鬱を患った私はバランスの悪いところに置かれている。
右に振れれば健常者に見えるし、左に振れれば‪患者にも見える。
どっちつかずで、いつも境界線の上をふらふらと歩いているような感覚だ。
この展示では、そうやってふらつきながら歩く自身の軌跡を写し取るように制作してきた作品を提示したい。
　また、それと同時に、今まで歩いてきたなかで見つけた自らに関わる境界線、それは白か黒か、自己か他者か、作品かそうでないか、といった「２つの間を区切る線」をあえて曖昧にしてみたい。
それは間接的に何か問題を投げかけたいという訳ではなくて、ふらついている曖昧な自分だけれど、
曖昧なままでも自分は確かにそこにある、そういう気持ちが自身の根底にあるからだ。
だから、そうやって出来たこの曖昧な場では、鑑賞者がどちらかだと決めてもいいし、決めなくてもいい。
不安定を受け入れるというのはそういうことではないだろうか。

　田中宏和（彫刻専攻修士１年）

【日時】
2022/9/23（金）－10/5（水）　会期中無休
10:00-18:00（最終日のみ17:00まで）

【会場】
芸宿
金沢市小立野4-2-1 すみれ台ハウス

2022.9.05

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