モチーフの形状と位置関係が正確に捉えられており、空間を理解した上で構図を構成する力を評価しました。画面全体の明度が適切なコントラストでまとめられており、一目で立体構成がわかる明快さを持っています。形状理解としては、コンテナのハンドルの可動軸部分がずれているように見えるのが惜しいです。構造やディティールの観察力と、理解したものを正確に表現する表現力も、インダストリアルデザインの基礎に必要なポイントとなります。

この作品ではコンテナボックスの底面に配置されているリブ形状も正確に表現するなど、モチーフを丁寧に捉え、描写する姿勢が読み取れます。コップの金属質感も明暗の差をしっかり持たせることができており、質感表現の巧みさと丁寧な形状理解を評価しました。ただしコンテナの形状に歪みが見え、２本の角材の大きさにも差があるなど、モチーフを大きく捉えた時の各部の比率にはもう少し注意が必要です。

やや硬質なタッチながらプラスチックと木材、金属、布といった素材の描き分けについて十分に達成できており、特にヘルメットの持つ艶がある質感が効果的に表現できています。楕円で構成されるコップが不定形の布の上に配置されているという、シンプルながら描出しづらい形状が破綻なく描けており、画面全体をまとめる役割を果たしている点も評価しました。相対的にコンテナボックスの形状表現に曖昧な点が残っているところに改善の余地がありますが、全体的にはバランスの良い描写と言えます。

この作品では特徴的な側面のシルエットから徐々に前側を見せる配置になっており、平面的な構成でありながら画面全体に動きをもたらしています。また、異なる素材に置き換えた表現も組み合わせており、素材と造形に対する観察力を感じられる構成になっています。背景色の変化にやや一貫性が無いように感じられるなど、色相と明度の関係性に一層の注意が必要ですが、アイデアを整理された画面として色彩表現する力を評価しました。

この作品はカミソリを空間の中に自由に配置した構図になっており、奥行きのある画面構成になっています。カミソリの描写は鮮やかで目を惹く色彩を用いながら、色面の太さを変化させたり、点描を用いたグラデーション処理で形状を明快に表現しています。作業が丁寧である点と構図、表現手法のバランスが取れている点を評価しました。

この作品は黒をバックにカミソリの形を浮かび上がらせながら、モチーフの特徴を大胆な構図で描出しています。空間全体を走るピンク色のラインが構図のアクセントになりながら、カミソリ自体の鋭さと切れ味を表現する表現として活かされている点が印象的です。個々のディティール表現や形状理解に曖昧な点が残るきらいはありますが、ユニークなアイデアを的確に表現する構成力を評価しました。

この作品では、炎や風の流れを思わせる形が上へ向かって立ち上がっています。それぞれのラインや面がよどみなく変化するように丁寧に仕上げられており、十分に動きを感じさせる立体になっています。シンプルな構成でありながら面の向きにメリハリがあり、陰影のコントラストが造形に重みを与えている点も評価しました。

この作品では、生物的な造形で躍動を表現しています。おおらかな面を持たせることで有機的で重みを感じる立体を作り出した上で、形状の一部をえぐりとるような手法が対比をもたらしています。形態としては複雑さが残る印象がありますので、さらに洗練していくことで美しさの表現を狙いたいところですが、おおらかな形作りと、えぐるという手法の組み合わせで独創的な動きを表現できている点を評価しました。

この作品では、一点に向かい収束する形態で上昇するような動きを表現しています。はためく布を思わせるような独特の浮遊感をシンプルな形態にまとめることができていました。表面のうねりがまだコントロールしきれていない印象があるので、さらにフォルムを整えることで美しさと躍動感につながる表現を目指したいところです。全体としては、狙いの的確さと造形力のバランスが取れている点を評価しました。