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特別展 髹漆の探求者-漆芸家 坂下直大 回顧展-
2018/10/26-2018/12/22
本展覧会は、生涯にわたり髹漆技法に飽くなき探究心を持って挑んだ漆芸家坂下直大(1937ー2015)の没後3年にあわせて開催する回顧展です。髹漆(きゅうしつ)とは、「漆を塗る」という意味であり、その領域は素地となる材料の選択と加工、下地、上塗、仕上げまでの幅広い工程におよぶものであり、漆芸の基礎をなす重要な技法です。
坂下は木、竹、紙、皮などさまざまな素地を用いて多くの優れた作品を日本伝統工芸展を中心に精力的に出品しました。特に「ゆがみ」の生じやすい牛や鹿などの動物の皮を用いた漆皮技法の研究と制作に打ち込み、皮と漆が織りなす温かみのある優美な作品を生み出した数少ない漆芸家の一人です。また、輪島、その後金沢の地で自身の制作に打ち込む一方、その技は他の漆芸家にも置かれることとなります。とりわけ重要無形文化財保持者(人間国宝)の寺井直次や大場松魚の作品では、蒔絵などの加飾に至る前の髹漆工程を数多く手がけ、石川・金沢の漆芸文化を下支えする仕事にも取り組みました。
本展では、金沢美術工芸大学がご遺族からお預かりして調査・整理を進めた作家所蔵の作品約100点と制作の際に用いた道具や材料、制作途中の作品など約7300点におよぶ工房資料をもとに、漆芸家坂下直大の卓越した技と旺盛な制作活動を振り返ります。
坂下 直大:さかした なおだい(1937年~2015年)
岐阜県益田群金山町(現下呂市)生まれ。中学卒業後、飛騨春慶の田中三郎に入門。1956年に山中塗の呉藤友乗に入門。1968年日本伝統工芸展に「漆皮稜々盆」を初出品。以後入選を重ね、1978年には「曲輪造盛器」で日本工芸会総裁賞を受賞。日本伝統漆芸展では1996年に棬胎水指「散光」が朝日新聞社賞、2003年に「漆皮盤「梢星」が東京都教育委員会賞を受賞。1967年坂下信子との結婚を機に輪島に転居。1977年石川県立輪島漆芸技術研究所で助講師に着任。1979年に金沢に居を移す。金沢市卯辰山工芸工房で講師を務めた。
■会 期 平成30年10月26日(金)〜12月22日(土)
■開室日 月~金曜日:10時~17時 土曜日:10時~15時 入場無料
閉室日は日曜日、祝祭日、11月2日(金)、6日(火)
但し11月3日(土・祝)、4日(日)は17時まで開室
■会 場 金沢美術工芸大学 美術工芸研究所ギャラリー(図書館棟2階)
〒920-8656 金沢市小立野5-11-1
■主 催 金沢美術工芸大学 美術工芸研究所
■関連企画 ギャラリートーク「漆芸家坂下直大とその作品」
講師:山崎剛(金沢美術工芸大学 学長)
日時:10月27日(土)13時30分から1時間程度
会場:美術工芸研究所ギャラリー 申込不要
2018.12.10