果的に画面構成がなされています。特に、アルミホイルや紐を上部から垂らすように配置した構成に空間性と動きが感じられます。また、紐に多様な色彩を与えることで単調さを避け、画面全体にリズム感を生み出している点も魅力的です。
